電動化は、スーパーカーブランドにとっても重要な課題のひとつ。ランボルギーニは、販売台数の半数以上を占めるブランドの大黒柱であるスーパーSUVのウルスにPHEV(プラグインハイブリット)モデル「ウルスSE」を設定し、日本への導入を開始する。
電気自動車時代へとつなぐ橋渡し役として
ランボルギーニはいま、脱炭素の実現に向けて電動化を進めていく「コル・タウリ(Cor Tauri)」という戦略を打ち出している。2024年末までにラインアップのすべてを電動化。2025年初頭からCO2排出量50%削減を目指す。ハイブリッドへの移行を推進するために5年間で18億ユーロ(およそ2880億円)を上回るランボルギーニ史上最大の投資を行い、2028年には初の電気自動車(BEV)「ランザドール」を世に送り出すというものだ。
電動化といってもスーパーカーブランドが一足とびに電気自動車(BEV)へとスイッチするのは現実的でない。これから数年間はハイブリッドモデルがそれまでの橋渡し役を担うことになる。ランボルギーニは2023年には初のPHEVスーパーカー「レヴェルト」を発表。そして今年、PHEVの第2弾となる「ウルスSE」を発表した。
ウルスは2018年に発売されたランボルギーニ初のSUV。4リッターV8ツインターボエンジンは最高出力650PS、最大トルク850Nmを発揮し、最高速度は305km/hとSUVにもかかわらず300km/hオーバーを達成。スーパーカーブランドが手掛けたスーパーSUVということで世界的なヒット作となった。
2022年にはマイナーチェンジを実施し「ウルスS」と「ウルス ペルフォルマンテ」へと進化。エクステリアデザインを変更、また最高出力は666PSにまで高められている。
そして2024年5月、日本に新たに上陸した「ウルスSE」は、4リッターV8ツインターボエンジンに1基の電動モーターを組み合わせたPHEVへと生まれ変わった。エンジンは最高出力620PS、最大トルク800Nmを発揮。これに192PS/483Nmを発揮する電動モーターを組み合わせることで、システム最大出力は800PS、最大トルクは950Nmを発生する。0-100km/h加速はウルスSを0.1秒しのぐ3.4秒で、最高速度はウルスSより7km/h速い312km/hとまさにスーパーカーだ。
駆動用のリチウムイオンバッテリーの容量は25.9kWhで、トランクの下、リアディファレンシャルの上部に配置する。EVモードで60km以上の航続距離を実現。最高速は130km/hに到達する。4種類のモード(EVドライブ、ハイブリッド、パフォーマンス、リチャージ)を用意。ハイブリッドモードではエンジンとモーターを併用しエネルギー効率を最大化。パフォーマンスモードはエンジンを主にモーターがサポートし走行性能を最大限に高める。リチャージモードではエンジンを使って発電し、バッテリーを最大80%まで充電できる。
過渡期だからこその“一粒で2度おいしい” モデル
エクステリアは、空力性能を高めるためバンパーとフロントグリルを刷新。新しいフローティングボンネット、リアディフューザーなどを採用。マトリックスLEDテクノロジーを採用したヘッドライトやテールライトグリルなどガヤルドをはじめとするスーパースポーツカーにインスパイアされた要素を取り入れている。
ウルスSEは、内燃エンジンと電気モーターという“2つの心臓”を組み合わせることによって従来モデルよりCO2排出量を80%削減しながら、史上最高のトルクと出力を発揮している。V8エンジンは従来と同様の力強いサウンドが、そしてEVモードでは室内に未来的なサウンドを奏でるようなチューニングが施されている。ウルスSEは、BEV時代への過渡期だからこそ味わえる“一粒で2度おいしい” モデルといえるかもしれない。
すでに「ウルスS」や「ウルスペルフォルマンテ」の受注は終了しており、今後はこのPHEVモデルに一本化されるようだ。「ウルスSE」の国内販売価格は約3150万円から。デリバリーは2025年開始予定となっている。