GOLF

2025.12.21

”関節の神”が教えてくれた。足首を整えて、脱・腰痛&飛距離UP

骨や関節に特化した代替(補完)医療で世界中のトップアスリートから支持を得るなど、話題を集めている角田紀臣氏。その角田氏と親交が深い辻村明志コーチによる対談企画が実現。実はゴルフにおいて関節は重要だ。関節への意識改革でスコアが激変する! ※アコーディア・ゴルフのゴルフメディア「SHIBAFU」の提供記事。

”関節の神”が教えてくれた。足首を整えて、脱・腰痛&飛距離UP
人間の身体の動きの仕組みを骨や関節から解明した角田氏(左)と、同じく関節からゴルフスイングの本質を読み解いた辻村コーチ。

ゴルフは足首だ!

角田 ゴルフに限ったことではなく、スイングするスポーツ全般に言えることですが、身体を回転させる時、その回転が足首から始まっていることは意外に知られてい ません。

辻村 身体の回転と聞くと膝や腰をイメージする人が多いですよね。

角田 そうなんです。外からは見えないだけで、実は足首が回転しきってから膝の回転が始まり、次に股関節の回転が始まるのが人間の身体の正しい仕組みです。

さらに股関節と腰は連動しているので、 足首が回転しないと、膝で足首の回転不足分を補うようになる。これを代償動作と言いますが、噛み砕くと、かばう動きのこと。 繰り返し行うことで膝の怪我につながります。

膝で回転を補えなくなると、今度は股関節や腰に無理な動きをさせることになり、膝と同じく腰や股関節も痛めることになります。プロを含めて腰痛で苦しむゴルファーが多いのは、これらが原因だと考えられます。

辻村 角田先生の説明を聞いて腰痛になる理由に納得させられました。私自身も指導する際に足首は地面を支えるという意味でも重視しています。

固定するわけではないですが、安定させる意識は必要。手打ちと言いますが、手打ちになる人は実は足が暴れる人なんです。膝をかばって、腰をかばって、その反動で上半身が暴れる。

支点がないので、バランスが崩れて最終的に手で合わせる打ち方になります。無理な振り方をするから怪我の原因にもなるし、ボールに力を伝えることなんてできません。

角田 手打ちと聞くと手に問題があると思いがちですが、そうではない。だから、まずは回転の始まりとなる足首のケアをすることです。足首が正常な状態で、正しく動いてこそ再現性と正確性を生みだせるわけです。

辻村 足首の状態が正しいかどうかの判断はやはり角田先生のような専門の先生に診てもらう必要があると思いますが、日常生活のなかで知らず知らずのうちに悪いクセがついてしまうのが厄介ですね。

角田 ほとんどの人がズレていると思います。足首を正すことは健康面においても重要なことです。

足首の骨の一部に距骨(きょこつ)という部分があり、くるぶしの下あたりに位置する。「体重を支えて、走ったり歩いたりする際の衝撃を吸収する骨ですが、全体重がかかるため、無意識にズレやすい骨でもあります。ここを正常の位置に修正することが足首の正しい動きにつながります」(角田氏)

辻村 普段から意識できることとしては何か方法はありますか?

角田 歩き方は大切な部分ですね。ゴルフは歩くスポーツですし、姿勢を意識するのはとても重要な部分。注意点は足の下ろし方です。一般的に踏みだした足の踵(かかと)から地面に接地して歩いている人がほとんどだと思いますが、これはあくまでも平らで硬い地面での歩き方です。

軟らかい芝だったり、斜面だったり、ゴルフ場は平らではないので踵から接地すると足首をくじく原因になります。ポイントはできるだけ足裏の大きな面で地面に接地すること。そうすることで足首がズレることを防げます。

辻村 歩き方も含めて足首がズレている状態では地面を踏めないということ。踏んでいるつもりで踏めていない状況が起こります。だからトータル的に見て姿勢は非常に大切なんですよね。

角田 ただ、万人に合う姿勢というものはなくて、背骨で言えばフラットバックや反り腰など、人それぞれの姿勢があるので、それに合わせた姿勢の取り方をしないとうまく動かせません。

その人の骨格に合わせたスイングを個々に当てはめていくことが無理のないスイング作りだと言えます。辻村コ ーチはそれを実践しているわけですが、危険なのは筋肉で悪い動作を修正しようとすることです。

辻村 私は若い選手にスイングができ上がっていないのに筋トレをさせることはありません。選手のスイングを見る時は骨の動きをイメージしながら見ています。足首はその根幹となる部分なので、ゴルフ上達のヒントは足首に詰まっていると言っていいと思います。

角田紀臣の“神の手技”を体験!

担当ライターが角田先生の神の手をプチ体験してみた。会った瞬間に「右足首がズレてますね」とサラッと言われたが、数秒の施術で翌月には身体にはっきりと変化が生じた!

1.故障部位をひと目で見抜く

まずは足首のズレをチェック。足を肩幅くらいに広げて立ち、グーで握った手を水平に上げる。そのグーの手を上から下に誰かに押してもらう。ライターは堪えきれずに下に腕を落としたが、これは足首がズレていることで 全身に力が入らないことを意味している。

2.たった数秒で右足首を改善

角田氏が矯正した部分が足の3ヵ所。ズレていた骨を正常の位置に一瞬で矯正。この技術は神の手と呼ばれるように一般人がすることは無理なのでセルフケアはできない。ただ、歪んでいた姿勢が矯正されたことで、約1ヵ月後の整体では身体の張りが解消されていた。

ツアープロコーチ・辻村明志のワンポイントアドバイス

スイングは骨の動きをイメージしてチェックするという辻村コーチが関節のポジショニングについてアドバイス。 自宅やラウンド前、ラウンド中にも実践したいチェック法を紹介。

<アドバイス1>脇をしっかり締めればスイングが安定

メディシンボールのような重さがあるボールを胸の正面で持ち続けるだけで肘の正しいポジションがわかる。 

「肘を伸ばした状態だと持ち続けられる時間はわずか。長く持ち続けるには自然と肘が内側に絞られた状態になるはず。肘は身体に近い状態が正常位置だとわかります」

肘が内側に軽く絞られた状態で左右に身体を回転させると、スムーズなスイングの感覚が摑める。

<アドバイス2>スイング前に足踏みして足腰の関節をチェック

「プレー中、ティーイングエリアに入る前、あるいはアドレス時にその場で強めに足踏みするといいでしょう。また、椅子から立ち上がる時に、つま先の関節に体重をかけて立つだけで、足首の位置や向きをセットし直すことができます。お試しください」

■角田紀臣/ Noriomi Tsunoda
一般社団法人 予防医科学推進協会 代表理事。健康寿命とアスリート寿命を延伸し2040年社会保障問題を対策するために各所で活動中。全国予防未病 セラピスト会を運営し医師団体と協業。医科、歯科、 セラピストの連携により予防医学×予防科学という 新しい予防の在り方を構築。人体すべての関節を少ない時間・力で矯正する手技は、世界のトップアスリートから支持される。会員制整体サロンで国内外のセレブを施術するほか、海外富裕層の往診も行う。

■辻村明志/Haruyuki Tsujimura
ツアープロコーチ。上田桃子ら多くの女子プロゴルファーを指導するツアープロコーチ。熱心なコーチングと明るく親しみやすい人柄から、ゴルフ界では「辻兄ぃ」と呼ばれる人気コーチ。2023年度レッスン・オブ・ザ・イヤー を受賞。また、ツアープロだけでなく、伸び盛りのジ ュニアへの指導等も積極的に行っている。そのなかで重視しているのが「骨」の意識。怪我をせずに上達するための根本は関節でフォームを作ることと言う。自宅や会社の敷地内に「独立型」ゴルフ空間を提供する「G_BASE」のブランドアンバサダーも務める。

TEXT=出島正登

PHOTOGRAPH=坂下文洋 ILLUSTRATOR=大塚克

COOPERATION=丸山ゴルフセンター

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