世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム70回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
あなたが踏んでいるアクセル、実はブレーキかも
プロへのティーチングとアマチュアへのティーチング。パフォーマンスを最大化させるというのは同じだが、決定的に違うポイントがある。前者は限界値を引き延ばすための視点が入るが、アマチュアは限界値まで力が使えていないため、力を出し切れるようなレッスンを行うという点だ。コップに水を入れる際、プロはもうほぼ満タンなのでコップ自体を大きくしなければならないが、アマチュアはコップがまだまだ満たされていないので、そこに水を足していく作業になる。これといった指標がないので一概に言い切れないが、イメージとしては5割から6割程度しか力を使えていない。これは年齢を重ねているからとか、性別がどうとかいう話ではない。
「力む」と「力を出す」の違い
「残りの力を使い切ろう」というと、ほとんどの人が力んで、ヘッドスピードが低下してしまう。仮に一瞬上がったとしても継続できなかったり、芯を外す又はサイドスピンが過多になるといったミスが出る。
力を出すということと、力むということは似て非なるものだ。力みとはグリッププレッシャーが強くなったり、腕のみでクラブを速く振ろうとする動きだ。「力を入れている感じ」はするが、ヘッドスピードに転換されていない。逆に遠心力や重力といった自分以外が生み出してくれる力(外力)を無視しているので、ブレーキを踏んでしまっているとも言える。アクセルを踏みつつブレーキも踏んでいるのでスピードは上がらず、エンジン(体)への負担も大きくなる。
力を出すというのは自分の力はもちろん、外力も合わせながらヘッドスピードを最速にさせていくことに他ならないのだ。
外力の存在を体感する
まずは力が出ている状態を体感してほしい。例えば切り返しで左足を目標方向に踏み込むステップ打ちや、フィニッシュで止まらずすぐにテークバックへ移行する連続素振り。どちらもグリップをやわらかく握り手首が動きやすい状態で振る。いつもよりも「力を入れている感じ」は少ないだろうが、繰り返すうちにヘッドスピードがこれまでと同じ速さになってくる。自分では力を入れていないのに、出力が勝手に上がっている感覚をつかみたい。
こうして力を出す動きを覚えたら、あとは徐々に力を入れるポイントを探していく。脱力したままヘッドスピードがどうしたら上がるのか、切り返しで下半身の使い方を試してみるのも良いだろう。ダウンスイングのときに左足で地面を押すことで外力である地面反力を使ってヘッドを走らせる感覚をつかめればさらに楽に飛ばせるようになる。
本来なら力の入れどころになるツボはコーチなどに見てもらったほうが良いが、ステップ打ちや連続素振りで、体感する程度なら練習場でもすぐにできる。これからの気温が下がる時期には、ウォーミングアップついでにちょうどいい練習になるだろう。