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2023.01.23

"打ち砕く"ではない! “crush”のもう一つの意味とは

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第180回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……

Illustration=Norio

セレブリティークラッシュって何? セレブをぶっ壊せじゃないの?

最近、マーベルの映画「スパイダーマン」シリーズを何度も繰り返し見ています。

特に3代目スパイダーマンを演じるトム・ホランドが好きすぎて、暇さえあればYouTubeで彼のインタビュー動画を見漁っている毎日です。

ある時見ていた動画で、トムはこんなことを言っていました。

My first celebrity crush would have been Emma Watson in Harry Potter and the Goblet of Fire when she wears that pink dress.

(僕の最初のセレブリティークラッシュは、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』でエマ・ワトソンがピンクのドレスを着ていた時かな)

「セレブリティークラッシュ」の意味がわからずポカンとしてしまいました。

最初にセレブリティーに嫉妬して壊したくなった瞬間? などと意味不明なことを邪推してしまいましたが、トム・ホランドはそこから、エマ・ワトソンの魅力について目を輝かせてコメントしていました。

フレーズの意味はわからずとも、トムは「ハリー・ポッター」のエマ・ワトソンのことが大好きなんだな、ということはよく伝わってくるインタビューでした。

celebrity crush=芸能人にときめく

ということだそうです。

crushといえば「潰れる」「打ち砕く」という意味の動詞で覚えていましたが、実は他の意味もあるそうです。ケンブリッジの英英辞書では、こういう意味の名詞として説明されていました。

A strong but temporary feeling of liking someone.
(誰かのことを強く、けれど一時的に好きな気持ち)

基本的に「一時的」で、片思いである場合に使われているみたいです。
そっちの意味のcrushにcelebrityがつけば、「夢中になった芸能人」となるのもよくわかります。

トム・ホランドはその後、こうも言っていました。
I remember when I saw that film it was mind-blowing for me.
(彼女を映画で見た時、僕にとってマインド・ブロウイングだったのを覚えています)

mind-blowingは、ケンブリッジの辞書では“extremely exciting or surprising(すさまじくエキサイティングまたは驚くべき)”という意味の形容詞として説明されていますので、エマ・ワトソンがピンクのドレスを着て現れたシーンで、トムはとんでもなく驚き魅了された、ということでしょう。

よく考えれば、トム・ホランドだってセレブリティー。セレブリティーもセレブリティークラッシュに陥る、同じ人間だということもわかりました。

ちなみに、my crushという言い方もあるそうで、その場合は「忘れられない人」というような意味になるそうです。

Now she is my crush.
と言えば「今や彼女は僕の忘れられない人さ」ということみたいです。

crushは一時的な感情と説明されてはいましたが、片思い、叶わぬ思いという点から「心の隅にいつもいる忘れられない人」という表現になっているのでしょう。恋人がいたって結婚していたって、my crushがいる人もいるでしょう。スラングの辞書アーバンディクショナリーではこう説明されていました。

Someone you would do anything for. Someone you want to be with. A crush is also a person hard to forget. They are always on your mind. Later on maybe you will forget them. You might be the best you can be to that person but might not always work out.
(あなたが、その人のためになんでもしたいと思う人。一緒にいたいと思う誰か。忘れ難い人。あなたの心の中に常にいる人。けれどいつか多分忘れる人。その人のためにベストな自分でいようとするけど、常にうまくいくとは限らない)

なんだか複雑で哲学的な訳になってしまっていますが、まぁつまり片思いって、引きずるし、忘れられないし、うまくいかない。で、いつしか忘れていく、そんなことなのでしょうか。

ちなみに私のmy first celebrity crushは、幼い頃に目にした『教師びんびん物語』の田原俊彦さんです。’90年代には露出が減ってしまったため追いかけることもできず、なんとなく忘れられない人として、心の中に常にいたような気がします。

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連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。

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英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」

英語力ゼロのまま渡英、行けばなんとかなると思いつつなんともならなかった2年間のイギリス生活。帰国後はせっかく覚えたいくつかの英単語も忘れ去り、それでも時々は英語と格闘してみる現在、40歳。いつかはうまくなりたいから、恥を忍んで今日もブロークンイングリッシュ。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。

TEXT=MOMOKO YASUI

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