削らない、しみない、90分で完成、AI診断……。気づけば“歯科の当たり前”は塗り替えられていた。編集部が取材中に集めた歯科医療の最新トピックスを一挙紹介。審美歯科編。【特集 歯こそ最強のビジネス戦略】

1.削らないでベニアを貼るゼロネイト。自然な白さで美容関係者に人気
韓国発! 最先端審美歯科治療
審美歯科においての“ベニア”といえば、「歯を薄く削ってからセラミックなどを貼りつけてきれいな白い歯にする」というものが主流だった。
ところが近年、韓国の美容歯科シーンを中心に「ゼロネイト」と呼ばれる“削らないベニア”という選択肢が急速に支持を集めている。歯をほとんど削らず、極薄のセラミックシェルを直接貼りつけ、「リスクの低い審美治療」として選ばれている。
天然歯を大事にしながら見た目を変えられるという発想は、歯を「資産」と捉える価値観とも親和性が高い。削る削らないは、単なる施術方法の違いではなく、歯への向き合い方そのものを映しているのかもしれない。今後、日本での本格導入にも期待が高まる。
2.奥歯や歯茎、歯列も気になる人のための救世主、ミニッシュ
韓国で大流行中。修復の新たなカタチ
白くしたいけど削りたくない、歯並びも歯茎のラインも気になる──そんな複合的な悩みに応える形の審美治療として韓国で広がっているのが「ミニッシュ」だ。
最大の特徴は削合量の少なさにある。従来の審美治療では歯を0.7~1.0㎜削る必要があったが、ミニッシュはわずか0.1~0.3㎜削るだけで修復可能。歯の色や形だけでなく、歯茎や顔全体のバランス、嚙み合わせの機能面まで含めて整える設計思想を持つ。口元全体の調和を一度に再構築する発想だ。
素材には特別なセラミックブロックが使われ、強度・透明度・摩耗度は天然エナメル質に近いという。歯を「資産」と考えると、削る量の少なさは何より説得力のある指標になるだろう。
COLUMN|派手な笑顔、地味な笑顔、決め手はバッカルコリドーだった
整った歯並び、白い歯──それでも「なぜか華やかさに欠ける」と感じたことはないだろうか。その正体は「バッカルコリドー」という、笑った時に口角と奥歯の間にできる暗い影でできた空間にある。バッカルコリドーが広いと、せっかく整った歯並びも影に埋もれ、笑顔全体が地味な印象になる。
審美歯科の現場では、歯列のアーチ幅を広げる矯正設計や、奥歯の見え方まで計算したセラミック治療により、このバッカルコリドーを意図的にコントロールする手法が用いられる。歯の色や形を整えるだけでは届かない、笑顔の「印象設計」がそこにはある。
派手な笑顔と地味な笑顔を分けるのは、歯ではなく「歯と頰の間の余白」だったのだ。

この記事はGOETHE 2026年9月号「総力特集:歯こそ最強のビジネス戦略」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

