GOURMET

2020.06.24

ペシコ|長崎のイタリアン。島原の有明海を望む最先端“里浜ガストロノミー”

毎年恒例のゲーテレストラン大賞「ゲーテイスト」。今回も秋元 康さん、小山薫堂さん、中田英寿さん、見城 徹の食を愛する4兄弟が集結、ここ1年のお薦めのレストラン(全52店)を教えてもらった。46店目は、「里浜ガストロノミー」を標榜し、島原の海と山の新鮮な食材と、伝統の発酵保存食を使った新進気鋭のレストラン。

ペシコ

小山薫堂「郷土愛に燃える若きスターシェフが魅力」

──地元の自然の恵みや綿々と受け継がれてきた食文化を大切に思い、その魅力をモダンなひと皿に昇華させている井上稔浩シェフ。島原の価値を高めようと孤軍奮闘する姿も心を打つ。島原生まれ、島原育ちの若きスターだ。

小山:海沿いにあって、とっても素敵なお店です。「里浜ガストロノミー」を標榜し、島原の海と山の恵みを使い、代々伝わってきた発酵保存食も自家製にして、料理に奥行きを加えています。

中田:最先端を行く若手シェフたちは、自然との共存、伝統の食を見直すなど原点回帰を目指していますよね。

小山:大阪の調理師専門学校を、卒業後も故郷に帰らず、アルバイトをしながら旅をするという生活を5年くらいしていたそうです。実家は島原で鮮魚を中心に扱うスーパーマーケット。お父さんは魚の目利きで一目置かれる人なんですね。そのお父さんが、彼を心配して、店の裏で一緒に居酒屋でもやろうって故郷に呼び戻すわけですよ。そこからめきめきと郷土愛に燃える料理人へと成長していくんです。

秋元:いい話だね。

「クエの炭火焼アスパラガス」

「クエの炭火焼アスパラガス」(料理はすべて¥14,000のコースの一例)。

「有明海のフグの一夜干しと聖護院大根」

「有明海のフグの一夜干しと聖護院大根」。その上に添えられたオイスターリーフは、裏の畑から。まさに牡蠣のような磯の風味を持つ。

「島原湾のコウイカと島原いちごラルドとフェンネルパウダー」

「島原湾のコウイカと島原いちごラルドとフェンネルパウダー」。

「海のミルク山のミルク」

「海のミルク山のミルク」というメニュー名。つまり、天草の漁師をしている友人が育てた牡蠣と、熊本・玉名牧場のモッツァレラチーズを合わせて、海と山のつながり、人のつながりをテーマにしている。

島原で養殖されている鮑を、有明海の海草で蒸したもの。

島原で養殖されている鮑を、有明海の海草で蒸したもの。島原の伝統食、黒ニンニクと肝を合わせたものを添えている。

見城:ひとりでやっているの?

小山:奥さんとふたりで。3人の子供を育てながら。

秋元:味って時間がかかるんだよね。そこに行き着くまでの……。

小山:ほぼ独学ですからね。居酒屋は、創作メニューで一躍人気店になり、2年後には島原の繁華街でこの店の前身となるイタリアンを4年経験して。農家、漁師、畜産、いろんな生産者とつながりができていって、やるべきことがどんどん見えてきたんでしょうね。2018年に次のステップとしてここに移転したんです。

見城:このあたりはリゾート地?

小山:いえ、ここ1軒だけ。昼・夜同じコースで、8000円と1万4000円だから、地元の人が毎日通うような雰囲気ではないのではと。県外、海外からわざわざここを目指して、というお店なので、ゆくゆくはオーベルジュになったらいいな。

中田:周りにも同じような志の人が集まってきたらいいですね。

小山:彼もそれを望んでいるんじゃないかな。島原を背負っているっていう正義感にも燃えていて、その青さが眩しいですよ(笑)。若さゆえの大胆さにも期待したいですね。彼が成長していくのを見るのも楽しみ。ヒデもぜひ行ってみて。すごく話が合うと思うよ。

夜は外の景色が見えないので、カウンターでの食事となる。

夜は外の景色が見えないので、カウンターでの食事となる。

シェフの井上稔浩氏。

シェフの井上稔浩氏。「単に地産地消というのではなく、次の世代に残していくことを考えていきたい」と地域の生産者とつながりながら、自分の果たすべき使命感に燃えている。

有明海の湾岸沿い、雲仙・普賢岳を背景に建つ。建物の裏手にある畑では、自らハーブを育てている。

有明海の湾岸沿い、雲仙・普賢岳を背景に建つ。建物の裏手にある畑では、自らハーブを育てている。

Pesceco
住所:長崎県島原市新馬場町223-1
TEL:0957-73-9014
営業時間:12:00~/19:00~(完全予約制。
お昼の営業・夜の営業ともに2組の受付)
休業日:不定休
座席数:8席、個室なし
料金:コースは¥8,000、¥14,000
https://pesceco.com/

※現在、レストランの営業時間、休業日など記載の情報と異なる場合があります。ご来店時は事前に店舗へご確認ください。

TEXT=藤田実子

PHOTOGRAPH=水崎浩志

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