今、世界のセレブたちはどうやって家具を選んでいるのか。驚くべきこだわり、その実例をイタリアのブランド「Edra(エドラ)」から探る。【特集 多拠点邸宅】
驚愕の家づくりの実情とは!?
「家はシンプルに。家具とアートは攻撃的に」。それがスイス・ジュネーブに邸宅を構えるあるアートコレクターのモットーだ。1600㎡の敷地に建てたコンクリートの家には、世界的芸術家アルナルド・ポモドーロの彫刻をはじめ、歴史的作品が並ぶ。
そのアートに負けぬ存在感を放つのが、イタリア・トスカーナのインテリアブランド、エドラのチェアやソファだ。「アートと同じく家具も攻撃的な一点モノを」とオーナーが選び抜いた。
「エドラの家具の多くは、職人の手作業を経て完成します。500mものロープを一週間かけて編んで完成させたチェア(下写真1枚目)、ポリカーボネートを溶かし手作業で形を整えたチェア(下写真2枚目)などは手作業ゆえにまさに一点モノ。だからこそアートと親和性が高いのです」とは、エドラの日本代理店リビングハウスの針生智子氏だ。
アートと家具を競演させるセレブリティもいれば、家具で部屋ごとに表情を変えることを好むセレブも。
ファッション業界の大物が住むニューヨークの家は、「寝室はジェニファー・ロペスのようなピンクの世界観」「リビングはジャクリーン・ケネディのようなクラシカルな雰囲気」と、それぞれ別のペルソナを持ってつくられた。服を着替えるように、部屋を移動するだけでガラリと変わる世界観を、楽しんでいるのだという。
イタリアで活躍したデザイナーで、エドラの家具も手がけた梅田正徳(まさのり)氏の長女・菜々絵氏はその家具の世界観をこう語る。
「エドラは37年の歴史のなかで43アイテムしか製造していません。斬新なデザインに見えますが実は多くが20年以上にわたるロングセラー。いつの時代も古く見えない普遍的なデザインで、クラシカルな部屋にもモダンな部屋にも選ばれているのです」
存在感あるインテリアを選ぶことでセレブたちは、その拠点を豊かに整えているのだ。
実例1.スイス|アートと家具が競演する家
実例2.ニューヨーク|部屋ごとに表情を変える家
セレブリティのトレンド
1.質感を重視 ▶︎ ファブリックにこだわる
SDGsの観点からファブリックを選ぶ人が増加。肌触りにこだわり、多くのプロダクトブランドがファブリックを自社開発する方向に。
2.世界にひとつがステータス ▶︎ 一点モノを所有する
アートへの関心が高まっている近年、「世界でひとつだけを所有する」ことがセレブのステータスに。家具も「一点モノ」を求める。
3.家に合わせるはもう古い!? ▶︎ 家具を決めてから家をつくる
「このソファを入れたいので、居間をもっと広く」「このデスクを入れたいので壁をぶち抜いて」など、家具に家を合わせる人が増えている。
この記事はGOETHE 2024年3月号「総力特集:多拠点邸宅」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら