35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」第130回!
ファンダムって何?
オンラインで日本語を練習したい外国人の方と話す副業をしています。
先日は、アメリカの方と、「推し活」についての新聞記事を一緒に読みました。
「推し活」という言葉は、最近生まれた日本語のスラングのようなものですから、日本語検定2級を持つその方でも、意味がわからなかったようです。
「好きな俳優さんとか、キャラクターを応援するために、公演に行ったりグッズを買ったりする活動」ということを伝えると。
That’s fandom!
と、日本語ができるのに突然英語になりました。
「ファンダムって何?」と聞き返すとこういうことでした。
「なにかの大ファンで、ファン同士がソーシャライズすることだよ。私はゲームのファンダムかな」
コリンズ英語辞典ではこのように説明されています
Fandom is the state of being an enthusiastic fan of something or someone.
[ファンダム]とは何かや誰かの、熱狂的ファンである状態。
Someone's or something's fandom is their group of enthusiastic fans.
[何かや誰かのファンダム]とは、それらの熱狂的ファンの集団のこと。
熱狂的ファン、あるいはファン集団を指すようです。
ただ、そのアメリカ人の方の説明によると。
「彼氏もゲーム好きだけど、彼は1人で家でやってるだけ。でも私はゲームイベントに参加するし、他のファンともSNSで交流するの。だから私はファンダムに参加しているけど、彼はファンダムの1人とはいえないかな」
推し活の場合は、ひとりで黙々と対象に課金し推す、ということもあるかもしれません。
ただ、多くの人がライブに行ったり、SNSで情報交換をしたりしているでしょうから、「ファンダムに参加する」が、推し活をする、という翻訳になってもいいのかもしれません。
もともとファンダムは、“Fan”と“Kingdom”が合わさった造語だそうです。ファンがおりなすキングダムすなわち王国、ということであればやはり、積極的に情報をとりにいったり交流をするタイプの推し活、かもしれません。
テトリスなどのパズルゲーム系には湯水のごとく時間を使ってしまうのですが、それ以外のゲームにはまったく明るくない私は、彼女がとうとうと語るそのゲームの魅力を、ただ聞き流していました。それはどうやら日本のゲームのようでした。
「でも、もしそのゲームクリエイターに取材なんかで会うことがあればぜひ教えてね、聞きたいことがいっぱいあるの」
そう彼女が言ってレッスンは終わりました。
そしてその数分後、彼女からfacebookにこんなメッセージが。
If you have a chance to see him, DM me.
「もし彼に会う機会があればDMをください」そう念押しのメッセージを送ってきたのです。
しかし、このメッセージにも、目から鱗が落ちました。
DMをください、と言いたいとき。
Please give me a Direct Message
と私は懇切丁寧に今まで書いていた気がします。
しかし、“DM me”でいいのか! とは驚きでした。もちろんオンライン上のコミュニケーションですから、いろいろ省略されていますし、“Please give me a Direct Message”の方が丁寧なのには違いないのですが、“DM me!”だとなんだか英語にもオンラインのコミュニケーションにも手慣れている感じがして、かっこいい! 今度使おう! と、思ってしまいました。
「手慣れている感じがしてかっこいい」と思う時点で、英語もオンラインコミュニケーションも得意でないことが一目瞭然かと思いますが。
Illustration=Norio