『暗幕のゲルニカ』『ジヴェルニーの食卓』『リボルバー』といったアートを題材としたヒット作を手がけ、キュレーターとしても活躍してきた作家・原田マハ氏。そんな原田氏によるオンラインコミュニティサロン「Mahalíque」が開設される。限られた人数のメンバーとともに愉しむ、アートの真髄とは。

作家デビュー20周年。読者とともにアートを語らう
「人が生みだしてきた文化のなかで最も古いのがアートです。人類は天災や飢饉、戦争などいろんな苦難を体験してきたけれど、アートは一度たりとも途切れることなく、人々とともに歩み続けてきたわけです。だから私、思うんですよ。人類史上、“最先端”にいる私たちはどんな苦しいことがあっても、アートとともになんとか生き延びていけるはずだって。そんな風にいつもアートに励まされているんです」
かつて小誌で行われた対談「作家・原田マハ×『ArtX』CEO播口友紀 日本のアートをもっと世に広め、引き継ぐためにすべきこと」でそう語っていたのが、作家の原田マハ氏だ。その言葉どおり原田氏の人生は、常にアートとともにある。
原田氏は都内の美術館勤務を経て、伊藤忠商事に就職。美術館新設のコンサルティングや展覧会のプロデュースなどを手掛けながら、大学に通い直し学芸員の資格を取得した。1995年からは森ビルで、森美術館設立のため世界中の美術館を視察して回り、森ビル退職後もアートイベントを企画するといった活動を展開。2006年に小説家デビューを果たしてからは、ルソーとピカソの謎を追う『楽園のカンヴァス』、ゴッホの死に迫る『リボルバー』など、アートを主題にした小説を次々に発表する。日本に「アートミステリー」という小説ジャンルを築いてきた第一人者でもある。
キュレーターとしても活動してきた原田氏にとって、アートについて誰かと語らうことは、新たな視点と気づきを得る重要なファクトであるのだろう。さらに原田氏の小説を読んだ者であれば、いちどは原田氏とアートについて、そしてその作品について語り合ってみたいと思うもの。
そして原田氏の作家デビュー20周年を来年に控えた今、原田氏と読者がつながるオンラインコミュニティサロン「Mahalíque(マハリク)」が開設されることとなった。

作家。1962年生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。2006年『カフーを待ちわびて』で作家デビューし、『楽園のカンヴァス』『リーチ先生』『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』など著書多数。
原田マハとアートを愛する仲間に出会える上質な場
このコミュニティでは、メンバー向けに原田氏による月に1度の「アート講座」をオンラインで開催。原田氏のアート小説が課題図書となり、主題となった芸術家の人生や美術史的背景、作品に込められた思いなどを紐解いていく。2025年10月から翌年3月までのプログラムでは、『ジヴェルニーの食卓』をテーマに、モネの生涯や印象派におけるモネの役割などを、レクチャーしていくという。
さらに、原田氏とともに実際に美術館や展覧会を訪れる「アートツアー」も予定されているほか、アートだけではなく旅やグルメなど多彩なジャンルのゲストによるトークライブの配信も。これ以外にも原田氏とメンバーが直接交流できる対面イベント、原田氏が日々の暮らしの中で気づいた小さな気づきを綴るショートコラム配信、メンバーから届いた相談に原田氏が寄り添う企画や、原田マハ作品についてメンバー同士が自由に語り合える場も提供される。
このコミュニティのメンバーは、人数限定でさらに審査制となる。また募集期間は2025年9月8日から14日の7日間のみで、その後の募集は未定だ。まさに限られたメンバーだけが集うエクスクルーシブなコミュニティとなり、だからこそ同じ作家とアートを愛する仲間と出会える上質な機会になっていくはずだ。

「でも、絵を見るってそういうことかもね。目には見えない、画家が絵筆にこめた情熱……みたいなものを、絵を通して受け取る、っていうか。お母さんは、絵を見ていると、いつもそういうの、感じるのよね。冴も、画家から受け取るつもりで絵と向き合ってみたらいいよ」
『リボルバー』(幻冬舎)より抜粋
ゴッホを撃ち抜いた拳銃の謎に迫る『リボルバー』で、主人公・冴は幼い頃にそう母からアートとの向き合い方を教えられた。
アートの楽しみ方は、見る者によって変わってくるだろう。歴史的背景を追い画家に寄り添って作品を見る者、直感で見る者、作品の解釈はそれぞれに違う。そしてだからこそ、アートを語らうのは愉しい。100年前に描かれた絵画でも新しい解釈は永遠に生まれ続けていくのだから。
原田氏の視点で、あるいはメンバーたちの視点で、新たなアートの楽しみ方を発見する場となるこのコミュニティ。作品そのものは芸術家が作り出すけれど、見る人がそれを愛し語らうことで、その価値はさらに高められていく。作家・原田ハマ氏とともに、そして新たな仲間とともに、アートの歴史をつくっていってほしい。

原田マハ オンラインコミュニティサロン「Mahalíque(マハリク)」
募集期間:2025年9月8日〜9月14日
会員価格:¥6,500/月
詳細はこちら
問い合わせ
マハリク事務局 info@mahalique.com