GOLF

2022.02.24

見直すべきは力の使い方とグリップ──連載「吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン」

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という彼による、スコアも所作も洗練させるための“技術”と“知識”を伝授する最新ゴルフレッスンコラムをまとめて振り返る。まだまだ厳しい寒さが続くが、ゴルフシーズン到来に向け、コソ練を積み重ねてスコアアップを目指したい。

ゴルフアマチュアは5割しか使えてない! 「力む」と「力を出す」の違いとは

吉田洋一郎

プロへのティーチングとアマチュアへのティーチング。パフォーマンスを最大化させるというのは同じだが、決定的に違うポイントがある。前者は限界値を引き延ばすための視点が入るが、アマチュアは限界値まで力が使えていないため、力を出し切れるようなレッスンを行うという点だ。コップに水を入れる際、プロはもうほぼ満タンなのでコップ自体を大きくしなければならないが、アマチュアはコップがまだまだ満たされていないので、そこに水を足していく作業になる。これといった指標がないので一概に言い切れないが、イメージとしては5割から6割程度しか力を使えていない。これは年齢を重ねているからとか、性別がどうとかいう話ではない。

「残りの力を使い切ろう」というと、ほとんどの人が力んで、ヘッドスピードが低下してしまう。仮に一瞬上がったとしても継続できなかったり、芯を外す又はサイドスピンが過多になるといったミスが出る。

力を出すということと、力むということは似て非なるものだ。力みとはグリッププレッシャーが強くなったり、腕のみでクラブを速く振ろうとする動きだ。「力を入れている感じ」はするが、ヘッドスピードに転換されていない。逆に遠心力や重力といった自分以外が生み出してくれる力(外力)を無視しているので、ブレーキを踏んでしまっているとも言える。アクセルを踏みつつブレーキも踏んでいるのでスピードは上がらず、エンジン(体)への負担も大きくなる。

力を出すというのは自分の力はもちろん、外力も合わせながらヘッドスピードを最速にさせていくことに他ならないのだ。

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小柄なメジャー王者に学ぶ! アマチュアでも平均飛距離15Y伸ばすコツ

吉田洋一郎

2018年の全英オープンで、イタリア人として初めて優勝を遂げたフランチェスコ・モリナリ。身長172cmとプロの中では小柄な体格ながらメジャーで上位に食い込めたのは飛距離が伸びたことが大きい。2015年は286.7ヤードだった飛距離が2018年には301ヤードに伸びている。今年37歳を迎えるモリナリが30代半ばで平均飛距離を15ヤードも伸ばしたのはなぜだろうか。

ツアーの練習場でモリナリをチェックしていると、時おり独特の素振りをしている場面に遭遇する。テークバックでヒールアップを行い、その後力をため込むようにゆっくりと左ひざを曲げてグーッと沈み込む。この時はまだクラブを振り下ろしていない。

その後少し反動を付けるようにして、沈み込みで曲がった左ひざを勢い良く伸ばす。この伸ばす動作と同時にクラブを振り下ろしてくるのだ。下半身は「上下への伸縮」、上半身は「右から左への回転」と、一見すると関係のない動きに見える。しかしこの2つの動きは連動しており、それがモリナリのスイングのエネルギー源になっているのだ。

連動の仕組みはこうだ。沈み込んだ左ひざを伸ばすことでひざだけでなく左肩が持ち上がり、左サイドの足から肩にかけて1本の筋が通っているかのようにピンと伸びる。この伸び上がった左肩がクラブを引っぱり下ろしてきて、上半身を回転させるのだ。

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今さら聞けない! パッティンググリップを決める2つのポイント

吉田洋一郎

言わずもがな、手はクラブと接する唯一の場所だ。このジョイント部分が正しく結合されていないと、エネルギーロスが発生したり、クラブを思い通りに操ることはできない。ベン・ホーガンが記したレッスン書の名著『モダンゴルフ』でもその重要性は言及されており、約70年も前から語られている普遍的なテーマと言える。

私自身もレッスンをする際、生徒のレベルに関わらずグリップの指導をとても大切にしている。特にスコアに直結するパッティングのグリップは、初期の段階でチェックすることが多い。

アマチュアは1ラウンドで、30回以上のパッティングを行う。これは14本のクラブの中でもっとも多く、さらに他のクラブに比べてより繊細なタッチが要求される。これらのことから分かるようにパッティングのグリップは、スコアアップを目指すのであれば真っ先に着手すべきポイントなのだ。

それにも関わらず、アマチュアに話を聞くと、グリップを正しく教わったという人は非常に少ない。自分で試行錯誤して、握りやすい形にしているという人が多いようだ。またグリップの形はゴルフ歴が長いほど、自分のイメージしているものとは異なるクセのようなものがつくが、定期的に見直しをしているという人もほとんどいない。つまりポジティブにとらえるなら、多くのゴルファーに改善の余地があり、その改善幅がどうやら大きそうだと言える。

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TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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