ドン ペリニヨンの醸造最高責任者として名を馳せたリシャール・ジョフロワ氏が、かねてからの夢だったという日本酒造りに着手したのは2019年。醸造の地に選んだのは、立山連峰や富山湾を望む富山県立山町だ。
未知の領域を表現した最新作「IWA 5 アッサンブラージュ5」
IWAは、3種の米、5つの酵母を使用し、毎年32個のステンレスタンクで新酒を醸す。その後、その年の新酒と貯蔵酒のなかから約20種を緻密に組み合わせてアッサンブラージュを行う。1年半の瓶内熟成を経て「IWA 5」は完成する。
進化を続けるなか、2024年9月には温かみや重厚感、活力を表現した最新作「IWA 5 アッサンブラージュ5」が完成。そして、この発売を記念して京都嵐山の老舗料亭、京都𠮷兆で一日限定の食の饗宴が開催された。
発表の場を京都𠮷兆としたのは、「アッサンブラージュ5の重厚でいて前衛的な表現には、伝統を守りながらも革新を続ける京都𠮷兆の料理がシンクロするから」とジョフロワ氏。総料理長の徳岡邦夫氏とは30年前に出会い、互いの「ものづくり」の姿勢に共感し、親交を温めてきたという。
この日は、アッサンブラージュによって生みだされる「IWA 5」の濃厚でバランスのよい味わいを意識し、京都𠮷兆オリジナルの「熟成うま味キャビア」をメインにした料理が供された。
「IWA 5は、うま味が濃く重厚感もあるお酒です。淡いうま味の料理では負けてしまう。昆布や醤油、塩のうま味をしっかりまとわせた料理を調えました」と徳岡氏。向附の菱蟹、強肴の伊勢海老と烏賊石焼、八寸の白和えにもキャビアをたっぷり。極めつけは〆の四つ椀。松茸ご飯や鰻の白焼きにもうま味キャビアを合わせ、最後まで酒と料理の調和を創生した。
「日本料理は一貫性のあるハーモニーが魅力の料理。だからこそ、淡泊なものから濃厚な味にまで合うIWA 5と、ともに引き立て合うのです。私はIWA 5を実験的かつ遊び心を持って造っています。飲む方にも遊び心を持って料理と合わせ楽しんでいただきたい」とジョフロワ氏。
世界を視野に入れたふたりの挑戦的なコラボに今後も期待したい。