タイドアップとノータイ。同じセットアップでも、振り幅ひとつで、見た目の印象は一変する。変化に富んだ首元の美学を、スタイリスト大久保篤志が語り、導く。【特集 ジェントルマンの流儀】

初夏の心地よい風を満喫できるシアサッカーストライプのセットアップを、目を惹く差し色で劇的にチェンジ
タイドアップ|異なる色気を束ねた変化球的なVゾーン
「ポイントは、アメリカブランドのセットアップに、英国ブランドのネクタイを合わせていること。印象の異なるアイテムを持ってくることで、俄然粋に見えるんです」。

ノータイ|差し色で引き寄せる軽やかな洒脱と品格
「エレガントなシアサッカーのダブルのジャケットを、Tシャツでドレスダウンする際には、きれいな色目のカーディガンを間に差しこむことで、洒脱な印象がぐっと増します。カーディガンは丈が短めなものをチョイスして、ポケットチーフの色もさり気なく合わせたり。カーディガンの下からのぞくTシャツの丈のバランスまで留意すれば完璧です」。

スタンダードにひねりを利かせたパッチワークセットアップには、意外性と王道の安心感といった絶妙なさじ加減がひときわ冴える
タイドアップ|違和感を味方につけ、強靭な個性を首元に
「一見、ベーシックなウールストライプ生地に思えるも、実はパッチワークというワザを効かせたセットアップ。そうなるとVゾーンにはパンチのあるものを合わせたくなるので、織りでゼブラ柄をあしらったネクタイを結びました。ヒョウ柄と最後まで迷いましたけれどね。こういうネクタイは探すとなかなかないんですよ」。

ノータイ|精緻なバランスで成立する重ねの完成度
「ジャケットにジップアップパーカの組み合わせは、王道のスタイリングですよね。ポイントは、中に合わせたパーカのファスナーの開け具合です。位置はジャケットのラペルの返り位置のちょっと上ぐらいがベスト。Tシャツの見え方のバランスも、ちょうどいい感じになるはずです」

ストリートとのギャップが痛快なコットンのセットアップは、意表を突くタイドアップと抜けのある知的な艶との対比が秀逸
タイドアップ|異なる文脈の交わりが端正な色気を宿して
「シュプリームがこういうダブルのスーツをつくるというのがまず面白い。なので、ここは、グリーンストライプのトラッドなシャツに、イタリアブランドのニットタイを敢えてスタイリングしてみました。リラックスフィットのストーンベージュのスーツに、ニットタイの色気がすっとハマります」。

ノータイ|快適さと心地よさが導く軽やかな余白
「ダブルブレストのジャケットとオープンカラーシャツも、ザ・王道といった組み合わせ。スーツの生地は、1822年にスコットランドで創業した老舗のシャツ生地メーカー、デビッド&ジョン・アンダーソン製。品のいいストーンベージュのコットン生地に、水彩画のような花柄の開襟シャツがハマって、ブランドネームとのギャップもたまらない。合わせるメガネは、知的で繊細なメタルフレームで」。

端正を極めた静かな迫力と、抜けのなかに宿る静かな品格。
イタリアン・シックを体現するスーツの美学をふたつの顔で堪能
タイドアップ|トーンの違う赤で貫く正統のエレガンス
「金ボタンを配したチェリーレッドのダブルよりも浅いワン・アンド・ハーフブレストスーツには、少し深めの色合いの赤のネクタイをスタイリングしました。肩がしっかり入り、端正でフォーマルな仕立てなので、Vゾーンをトーン・オン・トーンで仕上げた定石中の定石のスタイリングです。ポケットチーフはレジメンタル柄をチョイス。ネクタイと同様の赤をメインにトーンを合わせると、きれいにまとまります」。

ノータイ|柔和にして端正。締めて魅せる余裕の粋
「カジュアルダウンでインに合わせたのは、上質なコットンリネンのニットポロです。チェリーレッドと杢っぽいベージュの色合いが美しくマッチしていて、ポケットチーフのベージュとも調和して見えます。ニットポロの襟元のボタンは、敢えて上まできちんと閉めました。そうすることで、スーツのかっちりとした雰囲気と相まって、襟元も締まって見えますよね」。

伊勢谷友介/YUSUKE ISEYA
1976年東京都生まれ。東京藝術大学在学中にモデルとして活動後、1998年に俳優デビュー。2009年に「リバースプロジェクト」を設立し、新たな価値の創造や社会貢献活動にも精力的に取り組む。2026年4月よりDMM TVにて独占配信中の「外道の歌 SEASON2」に出演中のほか、自身が主宰するアクションブランド「Happy Sauce」を展開中。詳細はこちら
この記事はGOETHE 2026年6月号「総力特集:ジェントルマンの流儀 Tied-Up or No-Tie?」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

