今やレザースニーカーはありふれているが、なかでもコート系は汎用性が高く快適さも兼ね備える。しかし履く場面が多いがゆえに、寿命が短いのも難点。そこで三陽山長が手がけたのが10年、20年と愛用できるスニーカーだ。【特集 靴と鞄】
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日本の革靴屋が本気で作ったスニーカー
革靴の魅力は、貫禄ある佇まいと、長く愛用できて履きこむほどに味わいが増し自身にフィットしてくる点だ。一方でスニーカーは、快適で汎用性の高さが魅力。特に近年ではオフィススタイルにおいても、スニーカーは定着し、その支持率はさらに拡大している。しかしながら、それだけ活躍の場が広いとなると、革靴よりも寿命の短いスニーカーは買い替えを余儀なくされてしまう。エグゼクティブな大人とあれば、履き潰してからではだらしなく見えてしまう分、さらにスパンは短いだろう。
そんな難点を払拭すべく立ちあがったのが、国産革靴ブランドの雄、三陽山長。そして、同ブランドが手がけたのが、革靴に近い本格仕立てのスニーカーだ。
一見するとよくあるコート系。しかしその実、革靴で使われる素材や製法を駆使することで、履きこむほどに味わいが増し、手入れとリペアで長く愛用できる仕様に昇華しているのだ。つまり、10年、20年履けるスニーカーということ。幅広いシーンでずっと大人の上品な履き姿を演出できるのだから、これ以上ない最上級のスニーカーといえるだろう。
単なる色違いではない、 飽くなきこだわりが随所に
履くほどに黒の艶が増す「漆黒」
革靴然とした風合いをだすべく、日本有数の老舗タンナー、山陽にレザーを依頼。長い時間をかけてゆっくり鞣(なめ)された黒ヌメ革は、経年変化で艶が増し、エレガントな光沢が出てくるのだ。上質なアッパーに、サイドマッケイ製法でビブラムソールを採用。耐久性はもちろん、ソール交換も可能に。
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黒ヌメ革は時間をかけて染色をしていくため、深みのある色合いを実現。ハリがあり耐久性に優れ、磨けば光沢が増してくる。タフなアッパーに対し、内側は足当たりのいいしっとりとした質感のホースレザーを採用。クッション入りのインソールも相まって、柔らかく快適な履き心地を堪能できる。
爽やかでクリアな白は唯一無二「純白」
一般的な白はレザーに染色して表現するという。それでは革の質感を損ねるとして、本作で使用したのは色を抜くことで白を表現した白革だ。顔料を使用せずに鞣しているため、素材の雰囲気を残した純白を実現。傷や汚れも手入れで解消できるため、長く洗練された白を楽しむことができる。
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山陽が独自の技法で鞣(なめ)した白革は、クリーンな白さでありながら奥行きのある重厚感を両立。経年変化により深みが増して質感がしなやかになっていく。サイドマッケイ製法で縫いつけたビブラムソールは、耐衝撃性に優れ凹凸が衝撃を分散するため疲れにくい仕様に。普段使いに最適なグリップ性も魅力。
問い合わせ
三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店 TEL:03-6281-9857
この記事はGOETHE 2025年3月号「総力特集:自分らしくいる、靴と鞄」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら