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2023.09.19

三流は「先読み」二流は「話を中断」、では一流の“相づち”は?   部下と話す前に確認したい3つの基本

部下と対話するとき、あなたは相手から本音を引き出し、建設的な話ができていると自信をもって言えるだろうか? 5万人以上のリーダー育成に携わってきた嶋津良智氏によると、一流、二流、三流の差は「場選び」「相づち」「間」といった何気ない部分にも表れるという。『話し方の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を再編集してお届けする。

『話し方の一流、二流、三流』
LinkedIn Sales Solutions / Unsplash  ※写真はイメージ

1. 三流は「場を考えず」二流は「自分のホームで話し」一流はどこで話す?

あなたがプロポーズをするとしたら、どこでしますか?

きっと、イエスと言ってもらえる確率が上がりそうなシチュエーションを、一所懸命考えますよね。

対話をするときは、いつでも、ふさわしい場を考えられるのが一流のコミュニケーションです。つまり、ほしい成果を得るための場を選んで話すのです。何も、常にホテルのティールームで話さなければいけないというわけではありません。話す内容に応じて、会社の会議室だったり、居酒屋の半個室だったり、スターバックスだったりもします。

例えば、隣で女子高校生が恋バナをしているスターバックスで減給の話をされたらどうでしょうか。「自分は大切にされていない」と感じちゃいますよね。ホテルのラウンジや、ほかの社員からの視線が遮られる会議室など、落ち着いている場所で話されるほうが良いに決まっています。

家庭でもそうです。夫婦で大切な話をしたいのに、いつも他のことに気を取られてなかなか話が進まない。

そんなとき、私なら妻を「今度の日曜日にお茶でも飲みに行こう」と誘います。

予告をして場を改めれば、相手も話を聴く気持ちが整えられるのです。場合によっては自分の席に呼んで話すほうが効果的な場合もあるでしょう。

また、ざっくばらんに本音を聴きたいときには、相手のホームを選びます。

サッカーでは、本拠地をホームといいますよね。そして、サッカーの試合では、ホームチームのほうが勝つ確率が高いというデータがあるそうです。

たとえ、お互いの表面的な部分や一部分だけを見て、きちんと向き合っていなかった間柄でも、本音を話してもらえるように場を用意して、相手の話をじっくりと聴くコミュニケーションを心がけると、関係性を改善することもできるのです。また、照明を少し落としたほうが、内面的な話がしやすくなる効果もあります。

座る場所も、会社の上司・部下、年上・年下、親子などの関係性においては、正面で向き合うと圧がかかり相手も話しにくくなるので、本音を引き出すためにはお互いに目の前に相手がいない状態にするとよいです。斜め横(90度)に座れば、目を見て話すときは顔を向ければいいし、視線をずらすには前を見ればいいからです。

話す場所によって、相手の感情は変わる。

このことを知り、ほしい成果を得られる確率の高い場所を選ぶことが重要なのです。

場選び】一流は、ほしい成果の得やすい場で話す
――話す内容に応じて、ふさわしい場を考える

2. 三流は「先読みし」二流は「話を中断しながら聞き」一流は、どんな相づちを打つ?

日本の部下の53%は、会話の中で「自分よりも上司のほうが話している時間が長い」と感じているそうです。ちなみに日本以外の先進国では、その比率は20〜30%にまで下がります。また、「組織とリーダーに関するグローバル価値観調査」によると、日本では上司と部下の「会話の頻度」が高いものの、「良好度」「会話の充足度」は低くなっています。それの理由は、会話で上司のほうがたくさんしゃべっていて、部下にはあまりしゃべらせていないからと推測できそうです。

自分よりもいくらか年下の人や子供と話していると、「自分にもそんなことがあったなあ」と思うこともあるのではないでしょうか。経験を積んでいると、「そのときはこう思ったな」「理由はこうだったな」と、相手の話のオチがわかってしまうことも多いもの。オチがわかっていてもおもしろい話はありますが、辛抱が必要なときもあります。

そんなとき、「ああ、こういうことでしょ」と言ってしまうのは三流のコミュニケーション。その先読みの通りのことであっても、話を聴くことに大きな意味があります。

ましてや違う展開になるのなら「そういうことじゃなくて!」という気分に相手はなるでしょう。

これは、上司と部下との関係でも同じです。部下よりも知識や経験、ノウハウやスキルが高い分、部下の話を先読みして自分がしゃべってしまうということは多そうです。

話を最後までちゃんと聴くというのは、しばしば、待つことでもあります。待つことで、人や人間関係が育っていくのです。

相手の話を聴きながら質問をすると、熱心に話を聴いているような感じがしますよね。ですが、相手の話を遮ってしまうのは二流のコミュニケーションです。

「それは、○○だったの?」
「でも、○○ってこういうことでしょう?」
「それはおかしくない?」

などの言葉をはさむと、話している人の思考が止まり、言いたいことを忘れたり、話の流れがわからなくなったりします。

「最後までしゃべらせて!」とフラストレーションがたまってしまいます。

一流のコミュニケーションは、自分の考えを伝えることから始まるのではなく、相手を理解するところから始まります。

最後まで通して話を聞き、「全部話した?」と確かめてから、

「いくつか質問していいかな?」
「○○って理解したけれど、あってるかな?」
「もっと詳しく聞かせて?」

と、自分の話したいことを話します。これが、「私はちゃんと話を聴いています」というメッセージになるのです。

効果的な相づち】一流は、最後まで話を聞いてから話す
――相手の考えを先読みしない

3. 三流は「間」に気づかず、二流は「間」を恐れ、一流は「間」をどう扱う?

「ちょっとこの話、聴かせてよ」
「そうだね……」
というように、日常のコミュニケーションでは、しばしば沈黙の時間、つまり「間」が生じます。この「間」というのは、話す内容を考えてまとめている大切な時間です。

コミュニケーションは、呼吸のようなものです。呼吸というのは文字通り、吸って、吐いての繰り返し。対話も、自分が話しているときは、相手は聞いています。相手が話しているときは、自分は聴いています。一定の間で聞いて話してを繰り返していかないと成り立たず、苦しくなってしまうのです。それで、間というどちらも話していない時間が生じると、居心地が悪く感じるんです。

でも、例えば水泳中に潜水をしようとしたら、大きく深呼吸をしますよね。そしてふたたび水上に顔を出したら、何度も大きな呼吸を繰り返して呼吸を整えます。

コミュニケーションにおける「間」も、このようにお互いが呼吸を整えている状態です。呼吸を整える「間」があるからこそ、コミュニケーションは円滑になるんですね。

「間」に気づかないコミュニケーションをしていると、相手の沈黙に気づかずに自分ばかりが話していて、相手の話を全然聴けていなかったということが起こりがちです。話を聴きたいと思ってわざわざ時間をとったのに、結局は何も聴き出せなかったとしたら、こんなにもったいないことはありません。

また、「間」を恐れてしまう場合も、相手が考えているときに質問をしたり自分で考えたまとめを話したりして、相手の思考を乱してしまうことがあります。

「間」を大切にするためには、沈黙を受け入れましょう。

傾聴とは、自分の聞きたいことを聞くのではなく、相手が話したいこと、伝えたいことを、受容的・共感的な態度で真摯に聴くことなのです。傾聴の目的は、相手を理解することにあるからです。それによって、話し手が自分自身に対する理解を深め、納得のいく判断や結論に至り、建設的な行動がとれるようサポートすることができます。

「この話は終わってしまった」「この話はもうやめよう」という「間」もあります。

「間」をうまく使うと、場の雰囲気をもっとよく変えることもできます。「間」をおくことで違う話題に移りやすくもなるし、お互いの考えをまとめることもできます。

相手が沈黙しているときは、じっと視線を合わせていると、相手は詰め寄られているような気がしてしまいます。わざと視線を外して、落ち着いて考えをまとめてもらいましょう。相手の本音も引き出しやすくなります。

間合い】一流は、「間」を呼吸のように使う
――「間」を大切にする

嶋津良智/Yoshinori Shimazu
もっと“稼ぐ”組織を作る「上司学」「組織づくりの12 分野」メソッドの開発者である第一人者。大学卒業後、IT系ベンチャー企業に入社。同期100名の中でトップセールスマンとして活躍。その後28歳で独立・起業し代表取締役に就任。M&Aを経て2004年52億の会社まで育て株式上場(IPO)を果たす。2005年次世代リーダーを育成することを目的とした 教育機関『リーダーズアカデミー』を設立。業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博し、世界16都市でビジネスセミナーを開催。延べ5万人以上のリーダー育成に携わる。2013年 日本へ拠点を戻し、一般社団法人日本リーダーズ学会を設立。「上司学」をさらに進化させた新メソッド「組織づくりの12 分野」を開発し、世界で活躍するための日本人的グローバルリーダーの育成に取り組む。

TEXT=嶋津良智

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