ドバイで仕事をしたいなら知っておきたい基本的なアレコレ。現地での起業をサポートする弁護士の森和孝氏に教えてもらう。【特集 熱狂都市・ドバイ】
Q1.ドバイ進出するのはどんなビジネスが多い?
A.あらゆる業種が進出中
以前は、フリーゾーン外でのビジネスを行うためには、51%以上の資本をUAEの人が持つことが必須でしたが、2021年からこの外資規制が原則撤廃。それに伴い、飲食、エンタメ、物流など、122業種が外国企業に開放されました。つまり、それら幅広い範囲のビジネスをUAE国内向けに外資100%で行えるようになったということ。この影響もあり各国からさまざまなビジネスが進出してきています。
フリーゾーンとは?
さまざまな優遇措置を受けられる経済特区。20以上の地区があり、外資100%で会社設立が可能。区内ではUAEの会社法ではなく、フリーゾーンごとのルールが適用。税制面では法人税の免除などの優遇があり、保税区であるため、海外からモノを持ってきても関税がかからず、ゆえにドバイは倉庫業、修理業等が集積し、中東の物流のハブとなっている。
Q2.ドバイに住む&起業するメリットは?
A1.高額な税を納める必要がない
個人の税金は消費税のみ、所得税・住民税・贈与税もありません。キャピタルゲインも非課税です。企業の場合にもフリーゾーンであれば一定の要件を満たせば無税ですし、要件を満たさない場合でも、年間の売り上げがAED375,000(約1,500万円)を超える場合に9%の法人税がかかるのみです。
1ディルハム(AED)=約¥40 ※2023年10月11日現在
A2.真の国際都市で働ける
居住者の約9割が外国人。現在、他の中東諸国も急激に発展を始め、そのハブであるドバイの存在感はますます増しています。
Q3.ドバイに住む&起業するデメリットは?
A1.夏は暑すぎて人が減る
7月から9月にかけて大変暑いので、居住者含めて外国に出る人が多く、ドバイから人が減ります。国内向けにビジネスをする場合はこの期間動きが止まりがちです。
A2.リビングコストが高め
家賃はワンルームで月20万円~、2ベッドルームで月50万円~。外食費、特にお酒が高いです。全体的に物価は高めなので、自制心が必要でしょう。医療サービスも高いので保険加入の検討もお忘れなく。
Q4.ビザ取得は難しい?
A.今のところ難しくない
ドバイには「フリーランスビザ」という企業に所属していなくても取得可能なビザや、一定価格以上の不動産を購入することで居住できる「不動産ビザ」などがあります。起業する場合は、法人を設立し自分自身に就労ビザを発行するケースが多いです。
他国のような学歴要件や収入要件は原則なく、オンラインで申請可能。一般的に数週間で許可が降ります。UAEに渡航し健康診断など必要な手続きを済ませるのに1~2ヵ月かかり、その間は出国できません。
Q5.銀行口座開設は難しい?
A.電話番号があれば大丈夫
UAEからエミレーツIDが発行されますので、それを持ってエティサラートやドゥという名前の通信会社に行けばすぐにその場で携帯電話の契約ができます。IDと携帯番号があれば個人口座は通常はすぐ開け、法人口座も通常は難なく開けます。
Q6.アラビア語は必要?
A.英語のみでOK
訴訟等を除きほぼすべての手続きは英語で可能。また英語ネイティブでない方も多く、アクセントもさまざま。日常生活で英語が多少間違っていても誰も気にしません。
Q7.ドバイでの起業、費用は?
A.初年度は100万円程度
規模等によりますが、初年度に設立費用として100万円程度必要です。翌年以降の法人維持費も年間100万円ほどです。高い物価なども考慮して、1,000万円程度は用意して起業される方が多いと思います。他方で、スタートアップへの助成なども充実していますので、情報収集も大切になります。
Q8.いい起業エージェントとどうやったら出会える?
A.すでに起業している人からの紹介が安心
ドバイでは、起業のサポートには特に専門資格は必要とされていないので、たくさんの日系のエージェントが存在します。安心なのはすでにドバイで起業し順調にビジネスを展開している人からの紹介。私たちも信頼できるエージェントや専門家のネットワークを地道につくっているところです。
Kazutaka Mori/森和孝
17ヵ国に拠点を有するワンアジアロイヤーズのパートナー弁護士。ドバイでワングローバルアドバイザリーを創業。シンガポール大学で客員教授。シンガポールとドバイ2拠点生活を送る。
「11月など、秋のドバイの気候は最高です。『中東のハワイ』をぜひ感じてみてください!」
この記事はGOETHE2023年12月号「総力特集: ヒト・モノ・カネが集まるドバイ」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら