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2022.02.09

“肉の魔術師”から引き継ぐ使命をまっとうする気鋭店「AUROCHS」【衝撃の肉】

肉に精通したプロが「本当は秘密にしておきたい」というとっておきの店を公開。今回ご紹介いただくのは、フードアクティビストの松浦達也さん。信頼度100%の穴場店へ、いざ!【衝撃の肉特集はこちら

AUROCHS

多くの料理人が焦がれるジビーフ。北海道・様似郡の駒谷牧場でのびのびと育った牛は、滋賀県の精肉店「サカエヤ」の新保吉伸氏のもとで手当てをされ、店へと届けられる。〝究極の野生赤身肉〞とも呼ばれる牛肉の味や香りが食べ手の心に深い余韻を残す。

稀有な食体験を通して肉食の本質に触れる

1度興味を持ったことは、どこまでも深みにハマらないと気が済まない性分。「食べること自体が好きだけれど、その向こうにあるストーリーが気になるんです。職業病というより、それを知りたいと思う衝動が抑えられない」と話す松浦達也さん。名古屋の『オーロックス』との出合いは今、食肉業界では知らない者はいないと言われる滋賀県の精肉店「サカエヤ」の新保吉伸氏を通してだった。

黒毛和牛 50日間熟成リブロースの炭火焼き(写真の料理は¥14,400~のコースの一例)。

AUROCHS

〈左〉ジビーフのサーロインの炭火焼き。〈右〉近江牛のレバーの炭火焼き。鼻を抜ける香り、舌の上にとろんと残るピュアな甘みに陶然。

「名古屋に新しく、サカエヤのお肉を出すレストランがオープンするというので新保さんと一緒にうかがったのが最初です。新保さんは肉を見極め、シェフに合わせてさまざまな手当てを施します。フレッシュから熟成までサカエヤの肉が揃うと聞けば、東京から名古屋までだろうと通わずにはいられません」

古くは商人町として栄えた情緒漂う四間道(しけみち)の古民家を改装した店に入ると、まず目に入るのは巨大な熟成庫。そこに横たわる肉塊が別格のオーラを放って見えるのは気のせいではない。

AUROCHS

ジビーフの牛テールの炊き込みご飯。テールの入荷があった時のみ登場。

AUROCHS

近江牛のタルタル。力強い旨味が伸びやかに広がる。

多くの料理人が「扱ってみたい」と切望する北海道のジビーフをはじめ、近江牛ほか、熟成をかけた黒毛和牛の肉はすべて、新保氏が生産者から預かり、大切に手当てをした後に店に届けられたものだ。

そのバトンを食べ手に引き継ぐ大役を任された伊藤和音シェフは、「人間と同じように牛にもストーリーがあるという新保さんの言葉がいつも心にあります。牛には個体差があるので、同じ部位だとしても、常に一緒の焼き方というのはありえない。格闘の毎日ですが、新保さんのお肉を見るたびに背筋が伸びますし、責任を持って牛のストーリーを伝えていきたいです」と話す。

料理人の気持ちを鼓舞し、食べ手の心を震わせる肉を求めて。得がたい食体験にきっと胸が熱くなる。

圧巻の熟成庫。

AUROCHS

ゆったりとしたカウンター席の奥には、シェフの調理風景を眺められる焼き台が。昼夜ともに同様のコース料理を提供している。

オーロックス
住所:愛知県名古屋市西区那古野1-23-2 四間道糸重1F
TEL:090-7307-9203
営業時間:12:00~15:00/17:30~23:30
定休日:不定休
席数:カウンター7席
料金:おまかせコース¥14,400~ほか

教えてくれたのは――
フードアクティビスト 松浦達也さん
1969年生まれ。食をとりまくモノ、ひと、ことに関心を持ち、現場取材で見聞きしたすべてをさまざまなメディアで表現。著書に『大人の肉ドリル』、『新しい卵ドリル』、共著に『東京最高のレストラン』などがある。

TEXT=小寺慶子

PHOTOGRAPH=上田佳代子

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