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2023.06.24

日本酒品評会「SAKE COMPETITION 2023」で「ダイナースクラブ若手奨励賞」を受賞した大和蔵酒造とは

約4年ぶりに開催された世界最大級の日本酒の祭典「SAKE COMPETITION 2023」。日本全国から選び抜かれた銘柄や酒蔵が並ぶなか、今回、40歳以下の次世代の造り手を応援する特別賞を獲得した、大和蔵酒造の杜氏・関谷海志氏に独占インタビューした。

日本酒品評会「SAKE COMPETITION 2023」

三井住友トラストクラブ 代表取締役社長 五十嵐幸司氏(左)と大和蔵酒造 醸造責任者 関谷海志氏(右)。

次代を担う日本酒の造り手に贈られる特別賞

世界に誇る日本の伝統工芸や食文化を広く発信してきた中田英寿氏が運営に携わり、2012年から始まった世界最大級の日本酒品評会「SAKE COMPETITION」。市販されている日本酒を対象に、酒蔵やブランドに関わらず各銘柄の“酒質”のみで旨さを競う、世界で唯一の消費者のための日本酒コンペティションだ。

「純米酒部門」や「純米大吟醸部門」など、1000点もの日本酒を種類ごとに分け、日本酒の生産者や販売者などの審査員が銘柄を隠した状態でテイスティング。表彰式では、総合評価が最も高かった各部門の上位10品が発表される。

しかし、評価の対象は味わいや香りだけではない。日本酒アプリ「Sakenomy」での評価の高さを基準とした「Sakenomy Best Brewery of the Year」や、希少性が高く海外での人気も期待できる銘柄に贈られる「JAL空飛ぶSAKE賞」など、さまざまな観点から日本酒を総合的に評価する特別賞も用意されている。

そんな特別賞のなかでも毎回大きな注目を集めるのが、2016年に創設された「ダイナースクラブ若手奨励賞」だ。「ダイナースクラブカード」を発行する三井住友トラストクラブが、次世代の日本酒の造り手を応援するために開設されたこの特別賞。純米3部門(純米酒/純米吟醸/純米大吟醸)で最上位を受賞した酒蔵で日本酒造りに励む、40歳以下の生産者を対象に贈られる。

今回、「ダイナースクラブ若手奨励賞」を受賞したのは、純米酒部門で第1位を獲得した宮城県の「大和蔵酒造」。昨今、国内での売り上げの低迷や後継者問題など、厳しい環境にある日本酒業界。しかし、そんななかで自ら日本酒の造り手になることを志し、生産技術の向上を目指してきた醸造責任者の関谷海志氏の業績が、今回の受賞の大きな要因だ。

伝統技術を守り、発展させる、若き杜氏の挑戦

関谷氏が日本酒業界に入ったきっかけは、父親の影響が大きかったという。関谷氏の家族は、父親と祖父も親戚が営む宮城県白石市の「蔵王酒造(2018年若手奨励賞受賞蔵)」で酒造りをしていた代々の“日本酒一家”。そんな父親の背中に憧れて、関谷氏は東京農業大学に入学。卒業後は大和蔵酒造に入社し、6年の下積み時代を経て、2年前に同酒蔵の杜氏に就任した。

そんな関谷氏が、これまで特に力を入れてきたのが、日本酒の生産技術や品質管理の向上だ。

「日本酒は絞った後に“生”の期間をおいてから火入れをすることが多いのですが、今回入賞したお酒はその生の期間をあえて短くしています。絞った日に瓶詰めをして火入れをする。そうすることで、香りが飛ばずフレッシュな味わいになります。

通常ではフレッシュさが感じられるのは“生酒”ですが、生酒だと長持ちせずどうしても味に変化が出てしまいます。なので、生酒ではなく火入れをすることで、作り立てに近い味わいを長く感じられるのです。また酵母由来の炭酸も絞ったばかりのお酒には残っているので、プチプチとした舌ざわりを楽しめるのも特徴のひとつです」

今後は古酒のような熟成されたお酒の製造も視野に入れているという関谷氏。今年から町や県と連携して酒蔵の近くにあるダムの点検通路で、日本酒を熟成させる新しい試みにも挑戦している。

「ダムの点検通路は、一定の温度が保たれているうえ、日光が入らないので酒の保管に最適です。優れた環境で熟成されたお酒には、いい香りや味わいが生まれます。またワインでいう“テロワール”のように、地元のお米をダムから流れてくる水で日本酒にして、ダムの通路で熟成させる。そんなストーリーに共感していただける人が増えればと思います」

表彰式での関谷氏

関谷氏は表彰式で、「我々が今作っている日本酒は、大昔の先輩たちからの技術を脈々と引き継いできた結晶です。この伝統を守り、育み、そして継承していけるように、今後も邁進していきます」と語った。

地方の過疎化が進み、これまで脈々と受け継がれてきた伝統工芸や食文化が失われつつある今。関谷氏にとって酒造りとは、ただお酒を醸造するだけではない。その土地や文化、素材を活かした日本酒を造りだすことが、さらに次の世代に日本の酒文化を受け継いでいくことなのだ。

今回、「ダイナースクラブ若手奨励賞」の賞品として、副賞50万円だけでなくダイナースクラブ会員への紹介や販売、会員誌での記事掲載も獲得した大和蔵酒造。今後は国内のみならず海外での人気も期待されるので、コンペティションで第1位を受賞した「雪の松島 海-KAI- ひとめぼれ 純米原酒」をはじめ、その他の銘柄も今のうちから試しておきたい。

TEXT=ゲーテ編集部

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