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2022.09.01

賃金も物価も上がらない日本。負のループを抜けるためにすべきこと──これからの5年に必要なお金のスキル 4

新刊『未来のお金の稼ぎ方』から学ぶ「これからの5年に必要なお金のスキル」。第4回のテーマは、「お金の多面的思考」。

児玉隆洋氏

日本はかなり「安い国」であるという事実

日本に住んでいるとあまり感じないかもしれませんが、日本は今、世界から見てかなり安い国です。それを示す2つの指標があります。ビッグマック指数とディズニーランドのチケット代です。

ビッグマック指数とは、イギリスの『エコノミスト』という経済誌が発表している指数で、その国のビッグマックを買える力を測ります。指数が高い国ほど、ビッグマックが高くても買える国、つまり経済力がある国ということです。

2022年1月の発表では、最も高い国はスイスで、続いてノルウェー、アメリカ、スウェーデンと続きますが、日本ははるか下、57ヵ国33位と下位に沈んでいます。タイやブラジル、チリは、日本よりも上です。実際、日本のビッグマックは390円で、ドル換算(1ドル130円で計算)では3ドル。アメリカでは5.81ドル(755円)ですので、ほぼ半額です。

ディズニーランドのチケットにいたっては、なんと世界最安。2022年6月5日(日)の場合で各国のチケットを調べてみたところ、次のような結果でした。

東京ディズニーランド=8,400円
カリフォルニア・ディズニーランド=1万6,380円(126ドル)
フロリダ ウォルト・ディズニーワールド=1万6,640円(128ドル)
ディズニーランド・パリ=1万5,470円(119ユーロ)
香港ディズニーランド=1万485円(699香港ドル)
※2日、3日券は1日分に換算して比較。為替は1ドル・1ユーロ=130円、1香港ドル15円で計算

東京ディズニーランドは、アメリカやパリのほぼ半額です。ここで気づきたいのは、日本が安い国になってしまった、ということではなく、海外ではその金額でも払えるという事実です。そのぐらい、今の日本と海外の物価は違い、経済力に差がついているということです。

なぜ、日本だけがこんなに安くなってしまったのか。その理由としてバブル崩壊後、長く続いた不景気で、値上げに敏感になった消費者のマインドがあると思います。値上げを受け入れず安さを求めた結果、企業の売り上げは上がらず賃金は横ばいに。本来、経済成長と物価の上昇はセットです。日本が「賃金は上がらないけど物価も上昇しないから、特に不便はない」と停滞している間に、世界は値上げを受け入れ、経済を成長させ、賃金が上がっていった。そしてビッグマックが700円以上になっても、ディズニーランドが1万6,000円以上になっても払える経済力がついた。ここを認識する必要があります。

世界からみて、日本は今「安い国」です。コロナ禍以前、日本に来る観光客が驚くほど増えた理由のひとつは間違いなく、「安さ」でしょう。もし、このまま日本が変わらず、世界との物価や賃金の差がさらに開いてしまったらどうなるか。海外旅行に行けるのは、一部の富裕層になったとしても、まったく不思議ではありません。

上昇消費者マインドを変えよ!

この負のループを抜け出すために何をすべきか。まず変えなければならないと思うのは、私たち消費者のマインドです。安さだけを求めていては企業の売り上げが伸びません。これでは企業の売り上げは伸びず、賃金が上がらない未来になります。ここを脱却するために、私はお金の多面的思考が求められると思っています。

私たちは消費者であると同時に、働いて社会に価値を提供して収入を得る供給者でもあります。そして、投資家でもあります。消費者の立場から見て、安さだけを求めていては企業の売り上げが伸びません。これでは、供給者としての自分は、賃金が上がらず困ります。企業の業績が上がらなければ、投資家の自分も嬉しくないはずです。

供給者や投資家の目線を持てば、値段が上がっても欲しいもの、応援したいものが見えてきます。片側からだけではない、多面的な消費者マインドを持つ。それが世界との差をこれ以上広げない、お金のスキルになるはずです。

 

Takahiro Kodama
ABCash Technologies代表取締役社長。1983年宮崎県生まれ。2007年、サイバーエージェントに新卒入社し、AmebaBlog事業部長、AbemaTV局長などを歴任。2018年、日本の金融教育の遅れ・お金の情報の非対称性に大きな課題を感じ、ABCash Technologiesを設立。「お金のトレーニングスタジオABCash」は累計受講者数2万人を超え、パーソナル金融教育で日本最大規模を誇る。「日本スタートアップピッチファイナル」金賞(2019年)、「FINTECH JAPAN 」準優勝(2021年)など受賞歴あり。

 

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私たちのお金は今、大きな変革の時を迎えようとしている。テクノロジーの急速な進化により、長く親しんだ紙幣は形を変え、その使い方や稼ぎ方も新しいステージへ進む。そんなお金の新しい時代に最低限必要なのは、お金の本質を理解し、お金とテクノロジーのメガトレンドを知っておくことだ。累計受講者数2万人を誇る「お金のトレーニングスタジオABCash」を運営する児玉隆洋氏が、未来のお金の稼ぎ方、貯め方、使い方、増やし方を伝授する。

 

連載「これからの5年に必要なお金のスキル」とは……
「未来の豊かさはマネーリテラシーが左右する。特にここからの5年は勝負の分かれ目」。そう語るのは、国内最大級のマネースクール「お金のトレーニングスタジオABCash」を運営し、8月に『未来のお金の稼ぎ方~お金が増えれば人生は変わる』を出版した児玉隆洋氏。本連載では、次の時代を生き抜くために今備えたいお金のスキルを紹介する。

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TEXT=大上ミカ(カクワーズ)

PHOTOGRAPH=坂田貴広

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