GOLF

2026.04.07

100Yアイアンショットをピンそばに寄せるコツ。2026マスターズ優勝候補に学ぶ

春の風物詩、ゴルフの祭典「マスターズ」。舞台となる米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCでは、今年も世界最高峰の選手たちがグリーンジャケットを懸けて争う。2025年はローリー・マキロイが悲願のキャリアグランドスラムを達成し、大きな話題を呼んだ。2026年大会は世界ランク1位スコッティ・シェフラーを筆頭に、ルドビグ・オーバーグ、ブルックス・ケプカらが優勝争いの中心となりそうだ。本記事ではマスターズの見どころを振り返りながら、王者シェフラーのスイングを分析。動画とともに、アマチュアゴルファーのショット精度向上に役立つポイントを解説する。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン番外編/なぜプロはピンに寄る? マスターズでわかる“アイアン精度”の秘密

マスターズとは? オーガスタで生まれてきた伝説のドラマ

ゴルフの4大メジャーの​なかでも、特別な空気が流れるのがマスターズだ。

舞台となるのはアメリカ・ジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ。同クラブは夏場の5月から10月までクローズするなど、マスターズ開催に向けて1年をかけて整備される特別な舞台として知られる。さらに、毎年同じコースで開催される唯一のメジャーであることも、この大会をより特別な存在にしている。

2025年大会では、ローリー・マキロイがついにキャリアグランドスラムを達成した。最終日は苦しみながらも終盤に追い上げられ、ジャスティン・ローズと通算11アンダーで並んでプレーオフへ。1ホール目でバーディーを奪い、念願のグリーンジャケットを手にした。2014年の全米プロ以来、実に約11年ぶりのメジャー制覇。長く続いた無冠の期間を乗り越えての歴史的勝利は、マスターズが生むドラマを改めて印象づけるものとなった。

また、今回は2025年11月に74歳で亡くなったファジー・ゼラーを偲ぶ意味でも特別な大会となる。ゼラーは1979年にマスターズ初出場で優勝する快挙を成し遂げ、メジャー2勝、PGAツアー通算10勝を挙げた。その豪快なプレーとユーモアあふれる人柄は、マスターズの歴史に彩りと記憶を残す存在だった。

オーガスタ攻略の鍵 “アーメンコーナー”とバックナインの悲劇

オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは、一見すると美しい庭園のように見える。しかし実際は、極めて難易度が高く戦略性に富んだコースだ。

ガラスのように速いグリーンに目が奪われがちだが、最大の特徴はアップダウンの激しさにある。テレビではわかりにくいが、ショットを狂わせる傾斜のワナが随所に潜んでいる。

10番のティーショットは落下地点が見えない状態で打つため狙いが定めづらく、急な打ち下ろしはスキー場にいるような錯覚を覚えるほどだ。18番のセカンドショットは、強い上り傾斜のためグリーン面が見えず、距離感を狂わせる要因となる。

なかでも勝負を分けるのが、11番から13番までの通称“アーメンコーナー”。

距離が長く左の池が絡む11番パー4、風が読みづらいクリーク越えの12番パー3、リスクとリターンが交錯するパー5の13番。ここでの判断が優勝争いを大きく左右する。

特に12番では、2016年大会で2位に5打差をつけてバックナインに入ったジョーダン・スピースが、2度クリークに入れて4オーバーを喫し、最終的に2位タイとなったように、首位で迎えた選手が一気に崩れる場面が繰り返されてきた。

アーメンコーナーを抜けても油断はできない。15番のパー5はイーグルも狙えるが、グリーン前後にある池がチャンスホールを一転してダブルボギーの悪夢に変える。

優勝争いの選手がバックナインで崩れる光景は、この大会の定番ともいえる。このコースでは傾斜やグリーンへの対応はもちろん、何よりも強い精神力が求められる。さらにオーガスタには魔女が棲むと言われ、その魔女に微笑まれた者が勝つとも言われている。そのわずかな後押しをつかんだ者だけが、グリーンジャケットに袖を通すことを許されるのである。

2026年マスターズ優勝予想。本命シェフラー、対抗オーバーグ、穴はケプカ

今年の優勝最有力候補は、やはり世界ランク1位のスコッティ・シェフラーだ。

過去のマスターズでは2022年、2024年と2勝を挙げており、オーガスタとの相性は抜群。安定したティーショットと精度の高いアイアンショットに加え、近年はパッティングも改善され、隙のないゴルフを展開している。

今シーズンは1月のザ・アメリカンエキスプレスで優勝したものの、その後はザ・ジェネシス招待で連続トップ10入りの記録が18で止まり、その後もトップ10外が続くなど、やや足踏み状態にある。ただ、トップ10に入らないだけで話題になるのは王者の証しでもある。加えて第2子誕生というプライベートでの変化もあり、気持ちを新たに臨む大会となりそうだ。

対抗として注目したいのがルドビグ・オーバーグだ。

2024年大会では初出場ながらシェフラーと優勝争いを演じて2位タイとなり、コース適性の高さを証明した。高弾道のショットはオーガスタの高速グリーンにマッチし、ロングゲームの安定感はトップクラス。

2023年のPGAツアーデビュー以降、2勝を挙げて経験値も着実に積み上げてきた。今季はアーノルド・パーマー招待で3位に入り、さらに第5のメジャーと呼ばれるザ・プレーヤーズ選手権では3打差の首位で最終日を迎えながら、バックナインで崩れて5位に終わったものの優勝争いを演じた。勝ち切れなかった悔しさは残るが、メジャー初優勝へ向けた準備は整っているとみていいだろう。

そして穴として面白いのがブルックス・ケプカだ。

メジャー通算5勝を誇り、大舞台での強さは周知の通りだ。マスターズでは2023年に3日目を終えて単独首位に立ったものの、最終日に崩れて惜しくも2位タイと、相性は悪くない。

近年はLIVゴルフに参戦していたが、2026年シーズンはPGAツアーによる、2年以上離脱していたトップ選手を対象とする特例措置「リターニングメンバープログラム」によって、1月末にPGAツアーへ復帰した。

しかし、復帰後は6試合の出場で予選落ちが2回、コグニザントクラシックの9位タイが最高と、思うような成績を残せていない。特にパッティングの調子が上がらずに手探りの状態が続いている。それでもグリーンを狙うショットの貢献度を示すストロークスゲインド・アプローチ・ザ・グリーンは3位と、アイアンショットは好調だ。大舞台で一変する勝負強さは健在で、好調のショットにパットが噛み合えば一気に優勝争いへ浮上する可能性を秘める。メジャーハンターと呼ばれた男がどこまで本領を発揮するか注目だ。

このほかにも、連覇を狙うローリー・マキロイ、松山英樹など経験豊富な選手や、今季2勝のクリス・ゴトラップなど勢いある若手が多数出場予定で、例年以上に混戦となる可能性が高い。だが、最終的に求められるのは日曜日のバックナインを乗り切る精神力だろう。伝統の舞台で、優勝者に与えられるグリーンジャケットに袖を通すのは誰か。2026年のマスターズもまた、ゴルフ史に残るドラマを生む準備が整っている。

世界ランク1位シェフラーの強さ。独特なスイングを解説

マスターズ優勝の大本命シェフラーの最大の武器は、アイアンショットの精度だ。特に100ヤード前後の距離では、常にピンに絡めるショットを打つ。

そのショット力を支えているのが、現代のティーチング理論の主流とは少し異なる独特のスイングだ。

アドレスではウィークグリップを採用し、トップではフェースがオープン気味になる。そこからダウンスイングでは積極的に体を回転させながら、再現性の高いフェードボールを放つ。またインパクト後に右足が後方へ流れる独特のフットワークは、左サイドへ体重移動する際のバランス維持のための動きだ。

さらに早い段階でクラブをリリースすることでヘッドを走らせ、自然なフェースターンを生み出している。この個性的な動きが再現性の高いショットを生み、現在の安定した強さにつながっているのだ。シェフラーと同じウィークグリップの人は世界最強のスイングを参考にしてみるのもいいだろう。

動画で解説|スコッティ・シェフラーのスイング

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=AP/アフロ

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2026年5月号

HOTEL 動と静の最新リカバリー拠点

『GOETHE(ゲーテ)2026年5月号』表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2026年5月号

HOTEL 動と静の最新リカバリー拠点

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ5月号』が2026年3月25日に発売となる。特集「HOTEL 動と静の最新リカバリー拠点」では、心と身体を解放させるラグジュアリーホテルを厳選して紹介する。表紙はHYDE!

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる