富裕層をいかに満足させるかがその腕にかかる外商員。つまりギフト探しはお手のもの? 大丸松坂屋百貨店・松坂屋の外商、大橋正延氏にエグゼクティブが納得するギフト探しの秘訣を聞いた。【特集 最上級ギフト2023】
高額ではなく高級な品を! 豊富な知識で“価値”を提案
ベテランの外商員ほど心強いギフト選びの達人はいない。
「ギフト探しをお手伝いする際には、高額より高級という視点でご提案しています。価格でなく、贈る相手にとってどれだけ価値のあるものを選べるか。貰われる方の立場で考え、好みやライフスタイルなどを徹底的にリサーチします」
エグゼクティブがギフトを選ぶ際に、必ず求められるのが“+α”の付加価値。例えば限定品だったり、周りに埋もれない、語れる要素のあるアイテムなどだ。そのために“モノ”だけでなく、ギフトを渡す“シチュエーション”を演出することもあるという。
「誕生日当日にはお花とメッセージカードを送り、後日その方にプレゼントを手渡しできる空間をつくってお祝いしては? と、アドバイスしたことがあります。せっかくギフトを贈るのだから、何らかの爪痕を残したいですから」
そして最後に人間味溢れるこんなアドバイスも。
「忙しい経営者の方にほど、メッセージカードを用意して、ひと言でも言葉を書いていただくことをお勧めします。心に残るギフトとは、選んだ方の気持ちが伝わることなんです」
Case1|金額より心意気! 相手の「好き」を集結させたギフト
「何でも持っている経営者の先輩へのギフトに悩んでいた顧客。
そのお相手は赤が好きということ、高級外車のオーナーで、某高級時計も所持されているという情報から、その時計ブランドが高級外車メーカーとコラボした時計ベルトをご提案。もちろん色は赤!
高額なものを贈るより、相手にとって“高級”なものを探しだして贈るという心意気が、最高のギフトだと喜ばれたようです」
Case2|外商ネットワークで、特別なギフト選びの空間と時間を演出
「奥様にバッグを贈りたいとご相談があった際、丁度、ご希望ブランドのVIP向け展示会が東京であることを思いだしたんです。
新幹線とハイヤーを手配しラグジュアリーホテルにご案内、特別な部屋で品物を見ていただいたところ、バッグを4個もご購入。
ホテルに宿泊もされ、『久しぶりに夫婦でゆっくり過ごせた』と仰っていただけました」
Case3|3年かけ、父から息子へのサプライズの新築祝いを準備
「ある富裕層の男性は、ご子息の新築祝いに内緒でアートを贈ることを計画。ご子息も顧客だったので、好きな作家やテイストを水面下でリサーチしました。
家の図面ができあがり、絵を飾りたいと想定している場所の寸法が明らかになったタイミングでアーティスト側に作品を発注したりと、足掛け3年のサプライズを一から手配しました」