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2023.11.11

社員の生の声でわかった! 「総合評価」が高い超優良企業40社

日本最大級の就職・転職サイト「OpenWork」に日々寄せられる社員のクチコミ。そこから分かってくるリアルな“企業の姿”は、転職活動の有力情報となるばかりか、優良な投資先を見極めたり、経営者であれば、自分の会社を見直すきっかけにもなる。今回は、OpenWork独自のアルゴリズムによって算出した、ズバ抜けて“総合力”が高い40社を紹介。『1300万件のクチコミでわかった超優良企業』(東洋経済新報社)の一部を再編集してお届けする。

社員の生の声でわかった! 「総合評価」が高い超優良企業40社
Unsplash/All Bong ※写真はイメージ

結局「働きがい」のある会社が強くなる

本ランキングは、OpenWorkにおける「総合評価」を集計したランキングだ。匿名の社員・元社員による自らの職場環境に関する8つの評価項目点(「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代成長環境」「人材の長期育成」「法令順守意識」「人事評価の適正感」)をもとに、独自のアルゴリズムによって算出している。

社員・元社員による会社評価をもとに算出したOpenWorkのデータは、企業の公開情報だけでは知ることのできない、働く環境の実情を明らかにしている。

働きがいのある企業は「労働市場・資本市場」の両市場から選ばれる

ときどき「そもそも、働きがいのある企業になる必要がどこにあるのか?」という質問をいただく。おそらく、「売上や利益をあげていれば、従業員のことなど考えなくてもいいではないか?」という批判が込められた質問だろう。

この質問に対する答えはシンプルだ。「そのほうがお得だから」。それが働きがいのある企業づくりをすすめる理由である。では、どのような観点でお得なのだろうか。企業経営において大切にしなければならない「2つの市場」において有利になるからだ。

1つ目の市場は「労働市場」だ。企業は、優秀な求職者から選ばれ続ける努力をする必要がある。日本においては2030年に労働人口が644万人不足する(※1)といわれており、人材獲得競争は激化していくことが予想される。また、終身雇用制の限界を表明し、早期退職制度が活性化するなど、人材の流動化も進むだろう。そうなると優秀人材の採用だけでなく、優秀人材のリテンションも課題となる。就活生の2人に1人が会社の実態を知るためにOpenWorkを活用して就職活動をしていることからもわかるように、働きがいのある企業づくりをしなければ、労働市場へ適応できていないとみなされてしまうのである。

2つ目の市場は「資本市場」だ。企業は売上や利益を創出し、企業価値の向上に努め、投資家から選ばれ続ける必要がある。ここでは詳細は割愛するが、企業の「働きがい」は業績や株価と強い相関があることが研究で証明されている(※2)。また、そういった研究データを参考に、海外の名だたるヘッジファンドが、働きがいのある企業への投資を始めていたりする。働きがいのある企業づくりをしなければ資本市場への適応もできていないとみなされてしまうのである。

(※1)パーソル総合研究所・中央大学経済学部 阿部正浩教授「労働市場の未来推計 2030」パーソル総合研究所
(※2)西家宏典・長尾智晴「従業員口コミを用いた働きがいと働きやすさの企業業績との関係」『ジャフィー・ジャーナル』19巻、一般社団法人 日本金融・証券計量・工学学会、2021年

総合評価が高い企業ランキング

注目企業の概要

第1位 グーグル合同会社
1998年設立。世界最大シェアの検索エンジンである「Google」を基本として多岐にわたるサービス展開を行っているIT企業の日本法人。「風通し」「ダイバーシティ」「広告」といったキーワードが多く投稿されている。
■PICK UP クチコミ/非常に風通しが良く人事考課も公平で、待遇も非常に良いです。社員の人柄も素晴らしく悪い部分が見つかりません(中途、エンジニア、在籍5年未)

第2位 中外製薬株式会社
1943年設立。抗体医薬品売上国内シェアやがん領域国内シェアが1位の大手医薬品会社で、東証プライム市場上場企業。「創薬」「ワーク・ライフ・バランス」「パイプライン」といったキーワードが多く投稿されている。
■PICK UP クチコミ/年齢、性別に関係なく活躍できる風土がある。コンプライアンスに対する意識は非常に高く、経営トップからのメッセージも定期的に発信される(新卒、製造管理在籍10年以上)

第3位 株式会社リクルート
求人広告、人材派遣、住宅紹介、学習アプリなどさまざまな事業を展開する企業で、持株会社である株式会社リクルートホールディングスは東証プライム市場上場企業。「成長」「若手」「どうしたいの?」といったキーワードが多く投稿されている。
■PICK UP クチコミ/さすがと言わざるを得ない環境。しっかりした研修制度があり、ビジネスマナーから、トップセールスの営業方法まですべてを学べます。これらを通して、とても成長できたと感謝しています(中途、営業、在籍5 年未満)

総合評価が高い企業ランキング

注目企業の概要

第21位 旭化成株式会社
1922年創業。総合化学メーカー。化学製品や住宅事業、繊維、電子部品、医薬、医療機器事業も展開。東証プライム市場上場。「さん付け」「事業部」「風通し」といったキーワードが多く投稿されている。
■PICK UP クチコミ/社内の風通しは非常に良い。相談事などは非常にしやすく、社員1人ひとりの意見を尊重してくれるため、人間関係的な面では働きやすい会社だと思う(新卒、研究開発、在籍5年未満)

第22位 日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM)
世界有数のIT企業のIBMグループの日本法人。グローバルITソリューションカンパニーとして、企業向けITコンサルティングやシステム導入・運用などを行う。「プロジェクト」「個人」「研修」といったキーワードが多く投稿されている。
■PICK UP クチコミ/企業文化はフラットで、メンバーが強く主張しても受け入れてくれる雰囲気がある。主体的にキャリアを広げるような方にとっては非常に良い環境だと感じる(新卒、コンサルタント、在籍5~10年)

第23位 シンプレクス株式会社
1997年創業。システム開発を行うIT企業。金融機関に特化したシステム開発を担い、コンサルティングから開発・運用までサポート。持株会社であるシンプレクス・ホールディングス株式会社は東証プライム市場上場。「成長」「クライアント」「裁量」といったキーワードが多く投稿されている。
■PICK UP クチコミ/若手のうちから裁量のある仕事を任せてもらえるので、成長スピードは速い。会社は成長を続けており、ポストも次々生まれるので、次々新しいチャレンジをする環境は整っている(新卒、コンサルタント、在籍5 ~10年)

「総合評価が高い企業」の特徴

「総合評価」で上位にランクインした企業には、どのような共通項があるかを分析していきたい。

働きがいも働きやすさもMAX! オールラウンド型

1件でもクチコミデータがある企業が約6万社あることを考えると、トップ10に入る企業は上位0.016%になる。

トップ10の企業を見ると、総合評価の算出元となる8項目すべてのスコアが高い「オールラウンド型」であることがわかった。このような企業は非常に珍しく、投稿されているクチコミもあらゆる角度で高評価であることがわかる。

「社員の成長への投資を増やしており、成長のためにさまざまなトレーニング機会を得られる。また、参加する社員自体のレベルも高い人が多く、刺激を受け合いながら成長できる」(株式会社セールスフォース・ジャパン、営業、在籍5~10年)

「企業文化は、イメージどおりの自由な文化がある。社員の挑戦や自立を尊重し、型にはまらない創造性を各個人が生き生きと発揮できるように会社が促している」(ソニーグループ株式会社、開発、在籍5年未満)

いくつかの観点で飛び抜けて評価が高いスパイク型

オールラウンド型は非常に珍しいと前述したとおり、トップ40企業の中には、いくつかの観点で飛び抜けて評価が高い「スパイク型」企業のほうが多くランクインしている。経営資源が有限であるため、どこか1つを尖らせて、それを求めている人材を採用するというのは非常に合理的な組織戦略であるといえる。

たとえば、株式会社オープンハウスは「20代成長環境」「社員の士気」「人事評価の適正感」がとても高い。東京海上日動火災保険株式会社は「法令順守意識」「待遇面の満足度」「人材の長期育成」がとても高い。このように、企業の事業戦略に合わせて組織の強みを明確に尖らせている会社は、評価が高くなっているようだ。

「変化が多く、自分の成長が会社の成長につながっていくと感じやすい。猛烈なスピードで会社が成長しているので、昇進するポストは常に空いている。一般的なサラリーマンで、ここまで経営者に近い視点で仕事に従事できる環境はあまりないと感じる」(株式会社オープンハウス、営業、在籍5~10年)

「人それぞれであるが、性別、年次や役職関係なく、ワーク・ライフ・バランスはとりやすいと思う。特に、子育て世代や個人的事情がある人たちは上司にも相談の上、配慮してもらいやすく感じる。また、同僚たちもワーク・ライフ・バランスへの理解がしっかりあり、とりやすい風土ではないか、と思う」(東京海上日動火災保険株式会社、事務、在籍5~10年)

「総合評価が低い企業」の特徴

多くの社員・元社員から低く評価されている企業には、どのような特徴があるのだろうか。下位5%に入るスコアの企業で頻出する単語を調べてみたところ、いくつかの種類に分類することができた。

まず1つ目は「古い体質」だ。頻出キーワードとしては「精神論、昭和、書類、電話、アナログ、マニュアル、資料、古臭い、昔ながら、旧態依然」といったものが挙げられる。

続いて2つ目は「ぬるま湯体質」だ。頻出キーワードとしては「のんびり、まったり」といったものが挙げられる。

3つ目は「風通しの悪さ」だ。頻出キーワードとしては「一族経営、同族、オーナー、ワンマン、権力、会長、イエスマン、顔色、機嫌」といったものが挙げられる。もちろん、一族経営、オーナー企業で評価が高い企業も多い。しかし、評価が低い企業に共通するクチコミとしてこれらのキーワードが多いこともまた事実であった。

これらをまとめると「運動神経の悪さ」と言えるのではないだろうか。何をやるにも腰が重く、環境の変化に適応できていない企業が、総合評価を落としている可能性がある。投資や仕事探しの際には、社員クチコミで「運動神経の良し悪し」を確認することをすすめたい。

大澤陽樹/Haruki Ohsawa
オープンワーク代表取締役社長、働きがい研究所所長。福島県生まれ。東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程修了。リンクアンドモチベーションに入社し、組織人事コンサルティング事業のマネジャーを経て、企画室室長に就任。従業員エンゲージメント市場で、国内売上シェア5年連続No.1のモチベーションクラウドの立ち上げに従事。2018年、オープンワークに参画。執行役員、取締役副社長を経て、2020年より現職。OpenWorkのデータを活用したオウンドメディア「働きがい研究所」の所長としても活動し、毎日数百件の社員クチコミを読み続ける「社員の声のプロ」。

TEXT=大澤陽樹

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