29年間のプロ野球選手として活躍し、引退後は5度の日本シリーズ制覇を成し遂げた工藤公康さん。その強靭な精神と肉体を支えるもののひとつが食だ。並々ならぬ食へのこだわりを持つ工藤さんがお取り寄せするアイテムをご紹介。
つくり手の愛を感じ、笑顔になれることが一番
選手・監督時代だけでなく、引退後も日本国内を飛び廻り講演やTV番組の出演など活躍の幅を広げている工藤さん。
「出張は食の楽しみもあります。食べることはもちろんですが、最近は畑仕事をしていることもあり、いろんな土地で生産者を訪ね、話を伺いに行っています。まだまだ知らないことだらけ。自分自身ももっと知りたいし、感動したことを多くの人とシェアして知ってもらいたいです」
畑で野菜を育てるようになったのは、俳優として活躍する長男の阿須加さんがきっかけだった。3年ほど前から山梨県北杜市で農業を行う阿須加さんの畑を、休日に手伝っていたら、その面白さに魅了され、今では自分の畑を持つように。
「自ら畑を耕すことでつくり手さんの日々の苦労が身に染みて理解できるようになりましたね」
良いものを作ろうと思えば思うほど、どうしても手間暇がかかる。
「食べる人の健康や喜ぶ顔はもちろん地球環境のことも考え、苦労をも喜びとして奮闘している人たちにはもうリスペクトと感謝しかないですよね」
人柄が味わいとして感じることができると、笑顔になれる。そうすると食卓での話も弾み楽しい食事になる。
「これが取り寄せの醍醐味ですね」
工藤公康のとっておきのお取り寄せ3選
1. じゃがいもの新しいおいしさに感動!
折笠農場「300日雪室熟成 有機さやあかね」
「無農薬無肥料で育てるのも大変ですが、畑で完熟させてから収穫し、さらに低温で1年近く貯蔵と本当に手間暇がかけられているんです。厚めにスライスしてたっぷりのオリーブオイルで揚げ焼きにし、塩を振っただけでもう止まらない美味しさ。これ以上のじゃがいものにはまだ出合ったことがない」
同じく折笠農場で生産された日本初のオーガニックマスタードも絶品で、ポテトサラダに混ぜたり、ハムやソーセジにマスタードをつけて揚げ焼きポテトと一緒に、というのは工藤家の食卓の定番中の定番だ。
2. ふわっととろける脂の甘みが印象的
まるとも荒木田商店「しゃぶしゃぶセット」
福岡ソフトバンクホークスの選手を引退後、そのまま球団に残り、スコアラーを務めていた江川智晃さん。しかし、母親の実家が営む養豚場「一志ピックファーム」を手伝うために退団。オープンさせたのが三重県にある精肉店「まるとも荒木田商店」だ。
「最初は応援のつもりで注文したのですが、他の豚肉では味わえない口の中で甘い脂がとろける感触が病みつきになって、定番の取り寄せ品になっています」
野菜をたっぷり食べるために、鍋をすることが多い工藤家。
「鍋に野菜をいっぱい入れて火が通ったら、しゃぶしゃぶにして野菜と一緒に食べます。脂の融点が低く、溶け出した脂が野菜に染み込んで野菜もより一層美味しくなりいくらでも食べられるんです」
松坂牛を生み出した三重県は良質な水源と豊かな自然を有しているため、養豚にも適した環境。さらに飼料もこだわり、米の割合を増やしたり、オオバコ、スイカズラ、ベニバナなどの漢方生薬を加えたりと工夫している。
「何よりもストレスのない飼育に重点を置き、肉質の向上に努めているそうです。美味しいと言われている養豚場では皆それぞれ工夫されていると思いますが、ここの豚肉を食べれば“ちょっと違う”と実感するはず。いろいろな方にお贈りしていて、みなさんリピート買いしています」
3. 真心も味わい。心に沁みる手づくり黒糖
オルタナティブファーム宮古「黒糖&美ら蜜シロップ」
テレビ番組『工藤公康の「ちょっと過酷な」大人の休日』の撮影で、サトウキビの収穫から搾汁、鍋で煮詰めていく黒糖作りまでを体験させてもらった工藤さん。
「衝撃的な美味しさだったのはもちろん、農園主の松本克也さんの熱量にも感動しました」
松本克也さんは宮古島の自然に惚れ込んで11年前に移住。その自然と食文化を生かし、伝える仕事がしたいとバナナとサトウキビの農園を始めた。人間が作物を育てるのではなく、作物が育つ環境を整えることが大切と考え、無肥料・無農薬の生きた土を使っている。
「それだけでも大変なのに、体験型農園として学習もさせてくれるし、黒糖の魅力を広めるために美味しさを追究して手刈りで甘さの純度が高いところのみを収穫していたり、さらに黒胡麻やナッツをミックスした黒糖やオリジナルのシロップを製造するなど“ビジネス”度外視の真心に心を打たれます」