35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力ゼロレッスン「人のEnglishを笑うな」第82回!
ギャグを理解できる英語力が欲しい!!
最近、Youtubeで、海外のコメディやバラエティ番組を見ています。しかしたいていのコメディアンは早口ですし、複雑なことばかり言うのでまったくついていけず、すぐに脱落してしまいます。日本語字幕がついていても、文化が違うので、正直なにが面白いのかまったくわからないことも多々あります。
ぼんやりと見ていた番組では、おそらく「そんなくだらないこと言うな」と司会者がコメディアンにツッコんでいたのですが、その際に、言っていた言葉が唯一聞き取れました。
Dad jokes
お父さんのジョーク。これは「親父ギャグ」では!? とOxford Languagesで調べてみると。
an unoriginal or unfunny joke of a type supposedly told by middle-aged or older men.
(中年以上の男性が言う、オリジナルではない、または面白くないジョーク)
まさに、「親父ギャグ」でした。英語圏でも「つまらないことを言うのはおじさん」とされているのです。でも、ギャグを言って和ませようとしてくれるおじさん、とってもいいと思います。
英語の親父ギャグ、果たして理解できるのだろうか、と疑問に思い調べてみました。
なんと英語版のウィキペディアが、“Dad joke”の典型として、こう紹介していました。
A child will say to the father, "I'm hungry," to which the father will reply, "Hi, Hungry, I'm Dad."
(子供が父親に「お腹すいた」と言うと、父は「こんにちは、ハングリー、お父さんだよ」と答える)
一瞬、なにがギャグなのか、まったく理解できませんでした。
“I’m hungry”を“I’m Tom”というような自己紹介として「やぁ、ハングリーくん、わたしはお父さんだ」と言う、ことのようです。確かに、こう言われた子供の、いやな表情が目に浮かぶようです。
ほかにもこんなものがありました。
What kind of shoes do ninjas wear? Sneakers!"
「忍者はどんな靴を履くの?」「スニーカー!」
“sneak”とは「こっそりどこかへ行く」「こっそり入り込む」というような意味の動詞なので、忍者が「忍ぶ」様子を、「スニーカー」とかけたのでしょう。
イギリス英語では、スニーカーのことは“Trainer(トレーナー)”というので、イギリス圏では言わないかと思いますが、日本が誇る忍者の、世界的人気も感じられるギャグです。
個人的に勉強になったなぁと思ったDad jokeはこちらです。
I don't trust stairs. They're always up to something.
(階段は信用していないんだ。いつもなにかを企んでるから)
“up to something”で「何かを企む」という意味になると同時に、階段で上へ行くという意味の“up”がかかっているのかと思われます。親父ギャグを理解するには、日頃どれだけ慣用句を覚えているのかを試されます。必死の形相で、ギャグを理解しようと考えている時点で、言ってる方は興醒めかもしれませんが。
Illustration=Norio