35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第166回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
MIAって、UMA的なもの!?
イギリスで知り合った韓国の友人が、出張で日本に来ているというので久しぶりに東京で会いました。彼女は英語も日本語もペラペラなので、ほぼ会話は日本語ですが、ときおりポロッと英語が出ることがあります。
「そういえば、あの子は元気? あの子もあなたと同じ、ソウルに住んでいるんだよね?」
と共通の知り合いについて尋ねてみたところ、この言葉を返されました。
Now, she is MIA.
ナウ、シーイズ ミア
と聞こえました。最後の猫の鳴き声みたいな、ミアってなんでしょうか。
「ああ、エムアイエーのことだよ」
と日本語で言い直されましたが、それでもわかりません。MIA?
UMA(未確認生物)とかUFOとかそういうものの類でしょうか。
MIA means Missing in action.
と今度は英語で説明されましたが、「ミッシング イン アクション」と言われてもまだわかりませんでした。
さらに聞いてみると、
Missing in action=消息不明
もともと戦場で、行方不明になった兵士のことをいう名詞および形容詞なのだそうですが、もっとカジュアルに「最近何をしているかわからない」「最近連絡をとっていない」「どこにいったかわからない」という意味でも使われるそうです。「あいつ、最近何してるの?」「いや、知らない、消息不明」というような会話で使えるみたいです。
Missing in actionの頭文字をとってMIA。「エムアイエー」と発音するそうですが、あえて「ミア」と猫の鳴き声のように発音する人もいるのだそうです。
ケンブリッジの英英辞典にはこんな例文がありました。
Brady told Bob that his jersey was MIA.
(ブレディーは、ボブに、「自分のジャージが見つからない」と言った)
このように、人だけでなく、モノにも使える言葉みたいです。
彼女は、私たちの共通の友人とはほとんど連絡をとっておらず、たまに連絡しても返信がないということで、このMIAという言葉を使ったようです。それなら今、もう一度メッセージしてみようかと、グループチャットで私からメッセージをしてみたところ。
Sorry I have been MIA. I was busy.
「私、消息不明だったね、ごめん。忙しかった」と返ってきました。ちなみにこっちの彼女は、韓国で英語の先生を目指しているので、英語がペラペラです。
「連絡してなくてごめん」を“I have been MIA.”と表現するなんて、なんだかおしゃれ、と思ってしまいました。それにしても、いくら英語がペラペラとはいえ、韓国在住の2人がこのスラングを使いこなしているのはすごいな、と思ったら、
「韓国語で『ミア』って発音すると迷子って意味になるの。意味はほとんど“Missing in action”と一緒だから覚えやすいし、英語を話す韓国の人の間ではちょっと流行っているよ」
ということでした。なんと韓国語まで勉強になってしまいました。
私も決して筆まめではなく、忙しくなるとメッセージに数週間返信せず、「あいつ死んだ?」とたまに言われているようなので、次回返信が滞ってしまったらぜひ“I have been MIA.”を使ってみたいと思いました。
Illustration=Norio
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。