GOLF

2026.03.21

アドレスで考えすぎて、静止時間が長くなるほどミスしがち…構えから打つまで“9秒”のススメ

ショットの前、アドレスで考えすぎて体が固まってしまう――そんな経験はないだろうか。PGAツアーで注目を集める若手スター、ルドビグ・オーバーグのルーティーンは、ターゲット確認からショットまでわずか約9秒。そのテンポの良い流れが、再現性の高いスイングを生み出している。アマチュアにも参考になるそのルーティーンを動画解説ともに紹介する。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/アドレスで止まる人ほどミスする。PGAプロが実践する“9秒ルーティーン”

PGA注目選手オーバーグの武器。スイングの再現性を生む「9秒ルーティーン」

ラウンド中、アドレスに入ってからスイングの動きを考えすぎてしまい、体が固まってしまった経験はないだろうか。アドレスで長く静止してしまうと動き出しがぎこちなくなり、スイング全体の流れが悪くなる。結果としてミスショットにつながる――これはアマチュアゴルファーに多いパターンだ。

そんな人に参考にしてほしいのが、PGAツアーの若手スター、ルドビグ・オーバーグのルーティーンである。

オーバーグはツアーの中でもプレーが速い選手として知られ、後方からターゲットを確認してボールを打つまでの時間はおよそ9秒。迷いなくスムーズにスイングを始動する姿が非常に印象的だ。

オーバーグは2022年に世界アマチュアランキング1位となった逸材。米・テキサス工科大学では2023年、ベン・ホーガン賞、ジャック・ニクラス賞、ハスキンズ賞といった大学ゴルフ界の主要タイトルを独占した。3賞を同時受賞した史上6人目という歴史的な実績を残している。

大学ゴルファーの年間成績をポイントで評価し、順位に応じてPGAツアーや下部ツアーの出場権が与えられる制度「PGAツアーユニバーシティー」。1位の選手にはPGAツアーのツアーカードが与えられるというもの。オーバーグはその第1号として2023年にプロ転向した。

プロ転向直後にDPワールドツアーで優勝し、ルーキーながら欧米対抗戦ライダーカップのメンバーにも選出されるなど、異例のスピードで世界のトップ舞台へと駆け上がった。同年のザ・RSMクラシックでは早くもPGAツアー初優勝を果たしている。

2024年は優勝こそなかったものの、初出場のマスターズで2位に入るなど安定した成績を残し、世界ランキングでもトップ10圏内に浮上。

2025年シーズンには2月のジェネシス招待で優勝し、PGAツアー2勝目を挙げた。そして2026年シーズンも序盤から安定したプレーを見せている。

アーノルド・パーマー招待では通算12アンダーで3位タイ。“第5のメジャー”と呼ばれるザ・プレーヤーズ選手権では3日目まで首位に立ったが、最終日は4オーバーとスコアを落として通算9アンダーの5位タイ。優勝には手が届かなかったものの、上位争いを続けている。

オーバーグの武器は、精密機械のように再現性の高いスイングだ。ドライバーでは平均313ヤード(2025年・14位)を記録しながら方向性も安定しており、そのショット力はツアー屈指といっていい。

その安定したショットを支えているのが、毎回同じ流れで行われるルーティーンである。

足ワッグルでリズムを作る。テンポの良いルーティーンがスイングを安定させる

アドレスで完全に静止してしまうゴルファーは多い。しかしオーバーグは、クラブのワッグルと足の動きを組み合わせたルーティーンによって体をリラックスさせ、自然な流れでテークバックへ入っていく。

 オーバーグのルーティーンは、ボールの後方からターゲットを見て弾道をイメージすることから始まる。そのイメージを持ったままアドレスに入り、スタンス幅を整える。ボールの後ろにクラブを直接セットするのではなく、クラブヘッド1個分ほど手前に置く。

続いて、シャフトが地面と平行になるあたりまでクラブを上げ、フェースの向きとヘッドの位置を確認する。この動きは、テークバックの感覚を体に思い出させる準備動作であると同時に、動きを止めないためのワッグルでもある。やや大きめのワッグルによって体の回転と腕の動きを連動させながらクラブを動かし、スムーズに始動できる状態を作っているのである。

さらに特徴的なのが「足ワッグル」だ。足ワッグルとは、アドレスで軽く足踏みをして体のリズムを整え、スイングを始動するタイミングを作る動き。

オーバーグは「1・2、1・2」という軽快なリズムで足を動かし、そのテンポのままスイングへ入る。右足を踏み込むタイミングでテイクバックを始め、切り返しでは左足を踏み込む。足の動きとスイングのタイミングが一致することで、コンパクトで再現性の高いスイングが生まれるのである。

ここで整理しておきたいのが、「リズム」と「テンポ」の違いだ。

リズムは動きの拍子や間隔を指し、テンポはそのスピードを意味する。オーバーグは足踏みで一定のリズムを作り、その中でスイングのテンポも整えている。

アマチュアゴルファーの場合、スイングのリズムを手や腕の動きで作ろうとしがちだ。しかし、下半身のような大きな筋肉の動きでリズムやテンポを作るほうが、スイングは安定しやすい。足の動きが整えば体の回転もスムーズになり、結果としてショットの再現性も高まる。

オーバーグのルーティーンは非常にシンプルだが、その流れは毎回ほぼ同じである。アドレスであれこれ考えるのではなく、決められた流れの中で自然にスイングへ入る。この一貫したルーティーンこそが、安定したショットを生み出す大きな要因となっている。

ショットを良くするためには、スイングの形だけでなく、スイングに入るまでの準備にも目を向ける必要がある。オーバーグのように一定のテンポでルーティーンを行い、迷いなく振ることができれば、ショットの安定感が高まるはずだ。

動画で解説|PGAトッププロのテンポの良いスイング

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2026年5月号

HOTEL 動と静の最新リカバリー拠点

『GOETHE(ゲーテ)2026年5月号』表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2026年5月号

HOTEL 動と静の最新リカバリー拠点

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ5月号』が2026年3月25日に発売となる。特集「HOTEL 動と静の最新リカバリー拠点」では、心と身体を解放させるラグジュアリーホテルを厳選して紹介する。表紙はHYDE!

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる