抗不安作用や抗炎症作用といった効能を持つCBD(カンナビジオール)を手軽に服用する方法として注目されているのが、CBDコーヒーやベイプによる吸引、クリームやロールオンなど塗るタイプのアイテム。本当に効果があるのか、副作用など危険性はないのかなど、CBDオイルの第一人者、飯塚浩先生に聞いた。
効能を打ち消し合うCBDコーヒーには意味がない
CBDオイルの服用法として、最近増えているのがコーヒーに入れるという方法。
海外ではCBDオイル1滴につきいくらという料金設定をしている飲食店があり、日本でもCBDカフェを見かけるようになった。
そもそもコーヒーとCBDの組み合わせに意味があるだろうか。飯塚先生に聞いてみた。
「健康効果の高いCBDの摂取を習慣化する一つの方法として全否定はしませんが、そもそも日常的なカフェイン摂取はお勧めできません。カフェイン摂取は交感神経を興奮させることで忙しい現代人にわかりやすいメリットをもたらします。
しかし交感神経興奮の持続は、血糖値の上昇、食欲不振や過食の誘発、消化力の低下、ひいては私たちの活動エネルギ−の低下をもたらします。
不眠を訴えて受診される患者さんによくよく話を聞くと、コーヒーや緑茶などで大量にカフェインを摂っているケースが少なくありません。
不眠を解消したいなら、CBDの服用以前に、カフェインの過剰摂取をやめるべきでしょう。
そもそもCBDはあくまでもサポートツール。内因性カンナビノイドは、老化のほか、ストレスや栄養障害、有害金属の影響で機能が低下するので、まずは、バランスのとれた食事をし、生活リズムを整え、ストレスをなくすなど、日頃の生活を見直すのが基本。
そのうえで、必要に応じてCBDの力を借りるというのが正しい順番なのです」
ベイプと呼ばれる電子タバコを利用して、CBDの成分が含まれたリキッドを加熱し、蒸気を吸引するという方法についても、飯塚先生に尋ねてみた。
「吸引は吸収率が高い方法です。しかし電子タバコのリキッドにはPG(プロピレングリコール)、VG(植物性グリセリン)、香料などが含まれています。これらを長期間吸入して本当に安全なのかという疑問があります。
また、効果の高いブロードスペクトラムに含まれる成分すべてを安全に気化することは困難ですので、必然的にCBDアイソレートを用いることになります。
そのため吸収率は高くても、ブロードスペクトラムCBDオイルの舌下服用と比較して効果が落ちてしまうかもしれません。そういった理由で、今のところベイプはあくまで“嗜好品”という位置づけです」
肩こりや足腰などの局所の痛みには“塗る”タイプも
CBDを配合したクリームやロールオン、コスメなど、“塗る”タイプも多数市販されているが、こちらはどうだろう。
「肩凝りや腰痛、膝、筋肉などの局所の痛み、アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)の皮膚症状に対して、対象部位に直接塗るのは効果的です。
また、皮膚に塗ったCBDが血中に入り込むわけではないので、他の薬との併用において安全性が高いのもメリットです。
疼痛や皮膚症状の範囲が広い場合や不眠や不安を伴うような場合には、舌下服用タイプとの併用もお勧めです」(飯塚先生)
CBDは痛み、炎症、不眠など今抱えている悩みの改善だけでなく、血糖値の安定、骨粗しょう症、歯周病、認知症、がんなどに対する予防医療的な効果にも注目されているという。
「しかし健康にとってもっと大切なのは日頃の食事、睡眠、心の持ち方などの生活習慣です。
ストレスや栄養障害、有害金属、加齢などにより体内の内因性カンナビノイドの低下が起こってしまいます。そういった基本的な生活習慣を整えることで、CBDの素晴らしい効果をいっそう実感できるでしょう。
正しい知識でCBDを活用し、ご自分とご家族の健康と幸せにつなげてください」(飯塚先生)
まとめ
局所の痛みや皮膚の症状緩和には“塗るタイプ”が効果的。
Q&A
Q.CBDクリームは何に効く? どこに塗ればいい?
A.痛みや症状のある部位に塗ってください
CBDクリームは抗炎症作用があるので、痛みや皮膚の症状緩和に効果を発揮。肩凝りや腰痛、膝痛、生理痛など痛みが生じている部位や、アレルギー性皮膚炎、乾癬など、症状がみられる箇所に直接塗ればOK。
Q.CBDクリームは違法ではない?
A.日本でもTHCが含まれていないものは認可されています
Q.CBDクリームは肌に負担はない?
A.CBDそのものは安全
CBDそのものは安全性が高く、肌トラブルの原因となる可能性は低い。ただし、クリームやコスメの場合、他の成分が配合されているケースが大半。他の成分が自分に合うものかどうかはわからないため、まずはごく狭い部位で試して確認を。