FASHION

2026.05.20

ディオール、ルイ・ヴィトン、エルメス、サカイ…2026秋冬ファッション15選【パリ編】

2026 Autumn&Winterファッションウィーク詳報のパリ編をお届け。【特集 ジェントルマンの流儀】

026秋冬ファッションウィーク詳報【パリ編】

1.ディオール|日常を明確に意識した気高くも挑戦的な男性像

アール・デコ的なスタイルでモードを近代化に導いたポール・ポワレに着想を得て、豪傑さと浪漫を交差させた創造的なアプローチが、安全圏に留まらない勇敢で気高い男性像を生んでいる。

まゆ状に広がるパファージャケットは画一的な男性服に対する大胆な挑戦がうかがえ、装飾要素を大胆に煌めかせながらもチェスターコートにラフなデニムやスウェットなどリアルな目線も欠かさない。

「バー」ジャケットの再解釈は今季も充実。フォーマルの定義をパンク的に解釈したひだ襟は、今季のディオールのムードを象徴している。

2026秋冬ファッションウィークパリ:ディオール

2.アミリ|ハリウッドの記憶ロサンゼルスの現在

ハリウッドの古典的なムードと現在のロサンゼルスのカルチャーシーンを類まれな感覚でまとめる手法に定評があるアミリ。今季は、ローレンヒルズにたたずむ邸宅で織りなす物語を軸に、何気ない日常から豪華絢爛なステージまで、一個人が歩むパーソナルな機会の拡張を見据えている。

洗練されたカッティングに鮮やかな刺繍やラインストーンの対照的な要素をかけ合わせたスタイルは、ブランドの定番となりつつある。レザーの褪せた加工やデニムのフロッキー加工など、華麗だけではない手仕事のバリエーションも豊富。

2026秋冬ファッションウィークパリ:アミリ

3.ルイ・ヴィトン|機能美と構築美の協調近未来的な男性の様式

レトロフューチャーなダンディズムが今季のルイ・ヴィトンのテーマ。日本のNOT A HOTELとのコラボレーションによる未来を構想するタイムレスな空間、DORPHAUSがその象徴である。

シャープなテーラード、ボリューム感のあるシルエット、光を反射する近未来的な機能素材、そしてファレル・ウィリアムスが磨きをかけ続ける幻想的に輝くアクセサリー類とのマリアージュが冴えわたる。

また、モックネックを多用したスタイリングは、時代を行き来するタイムレスな男性像を描写するための重要なアクセントとなっている。

2026秋冬ファッションウィークパリ:ルイ・ヴィトン

4.エルメス|伝統と感性がひとつになった美しくも完璧なフィナーレ

37年にわたりエルメスのメンズを牽引してきたヴェロニク・ニシャニアンのラストコレクションは、時代や季節を超えた、タイムレスで身につける人の感覚、感性に訴えるエルメスのエスプリと熟練された手仕事がこれまで以上に際立つ。

実用的なエレガンスのなかで軽やかなアクセントとなっているシアリング、1991年に発表されたカーフスキンのジャンプスーツ、レザーのセットアップに施された精緻なステッチ、そして至極の贅沢とされているクロコダイルはスーツや見るも美しい仕立てのコートに。まさしく終幕にふさわしいコレクションとなっている。

2026秋冬ファッションウィークパリ:エルメス

5.ドリス ヴァン ノッテン|過去を大事にしながら確実に未来へ歩む若者たち

ペンシルコートやテーパードパンツで縦長を意識させながら、オーバーサイズのジャケットやニットを織り交ぜ、まるで親から受け継がれたような物語を感じさせるのは、ドリス ヴァン ノッテンの明確なビジョンである。

ノスタルジックな青春の記憶をインスピレーションに、時間の経過の儚さを演出。朧げなピクセル模様の花柄、キャンディのようなパステルカラーと落ち着いたトーンの塩梅、ほどよく崩した自由なスタイリング、アングラの女王・浅川マキの「夜が明けたら」など、過去を大事に継承しつつも未来へと進むユースの姿が思い浮かぶ。

2026秋冬ファッションウィークパリ:ドリス ヴァン ノッテン

6.リック・オウエンス|装いの枠組みに果敢に挑むアーティスティックな表現

服の枠組みを悠々と超え、身体をベースにしながらもそこから拡張していく肉体性と芸術性が混在したコレクションを披露したリック・オウエンス。素材感のコントラストが多彩な質感を生み、実験的なアプローチがアーティスティックな表現を加速させる。

大胆な加工を施したフェルト、防護的な要素に特化したファンクションは、実用性に関しては最低限に視覚的な強烈さに特化されている。ブランドの十八番であるダークエレガンスが愛と光の塔の陰を鮮明にさせ、現代的なファッションの概念を刺激する。

2026秋冬ファッションウィークパリ:リック・オウエンス

7.カラー|抽象的なアプローチと明確な着想が巧妙に連なる

カラーの内にある抽象的で感覚的な美という概念に独自の口語的な要素を取り入れるデザイナー堀内太郎の第二章。今季は、異種混合的な要素のかけ合いに、物語性のある強いメッセージや視点を添えた。

映画『ライトハウス』の孤島の灯台守の孤独な雰囲気や、荒れ狂う海、難破船の情景といった残像が着想となっており、加工を施したニット、粗いテクスチャーのツイード、重たい素材感などに具現化されている。敢えて重ためにバランスを歪ませたスタイルをつくることで、コンセプトと不均衡な美というブランドのこれまでの蓄積を重ね合わせた。

2026秋冬ファッションウィークパリ:カラー

8.コム デ ギャルソン オム プリュス|黒の深淵とその爆発が現代に風穴を開ける

コム デ ギャルソン オム プリュスの原点でもある黒に焦点を当て、異質とは何か、進化とは何か、を問うような創作を展開。「ブラックホール」を主題に、黒の奥底、そこで生まれる光の爆発を表現しているかのように映る。

歪んだギャザーを施したり、重力に逆らうテーラード、斑点模様や突起物が付着したかのような質感などどれもに美と醜が混在する。複雑なパターンや多彩な素材感、閉塞感を想起させるマスクや調和とはかけ離れたヘアメークなど独特な世界観を描くことで、プロダクト特化が先行する現代に疑問を投げかけている。

2026秋冬ファッションウィークパリ:コム デ ギャルソン オム プリュス

9.ジュンヤ ワタナベ マン|品のよさと遊びを両立紳士服をさらに磨く

「THE BEST, DRESSED」をテーマに、ジュンヤ ワタナベ マンは伝統的なスタイルを更新。午前中に開催されたショーだが、会場内は夜の社交場を想像させる空間で、ジャズをBGMに洗練されたダンディーな男性像が浮かび上がる。

タキシードは洗練された仕立てながら、パッチワークを施すことでほどよい遊びを効かせ、ツイードのコートにはライダースがドッキングされた。ハンティングジャケットやカントリーチックなニットウェアが小気味のいいアクセントとなっており、リーバイス、マムート、スピワックなどブランドとの協業も豊富。

2026秋冬ファッションウィークパリ:ジュンヤ ワタナベ マン

10.ヨウジヤマモト プールオム|今を生きる男たちに力強く優しく語りかける服

日本の原風景を醸しだしながら、ヨウジヤマモト プールオムの代名詞である黒を基調に、現代的なミリタリーと自流の多層な着こなしを積むことで、力強いコレクションをつくり上げている。

ボリューム感があるシルエットとストイックなスタイルのコントラストは、今を生きる男たちに対して、服を通した不穏な現代を生き抜く術となる。潰れた空き缶を加工したベストやハット、迷彩柄の複雑なパッチワークといった無秩序のなかに、実用性と構築性が融合したセットアップにストールのように緩く巻いたタイがアクセントとなって目を奪われる。

2026秋冬ファッションウィークパリ:ヨウジヤマモト プールオム

11.オーラリー|素材を軸に展開する冬の着こなしの楽しさ

冬は寒さや陰鬱な雰囲気だけではない。冬ならではの温もり、柔らかさ、静けさ、そしてレイヤードなど着こなしの楽しさ……そんな冬の装いを表現するかのようなコレクションとなっている。

上質な素材を勘所としているオーラリーらしく、ショー演出は実にシンプル。そのため、ホワイト、イエロー、ベージュ、淡いグリーンなど色調の変化も際立ち、品のあるミリタリーのエッセンスやコーデュロイ固有のテクスチャー、ミニマルなダッフルコート、レザーの独特な艶感とユニークな仕様がテーマを明確に具現化している。

2026秋冬ファッションウィークパリ:オーラリー

12.アイム メン|無形の感情を有形の服に細部にこだわった服作り

「FORMLESS FORM」をタイトルに、服の完成形にとらわれることなく、身体との関係性や、着る人の態度や本質的な佇まいを重視するアイム メン。その背景には、感情という無形が服という有形として翻案され、服は単なるシンボルであり、真の本質は着る人自身にあるという視点があるようだ。

一枚の布から自由な発想が展開され、物理的な形にとらわれない、感情に結びつく衣服のあり方を志向している。ブルーからイエローへの色調の階層、タイやグローブなどの小物使いといった細部からも美的な価値を感じさせる。

2026秋冬ファッションウィークパリ:アイム メン

13.メゾン ミハラヤスヒロ|記憶にある強さをミニマルなスタイルに

今季のメゾン ミハラヤスヒロは、デザイナーである三原康裕自身の体験がベースとなっている。コレクションは、懐かしさを感じさせながら、進歩を遂げようという意志が明示されている。

異なる素材感、テクスチャー、レイヤード、フォルム、加工を重ねながらミニマルに。ゆったりとしたアウターやボリューム感のあるドッキングアイテムとシャープなパンツ使いに自らが歩んだ道をたどったかのようなプロセスを感じさせる。ヴィンテージ加工はファブリックの実験性と定番を組み合わせ、また一歩深みに入りこもうとする気概があるようだ。

2026秋冬ファッションウィークパリ:メゾン ミハラヤスヒロ

14.サカイ|独特なリズムのように脈打つ要素をかけ合い

サカイが描く異種混合のアプローチは今回も健在だ。

スカートとパンツの融合、二重になったラペルなど多数の仕様やディテール、素材感をまとめ上げている。そこにテーラーリングとワークジャケット、デニムジャケットなどエレガンスとカジュアルを絶妙な均衡でスタイリングし、ネクタイを敢えてしっかりと結ばないことで、品のよいスカーフのように見せるなど、洗練と抜け感を同時に感じさせる服そのものの演出力が冴え渡る。

主役級の柄や模様使いも要素のかけ合わせの名脇役とすることで、コレクションに厚みを加えた。

2026秋冬ファッションウィークパリ:サカイ

15.ホワイトマウンテニアリング|原点と美意識を反映したラストコレクション

相澤陽介が手がけるラストコレクションとなった今季のホワイトマウンテニアリングは、得意のテキスタイル使いを封印し、ブランドの根幹としてコレクションを支えてきた実用性と都会的なデザインの組み合わせをシンプルなレイヤードで展開。

色調は黒、白、ベージュ、緑、紫など豊富ながらもトーンは落ち着いて見えるが、それも相澤の秩序正しい美意識が色濃く反映されている。キルティングの曲線的なフォルムと無数のタックの入ったスラックスといった塩梅も含め、ブランドが大事にしてきた原点と向き合っている。

2026秋冬ファッションウィークパリ:ホワイトマウンテニアリング

【特集 ジェントルマンの流儀】

この記事はGOETHE 2026年6月号「総力特集:ジェントルマンの流儀 Tied-Up or No-Tie?」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=関口究

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