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2022.08.02

ホテルの新定義? 電車でいける非日常旅「ホカンス」とは

商品やサービスの誕生の過程で企業が得たインサイトに基づき、Z世代を動かすキーワードやヒントについて考察する、シリーズ「若者生態研究所」。第2回目のキーワードは「ホカンス」。

ホカンス

Photo by alevision.co on Unsplash

発祥の地は韓国

ホカンスとは、ホテルとバカンスを組み合わせた造語で、その名の通りホテル内での時間をバカンス気分で楽しむというものだ。その言葉の発祥は韓国で、ハッシュタグなどを通じて若者世代から広がり、日本でも使われるようになったようだ。これまでの旅というと目的地に行き、ホテルはあくまでも夜を過ごすための場所というのが若い世代の利用方法で、ホテル内での時間を長くとるのは旅慣れた大人であり、ホテル側のコンテンツづくりもその傾向があった。しかし、最近はZ世代にとっても、ホテルを楽しむ旅はぐっと身近になっているようだ。

SHIBUYA109 lab.が一都三県在住の15~24歳の男女400名に行った旅行に関する調査によると、「今後行きたい旅行先」(複数回答)は2020年の1位が「遠方の国内」(69.5%)だったのに対し、2022年は「近場の国内」(76%)と近場旅が多くの支持を受けている。

同じく行ったグループインタビューでも「東京のホテルに泊まることも旅行だと思っている(神奈川県在住)」「今後旅行で行きたい場所は浅草(神奈川県在住)」という発言があり、「ホカンス」や「ステイケーション(近場のホテルでの滞在を楽しむこと)」など、旅行に含まれる概念が、生活圏の特別な場所に行くことも対象となってきているのが見える。コロナ禍で遠方に行くことが制限されるなかでも、新しい楽しみ方を見つける。そんなニーズにホテル側も応えようとしている。

ハリウッド映画のワンシーンのようなリゾートが赤坂に出現

ホテルでのバカンス、となるとまず思い浮かべるのがプール。コロナ前には「ナイトプール」がブームになったが、当時は写真だったのが、今は動画へとトレンドがシフトしていることもあり、自然光の下で撮影できる日中も人気となっている。

「#MUMMBEACHCLUB」は、2018年にANAインターコンチネンタルホテル東京で始まったプールイベントのオリジナルの名称で、2018年・2019年に続き、3年ぶりに復活。2022年9月19日(月・祝)までの期間限定で、「マム アイス エクストラ」の世界観でプール全体を演出。ホテルがある赤坂は、政治の中心地・永田町にほど近く、クラシックなどを上演するコンサートホールや劇場といった施設も多い大人のエリア。若い世代にとっては、日常的にはなじみのないエリアだが、この特別な空間には惹かれるものがあるようで、多くの人を引き付けているという。

ホカンス

晴天の日には抜けるような空の元、都心でバカンス気分が味わえる。

今年は新発売された「マム アイス エクストラ」のボトルカラーのホワイトをベースに、メゾン マムのブランドを象徴する赤いリボンをデザインしている点が特徴。以前はレッドを基調にしたデザインだったので、青空の下でレッドとホワイトのコントラストが映える空間は、過去に訪れたことがある人にとっても新鮮に映るようだ。

ネーミングに「#」(ハッシュタグ)をつけている理由は、同ホテル広報推進マネージャーの森直美氏によると「20歳代から30歳代の女性層をメインターゲットに、時流に合わせたネーミングのオシャレ感を訴求するとともに、実際にMUMMのブランドカラーに彩られたフォトジェニックな空間で愉しんでいただき、SNSを通じて広く情報をシェアしていただきたいという意図がございます」とのこと。

#MUMMBEACHCLUBもオープン最初の週末は最大で1日150名の利用があり、適切な距離と感染対策を取りながらも、移動距離も少なくオープンエアで楽しめる「ホカンス」の空間としてのニーズに見事に応えたようだ。

「マム アイス エクストラ」は氷を入れて楽しむことができるシャンパーニュ。ここでは専用のロゴ入りのグラスで楽しめるのに加え、「マム アイス エクストラ シャンパンフラッペ」という暑い夏にぴったりなメニューも展開中だ。

ホカンス

夜も営業し、日中とはまた違った趣の東京タワーを見ながら夜のホカンスを堪能。

ホカンス

マム アイス エクストラ シャンパンフラッペ。

バーのなかにブランコが出現!

同じくANAインターコンチネンタルホテル東京内には、シャンパーニュメゾンの世界観に染まる「シャンパンバー」がある。ここは定期的に1つのメゾンをフィーチャーし、そのメゾンの色に1年単位のレベルで模様替え。現在は「シャンパン・バーby テルモン」として、1912年創業のメゾン「テルモン」の世界観を表現した空間に変わっている。

テルモンはサステナブルな経営方針を掲げ、ブドウの栽培は自家発電で対応し、各ボトルにはシリアル番号を表記してトレーサビリティを実現。フロントラベルには、収穫時期や成分などの情報を表示するなど、情報公開を可能な限り行っている。

こちらのバーのデザインもその考えを反映。ブランドカラーのグリーンと木目でシンプルモダンな店内には、解体される古い家屋から回収された、まだまだ使える貴重な資材を使い、再び世の中に循環させるという。

先日ある企業の「お酒が飲めない/飲まないZ世代」のインサイト調査について聞いたのが、Z世代の映えニーズでは、ナチュラルで落ち着いたトーンのものを好む傾向が目立ってきているということだ。ここは、そんなニーズにも的確に合っているといえる。

店内にはブランコ式の椅子席「スイングシート」があり、落ち着いた雰囲気を備えながらも遊び心を加味し、若い世代に来店のハードルを下げるポイントもある。

シャンパーニュに、どんなおつまみがセットになっているのかが視覚的にわかるアフタヌーンティーセットのようなメニューになっているので、ホテルのバーに慣れていない人でも利用しやすいのもポイントなのかもしれない。

ホカンス

「シャンパン・バーby テルモン」の様子。写真右にあるのが「スイングシート」だ。

ホカンス

シャンパーニュ「テルモン」に合わせたペアリングメニュー「ナチュール」¥5,594(税・サービス料込) ※「ナチュール」については、前日18:00までに要予約。

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Yuko Kitamoto
大阪生まれ。IT系出版社に勤務後、「女性にもITをもっとわかりやすく伝えたい!」とIT系編集・ライターとして独立したはずが、生来の好奇心の強さとフットワークの軽さから気が付けばトレンドライターとして幅広いジャンルを取材・執筆。人をより幸せにしたいと開発された商品やサービスに込められた思いを広く伝えるべく、日々駆け回っている。

TEXT=北本祐子

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