マクラーレンは2011年に本格的にスーパースポーツ市場に参入するや、瞬く間に独自のポジションを築いた。次なる10年に向けて開発した、新世代マクラーレンの第一弾がこの「アルトゥーラ」。プラグインハイブリッドが特徴だが、さすがはF1で数々の栄光を勝ち取ってきただけに性能もフィーリングもひと味違う。連載「NAVIGOETHE」とは……
胸躍るクルマ
「アルトゥーラ」は、マクラーレンが初めて送りだす量産のプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。外部の電源に接続して、充電できる。
軽井沢で開かれた試乗会では、さまざまな意味でこのクルマにわくわくさせられた。まずシステムを起動して走りだすと、デフォルトの状態だとモーターだけで走るEV走行になる。未来的なスタイルのスーパースポーツが無音、無振動で走るという意外性に、気分が高まる。
時速60㎞を超えるあたりでエンジンが目覚め、モーターとのコラボレーションが始まる。ここで驚いたのは、数多くの高性能ハイブリッド車に感じる不自然さを、このクルマでは感じなかったことだ。
ハイブリッド車は未だに、燃費が悪いというエンジンのネガティブさを消すために、“仕方なく”モーターを加えているという印象もある。が、アルトゥーラは違う。ターボチャージャーのように、エンジンの魅力をさらに引きだすために、積極的にモーターを使っているように感じる。燃費のためではなく、ファン・トゥ・ドライブのためのハイブリッドシステムなのだ。
ドライバーがこう感じるのは、マクラーレンの高度なテクノロジーの賜物。バッテリー搭載による重量増というハイブリッドの弱点を補うために、軽くて強いカーボンで基本骨格を構成、コンパクトなのにパワフルなエンジンも新たに開発した。
センサーから得た路面や車両の情報で瞬時に乗り心地とハンドリングを最適化する足回りのハイテクも、効果的に働いている。いずれの部分にもF1の最前線で戦い続けてきたノウハウと技術が盛りこまれ、これはマクラーレンにしかつくれないと痛感した。
ビジネスパーソンが投資したいのは自らに刺激を与えるもの。痛快な操縦性とともに、未来のスーパースポーツと出会った興奮で、胸が躍った。
MCLAREN ARTURA
0〜100km/h加速がわずか3.0秒と、環境性能とハイパフォーマンスを両立。その背後には、1980年代からF1で磨き続けてきたカーボンによる軽量化など、このブランドならではのテクノロジーがある。
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マクラーレン・オートモーティブ https://cars.mclaren.com/jp-ja