「詩人で画家で音楽の開拓者がロックで描く都会の風景」
2020年にデビュー40周年を迎えた佐野元春。
24年間在籍したソニー時代の、ライヴ音源を含む25タイトル29枚をコンプリートしたボックスを3月にリリースする。
佐野元春は、シンガー・ソングライターで、ロックンローラーで、詩人で、画家だ。音楽のキャンバスに都会の風景を描き、言葉を綴つづる。そして音楽の"開拓者"でもあり続ける。日本人で初めて楽曲にラップを取り入れ、プロモーション用のミュージックビデオをつくり、オフィシャル・ウェブサイトを開設した。今回のボックスでは、佐野の20代から40代の楽曲をリマスターされた音で体験できる。
「デビューする前、当時の日本のロックやポップに、リスナーとして満足できませんでした。ならば、聴きたい曲は自分で作るしかないと思いました」
そして生まれたのが「アンジェリーナ」「情けない週末」「SOMEDAY」「約束の橋」などの名曲。
「僕は自分の言葉や世界観を前面に出したかった。だから、楽器の数が少ないシンプルな演奏にして、歌詞がくっきり浮きでるサウンドにしました」
その信念を今も佐野は貫いている。3月13日に行われるライヴ「ヤァ! 40年目の武道館」も楽しみだ。
Kazunori Kodate
音楽ライター。『新書で入門 ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(ともに新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名言・名盤・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。