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2022.10.24

アプリ加工した美人写真を送ったら、在英友人に言われた“Catfishing”ってどういう意味?

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第167回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……

猫? 今流行り? キャットフィッシングって?

写真加工アプリで自分の写真を加工して遊んでいました。なかなか美人になったので面白くなって、イギリスに住むポルトガル人、トルコ人、ブラジル人の友達とのグループチャットに送ってみました。

「数年会わない間に、私美人になったの」
というコメントを添えて。

すぐさま、在英20年のトルコ人から返信が来ました。

This is catfishing!

「これはキャットフィッシングだ」という直訳になりますが、キャットフィッシングといわれても、浮かんでくるのは猫が釣竿にひっかかっている様子。しかし辞書をひいてみたら、「なまず」のことを“catfish”というそう。だとしても「これは、なまず釣りだ」という直訳になるのみで、意味がまったくわかりません。

しかしよくよくケンブリッジの英英辞典を見てみたら、“catfishing”にはもうひとつ意味がありました。

the practice of pretending on social media to be someone different, in order to trick or attract another person.

直訳すれば「他の人を騙したり、魅了したりするために、ソーシャルメディア上で別の誰かのふりをする活動」ということになります。

ようは、在英20年のトルコ人の方は、「こんなの別人だ!」と言いたかったのでしょう。確かに加工しすぎたその写真は、完全に私の顔とはかけ離れてしまい、すっかり別人です。実際、ケンブリッジの英英辞書の例文でもこのようなものがありました

Is editing your profile pic to make yourself look better really so different from catfishing?

「美人に見せたあなたのプロフィール写真って、なりすましとどう違うわけ?」

より正確に言えば、一度も会ったことのない人に、偽りのプロフィール写真を見せて騙す、ということを“catfishing”というみたいです。マッチングアプリ上でよく使われる言葉だそうで、例えば美人モデルの写真をネットから拾って自分のプロフィール写真にしてしまう、というようなことです。この例文は、「別人の写真ではないものの、ほぼ別人なので、この加工しすぎの写真はほぼなりすましでは?」と言っていることになります。

私とトルコ人の方の場合は、一度も会ったことがないわけではないので、実際は“catfishing”とは少し違いますが、けれども言いたいことはよく伝わってきました。

この言葉は2010年の『catfish』という映画から生まれたようです。写真家の男性が、Facebook上で出会った19歳の少女と恋に落ちるものの、実は女性は19歳ではなく、40歳の主婦で、プロフィール写真もネットから拾ってきたモデルのものだった――というドキュメンタリー映画です。この映画の内容から、“catfishing”という言葉がスラングとして広く使われるようになったということでした。

ちなみにこの“catfishing”という言葉を辞書で調べている最中、イギリスの語学学校でクラスメイトだったイケメンのスペイン人からFacebook上でタグ付け投稿された、という表示が入りました。もう数年会っていないのに、タグ付けして昔の写真を投稿してくれるなんて。とうれしくなってリンクにとんだら、まんまとフィッシングサイトに行ってしまいました。ようはこれも、イケメンのアカウントがのっとられ、詐欺師たちがイケメンの振りをしてタグ付け投稿してきた、という「なりすまし」、つまり“catfishing”でしょう。

慌ててパスワードを変更、私のアカウントは乗っ取られずにすんだものの、“catfishing”を調べている途中で、まんまと“catfishing”にあってしまったことが恥ずかしくてなりません。

Illustration=Norio

過去連載記事

連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。

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英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」

英語力ゼロのまま渡英、行けばなんとかなると思いつつなんともならなかった2年間のイギリス生活。帰国後はせっかく覚えたいくつかの英単語も忘れ去り、それでも時々は英語と格闘してみる現在、40歳。いつかはうまくなりたいから、恥を忍んで今日もブロークンイングリッシュ。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。

TEXT=MOMOKO YASUI

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