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2022.09.15

中田英寿が考える、日本酒の未来図とは

400以上の酒蔵をめぐる中田英寿氏をはじめ、アパレルブランドとの協業など新たな動きが見られる日本酒。その魅力を世界に、そして、未来へと伝えるべく、多くのプロジェクトが生まれる日本酒の未来とは!?【特集「情熱の酒」】

中田英寿氏

市場と蔵元を結ぶ

日本の伝統文化に魅せられ、その普及と発展をミッションに活動する中田英寿氏。なかでも真っ先に日本酒に着手した理由は「日本酒はほぼ国内でしかつくられていない日本独自の文化。海外を含め、市場はまだ伸びると確信したから」。

中田英寿氏

10年以上にわたり、日本酒の知見を深めてきた中田氏。日本酒ソムリエアプリ「Sakenomy」のリリースや、日本酒専用セラー「SAKE CELLAR®」の開発、「CRAFT SAKE WEEK」などのイベント開催や日本酒管理システム「Sake Blockchain」の開発など、日本酒市場全体を盛り上げるための活動を精力的に行っている。

ところが、日本酒を知れば知るほど、情報発信や温度管理、流通システムなど、酒蔵や業界が抱える課題が見えてきた。中田氏は、日本酒や酒蔵の情報をまとめ多言語で発信する日本酒アプリ「Sakemony」の開発、日本酒をよい状態で保管するための日本酒セラー「SAKECELLAR®」の開発など、ひとつひとつ時間をかけながらも解決してきた。現在は、ブロックチェーンを活用した物流及び販売データ管理システム「Sake Blockchain」の構築に挑んでいる。

中田英寿氏

日本酒の原料となる米づくりも体験。

「国内から世界中の各店舗まで、各拠点での温度データと保管日数、在庫や販売状況などが視覚化できれば、購入者からの信用度は増し、酒蔵は販売データに沿って、製造や販売を効率化できます」

また、蓄積したデータは、どの商品が、どの国や地域の、どんな店で需要があるかなど、マーケティングに活用できる。さらに、それをベースにして商品開発やPR戦略、価格設定などを行うことで、日本酒は“高い利益が見こめる商材”になるというわけだ。

「量より質を求める時代になった今、独自の味を追求し、おいしい日本酒をつくる蔵元は増えています。でも、味がよいだけで売れる時代ではないのも事実。市場をリサーチし、自分たちの想いや商品のストーリーなど“ファンをつくる情報”を発信し、物流をコントロールし、利益を生む。伝統産業全般にいえることですが、未来につなぐには、適正な利益が出る業界にするのが不可欠。僕らの役割は、その課題を解決する仕組みづくり。まだまだできることやりたいことがたくさんあります」

熱い想いを胸に、中田氏はこれからも挑戦を続ける。

中田英寿氏

全国各地の酒蔵と話しを重ね信頼を築いてきた。

日本酒は、まだまだ可能性を秘めている

日本酒と料理のマリアージュに悩む酒蔵やシェフが多い現状に応え、年内にシェフと酒蔵のコラボによる“料理に合う日本酒”ブランド、「èks(エクス)」をプロデュースし、年内に発売予定。

『日本橋 蕎ノ字』の鈴木氏と静岡の酒蔵、初亀醸造は天ぷらに合う日本酒として「èks tempra edition. No.1」を、「焼肉ジャンボ本郷店」の南原氏と栃木県のせんきんは、焼肉に合う日本酒として「èks yakiniku edition. No.1」と、料理のジャンル別に、今後も鮨、懐石などさまざまなシェフと酒蔵のコラボを展開する予定だ。ブランド名は、「日本酒と料理、蔵元と飲食店をかけ合わせる= X(エクス)」の意味を込めた。

「消費者にとっても、日本酒を知る“入り口”になれば嬉しいですね」

初亀、仙禽

左:eks 初亀。右:eks 仙禽。

Hidetoshi Nakata
1977年山梨県生まれ。2006年までプロサッカー選手として国内外で活躍し、’15年からJAPAN CRAFT SAKE COMPANY代表取締役。日本酒業界をはじめとした日本伝統産業の魅力を国内外に発信。金沢の国立工芸館名誉館長なども務める。

CRAFT SAKE WEEKEND 2022
2016年の初開催以来累計約60万人が来場したイベントが、代々木体育館を舞台に復活。「十四代の日」「日本酒スタンダード」「日本酒ニューウェーブ」とテーマに合わせ、各日10、合計30の酒蔵が登場する。日本の本物を集めたオンラインストア、「にほんものストア」もリアル出店。
期間:2022年9月17日(土)~ 9月19日(月・祝) 
住所:国立代々木競技場INSPIREDTOKYO内 外周エリア
開場:12:00~20:30(ラストオーダー20:00)

【特集「情熱の酒」】

TEXT=村上早苗

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