ビジネスの最前線で闘うリーダーやスペシャルな人の傍らには、仕事に活力を与え、心身を癒やす、大切な愛用品の存在がある。それらは、単なる嗜好品にとどまらず、新たなアイデアの源となり、自らを次のステージへと引き上げてくれる、最強の相棒=Buddyでもあるのだ。今回紹介するのは、機械加工製造会社を経営する福田俊美氏の愛車、ランボルギーニ。特集「最強の相棒」
挑戦し続ける者のみ知り得る世界
都内の高級ヨットハーバーにエキサイティングなエグゾースト音が近づいてくる。現れたのは3.5億円以上の価格が掲げられた世界限定。生産数わずか63台、国内では数台のみしか導入されていないランボルギーニ シアン FKP 37だ。
シザードアが上方に開き、車内から颯爽と降り立ったのは自動車やオートバイの製品製作、機械加工の製造会社を経営する福田俊美社長。ランボルギーニ史上最高の動力性能を誇るこのアニバーサリーモデルは6498ccV12エンジンとモーターを組み合わせた同社初のハイブリッドスーパーカー。まるで“闘牛”ともいうべき挑発的なシアンに反して、それをいなす福田氏の物腰は柔らかく、その生い立ちは熱狂的だった。
「父の影響で、物心ついた時にはオートバイでサーキットを駆け、タイムを刻んでいく日々。自分にとってはそれが当たり前で。3歳から30歳までの間、バイクのレーサーとして厳しい勝負の世界に挑み続けていました」
当時、言うことを聞かないと拳がとんでくるほど怖い存在だった父親。しかし、今こうして大成したことも含めて、父親には感謝の想いが勝ると言う。
「レースができたのはやはり、父のおかげだから。夢はいつか父親にスーパーカーを買ってあげること、スポンサー宛ての企画書にもそう書いてました(笑)」
経営者として勝負を挑み続ける
およそ30年続いた挑戦から福田氏はマシンを降り、現在バイクは一台も所有していないし、乗ってもいないという。レース活動から身を引くが、一経営者としてビジネスの世界で戦いは続いている。
「なにごとも挑戦してみることが大切。レース経験で培ってきた勝負勘や絶対に諦めないという姿勢も大きいのかもしれません。スランプで悩んでいる時に父親から『結果が出なければ意味がない!』と、バッサリ言われることもありました。大人になって仕事に当てはめてみると、見当違いな方向に全力を出して『頑張っている』と主張してもまったく意味がないし、結果を出す頑張り方を意識するのが大事。レースの場合、思いっきり攻めすぎたら大怪我をしたり、命に関わることもありますが、思いっきり仕事を頑張っても命を落とすことはないじゃないですか(笑)。チャンスを感じたらとにかく全力でぶつかってみる」
そんな福田氏にとってスーパーカーは、頑張った自分への対価。未来へと自分を鼓舞し、導いてくれる存在なのだとか。
「コイツは自分をさらに高めてくれる存在です。スーパーカーを取り巻く世界には、もっとすごい方がたくさんいる。だから自分に自信過剰になることもなく、さまざまな人と出会える名刺代わりになっています」
そう語る福田氏のもとにはすでにランボルギーニの新型モデルの情報が届いている。父親にスーパーカーを買うために。
機械加工製造会社経営 福田俊美
1983年神奈川県生まれ。オートバイのレーサーとして活躍後、パーツの製品製作や機械工作などの製造会社を創業。事業拡大で2018年にタイへ工場進出する。現在世界限定1台含む、4輪9台の18輪生活。