CAR

2025.02.09

グリルがいい! ボルボの新型「XC90」を北欧で試乗してみた

「ボルボのベースである北欧で、ぜひ新車XC90を体感してください」。そう案内を受けて向かったのが、デンマークの首都・コペンハーゲンだった。カストルプ空港近郊のホテルで待ち受けていた新車のフロントマスクは、遠目から見ても精悍そのもの。クルマに乗りこみ、トンネルと橋を通り、国境を越えてスウェーデンへ。2つ星レストラン「VYN」へと向かった。

ボルボ「XC90」
VOLVO XC90
新型「XC90」はガソリンMHEVの「B5」と、PHEVの「T8」の2型がある。後者のほうが重量は約200kg重い。「B5」は力強く走り、「T8」は静かで滑らかな印象。音響はイギリスのBowers&Wilkins社を採用し、19個ものスピーカーを装備している。日本には2025年春にやってくる。

ドライバーの心の静粛性までもデザインする

数十年ぶりに降り立ったデンマークの首都コペンハーゲンの空港は過剰な広告などもなく、心地いい空気が流れていた。驚いたのは空港内各所にセブン-イレブンがあることで、店舗のみならず自動販売機まであった。同社の赤、緑、オレンジの原色ロゴがよくも悪くも目立っていたのが印象的だった。

「VOLVO」のロゴを持ったガイドに導かれ、集合場所へと徒歩で向かう。本社のスタッフからプレゼンを受けた後に、ホテルの外に数台並ぶ新車「XC90」と対面した。

「グリルがカッコいい!」

真っ先にそう感じた。資料で写真は見ていたものの、実物の顔の美しさ、精悍さはとても鮮烈だった。

「頑強で安全性が高いことを示すボルボのエンブレム(アイアンマーク)の右上にある矢印からインスパイアを受けたデザインなんです」

本社スタッフはそう話す。過去のXC90とも一線を画す、若々しいオーラとプレミアム感が融合した見事な仕上げだ。

ボルボ「XC90」のインディゴブルー
シックな色合いのインディゴブルー。

クルマに乗りこみ、ナッパレザーのシートに身を委ねる。心地よい硬さのシートで長距離運転でも負荷がかからないであろうことが予測できた。エンジンをかけ、クリスタルのシフトノブを操作。ゆっくりと滑らかに動きだす。急に速度が上がるわけではなく、緩やかに品のいい加速が心地いい。

現地の橋やトンネル、市街地や海沿いなど、ゴールのレストラン「VYN」に行くまでにさまざまなルートを試乗した。デコボコが目立った市街地でも、障害を乗り越えた時の衝撃も上手に吸収するし、横風に対しても大きなストレスを感じることは皆無だった。

「VYN Restaurant」
旅の目的地はスウェーデン・シムリスハムンにある宿泊施設を備えた「VYN Restaurant」。ダニエル・ベルリン氏がメインシェフを務める、ミシュランで2つ星を獲得したスウェーデン料理のお店だ。

乗っている時、走っている時の高揚感みたいなものは正直あまりない。ただ乗り進んでいくと、心がすっきりしていく感覚が得られた。まるでメディテーションやヨガをした後のような、穏やかな気持ちに包まれるのだ。

これはスムーズな発進、高いレベルの静粛性や、キレのいい音質、ナビゲーション周りのデザイン力、車内インテリアの色味や素材の組み合わせ等、さまざまな要素が噛み合ったことにより、生まれるもの。ただ、ルックスや性能をデザインするだけでなく、乗る人のメンタルまでもデザインしている。それにより、安全性が高まることをボルボはわかっているのだろう。

車道を走るボルボ「XC90」
試乗した日は風が強い日だったが、橋や海沿いをスムーズに穏やかに走る。直進性も抜群で、快適そのもの。

このクルマを都心で乗る自分を想像してみた。過度な広告や看板に占拠された目にうるさい日本の道路。マナーが整備されているとは言えない自転車やキックボードの利用者。それらに多大な注意を払いながら、運転をするのは、とても気を張る。しかし、「XC90」であれば穏やかな心持ちで運転できそうだな、ふとそんなことも考えた。

約10年前のデビューから、細かな改善を重ねた同車は、ひとつの最終形態にたどりついた。電気自動車に移行する前に、この「XC90」は有りだ。

INTERIOR|心地のいい、クリーンな内装

無駄な装飾がないインテリアは、北欧ブランドらしく控え目な印象。1枚目写真はインディゴブルーの内装。特筆すべきは11.2インチの縦型センターディスプレイ。画面の解像度が高く、かなり鮮明に見える。文字も地図もくっきり。ボタンなどの操作もわかりやすく、日本語版にスムーズに切り替えられた。車内スペースも十分で、最大7人が快適に乗車できる。

SPEC
ボディサイズ:全長4,950×全幅1,960×全高1,775mm
ホイールベース:2,985mm
車両重量:2,340kg
モーター最高出力:52kW/3,000-4,500rpm(前)、107kW/3,280-15,900rpm(後)
モーター最大トルク:165Nm/0-3,000rpm(前)、309Nm/0-3,280rpm(後)
一充電走行距離:約800km
バッテリー容量:18.8kWh
※スペックは『Ultra T8 AWD plug-in hybrid』
価格:未定

問い合わせ
ボルボ・カスタマーセンター TEL:0120-55-8500

TEXT=二本柳陵介(幻冬舎)

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