CAR

2026.05.21

SUVのカタチをしたスーパーカー「アストンマーティンDBX S」【試乗】

アストンマーティンの屋台骨であるハイパフォーマンスSUV「DBX」がSの名を冠した「DBX S」へと進化。ボディの軽量化などが図られ最高出力は727PSに到達。スーパーカーに匹敵するその走りの実力を試してみた。

画像/アストンマーティン

大径ターボにより727PSを発揮

DBXは2019年末にデビューしたアストンマーティン初のSUV。いまではセールスの約半数を占めるという人気モデルに成長した。2024年にはマイナーチェンジが実施され、707PS仕様の「DBX707」がデビュー。そして2025年その進化版である「DBX S」が登場した。

この「S」というグレードはさかのぼると、1953年のレーシングカー、DB3Sが起源だという。近年では2004年のヴァンキッシュSを皮切りにヴァンテージやラピードにも設定されたもので、軽量、高出力、高性能仕様の位置づけにある。

スポーツモデルと同様、アルミ製の専用プラットフォームを採用。

DBXは専用設計のアルミ製プラットフォームを採用している。競合他社の多くがグループでプラットフォームを共有するのに対して、専用の車体骨格であることは大きなアドバンテージのひとつで、DBモデルやヴァンテージなどスポーツカー譲りの技術が活かされている。

エンジンはメルセデスAMG製の4リッターV8ツインターボエンジンで、大径ターボを採用し最高出力はDBX707比で20PSアップの727PS、最大トルクは900Nmを発揮。トランスミッションには9速湿式クラッチ式ATを組み合わせる。これは従来のトルコンATよりも30%高速なギアチェンジを実現するものだ。電動化していないピュアな内燃エンジンを搭載するSUVとしては世界トップクラスの性能で最高時速は310km/hに到達する。

DBX707比で最大47kgの軽量化を実現

ディフューザーと一体となった左右に縦に2本ならんだクアッド・エキゾースト。

エクステリアの特徴はグロスブラックのフロントグリルをはじめ、同色のフロントスポイラーやサイドシル、ルーフレール、サイドミラー、そしてリアディフューザーなどが一連のものとしてデザインされていること。リアディフューザーからのぞくのはDBX Sの証といえる左右に縦に2本ならんだクアッド・エキゾースト。リアバンパーやディフューザー、サイドシルなどはオプションでカーボン製にすることも可能で、それによって7kgもの軽量化を図ることができる。

フロントフェンダーに備わる「S」バッジは真鍮製。

そしてフロントフェンダーにはさりげなく赤いエナメルガラスを充填したSのバッジが備わる。これは樹脂製ではなくアストンマーティンのウイングバッジと同様に真鍮製だ。バッジの周囲はオーナーが選んだウイングバッジに合わせてブライトクロームかダーククロームで縁取られる。

左右対称のウイング形状のインテリア。センターコンソールには、使いやすい物理ボタンが配置されている。

インテリアはDBX707に準じたもので、ダッシュパネル全体が左右対称のウイング形状となっている。中央に10.25インチのタッチ式ディスプレイを配置し、従来モデルではその上部に配置されていたスタート/ストップボタンやシフトセレクターをセンターコンソールパネルに集約している。専用のシートには床板や洋服の生地の模様として知られるヘリンボーン柄があしらわれている。エンタテインメント装備もぬかりなく最新のインフォテインメントシステムにあわせ800ワット、14スピーカーのアストンマーティン・プレミアムオーディオシステムを標準装備する。

ヘリンボーン柄のシート。ホールド感もよくロングドライブにも最適なもの。

SUVであることを忘れてしまうほどの運動性能

走行モードは、「GT」、「SPORT」、「SPORT+」がある。

今回の試乗の舞台は千葉県南房総市にある会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」。全長約3.5kmのコースは、22のコーナーからなり800mの長いストレートを擁し、後半には峠道のようなワインディングセクションがあり高低差は80mにも及ぶ。DBX Sのような大型SUVにとって楽な道ではない。

しかし、そんな予想はすぐに裏切られた。ストレートでアクセルペダルに力を込めると900Nmトルクが一斉に立ち上がり、スピードメーターはあっという間に200km/hを超えた。次の周回で走行モードを「SPORT」へと切り替えると、シャシー全体がキュッと引き締まった。さらにロールが抑制され、フラットライド感が増す。ストレートではさらに速度がのり230km/hへと到達する。試乗はインストラクターの先導のもとに行われたため、それ以上の速度域は試せなかったが、実はまだパワーにも余裕があった。

「SPORT+」ではエンジンサウンドがより高まり、9速ATが小気味よくシフトアップ&ダウンを繰り返す。前後重量配分はほぼイーブンで、トルク配分は可変式でフロント最大50%、リアは最大100%と、まるでスポーツカーのようなセッティングでハンドリングも実にしなやか。そしてブレーキのフィーリングも素晴らしく、車両重量2トンを超えるSUVをしっかりと狙ったとおりに速度コントロールしてくれる。

これほどの性能を有しながら、エアサスの恩恵もあって23インチの大径タイヤを履きこなしており乗り心地もよく、普段使いでもなんらストレスを感じることはないだろう。4ドアで荷物も積めていざとなれば悪路だって走ることができるDBX Sはアストンマーティンのラインアップにおいてもっとも万能なスーパーカーなのだ。

空力性能にも優れ最高速度は310km/hにまで到達する。

問い合わせ
アストンマーティンジャパン TEL:03-5797-7281

TEXT=藤野太一

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