35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第184回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
I always say “hit the books !” to children.
韓国で英語教師として子供たちに英語を教えている韓国人の友人から、こんなメッセージが来ました。
Recently, I always say “hit the books !” to children.
「最近は、常に子供たちに“hit the books”と言っている」
という意味になりますが、“hit the books”ってなんでしょうか。
直訳したら「本を打て」とか「本を殴れ」ということになります。
私が小学生の頃などは「本は、著者が生涯かけて得た知識をまとめたものだ。それを跨いだり、踏んだりしてはいけない」と教えられてきました。「本を殴れ」と子供に教えるとはなんてことだ、と思ったのですが。
hit the books=勉強する、勉強を始める
という意味のイディオムでした。
ケンブリッジの英英辞典ではこのような例文がありました。
I have to hit the books this weekend — I have two exams next week.
(私、今週は勉強しないと。来週2つテストがあるの。)
I can't go out tonight. I need to hit the books.
(今日は出かけられないよ、勉強しないと)
彼女の生徒は主に幼稚園児ですが、最近は小学生や中学生も教え始めているため「勉強しなさい!」と言う機会も増えたんだそうです。
“hit the books”の語源は諸説ありますが、古い時代にアメリカで言われていた“hit the trail”という諺からきているのではないか、と書かれているコラムもありました。“hit the trail”とは、カウボーイが「旅に出る」という時に主に使われる表現だということです。
さらに「hit〜」で「〜を始める」という風にも使われることがあり、こんなイディオムもよく使われるとのこと。
hit the ground running
「グラウンドを走りはじめる」ということで、つまり「直ちに全力で活動を始める」という意味になるそうです。
例えばこういう使い方ができます。
As soon as the CEO approval of the new product came through, the entire office hit the ground running.
(新製品の許可がCEOからおり次第、会社全体が総力をあげて動き出す)
「総力をあげて動きます」なんて、ビジネスの現場で、ちょっと誇張してプレゼンしたい時なんかは結構使えるかもしれません。
“hit the books”の場合は、本に向き合い始める=勉強を始めるというニュアンスなのでしょうか。英語の先生である彼女が何度も“hit the books”と言っているので、私自身にも言われているようで、なぜか少し反省しました。
ちなみに私は何をするにも形から入る人間なので、「デキるTOEIC」とか「IELTS攻略法」みたいな本は自宅にたくさんあります。そして同時に怠惰な人間でもあるので、ほぼ手付かずの状態で本棚に入っています。まずこの本と向き合わないといけないなと思っていたら、彼女がこうメッセージを送ってきました。
「“hit the books”って言うけどさ、小中学生はわりとみんなタブレットで勉強しているんだよね。まあタブレットの中にbooksが入っているからいいんだけど、なんだか今は“hit the tablet”でも通じそう」
そう言われて、「なるほど、タブレットで勉強すればいいのか」となぜか私も真に受けて、さっそく「デキるTOEIC」とか「IELTS攻略法」というようなアプリをダウンロードしました。
ダウンロードしてから数日経ちますが、まだ手付かずの状態です。もういい大人ですが、私にも子供たちみたいに、“hit the books!(勉強しなさい!)”と怒ってくれる存在が欲しいなとぼんやり思っています。
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連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。