時間を知る手段は他にもある。アクセサリーとして時計を楽しむなら「カラー」が重要になってくる。【特集 時計をつける悦び】

色を愉しむ悦び
実用品として時計を考えるなら、針が読みやすい色でなければ意味はない。ダイヤル色に白と黒が選ばれてきたのは、当然のいきさつだ。
しかし現代の腕時計は、実用品としての役割はかなり薄くなっており、むしろ自分自身を表現するアクセサリーとしての役割の方が重視されている。
こうなるとダイヤルカラーが断然楽しくなってくる。すでにメンズファッションにおける定番色だったブルーやグリーンが、高級時計においても人気色として定着し、各ブランドからは濃淡や表現に凝ったさまざまなバリエーションのカラーダイヤルが誕生している。しかし時代はさらに先を行く。2025年の注目は、断然バーガンディやレッドといった暖色系である。
暖色は気持ちを上げる効果があり、相手にポジティブな印象を与えることができる。しかもニットやコートの定番色であるブラックやブラウンのアイテムとも相性がよいので、手首のアクセントとして効果は高く、これひとつでこなれたコーディネートに仕上がる。
時計表現の自由度が高まっている時代ならではの明るい色の時計が、暖かな冬を連れてきてくれるだろう。
1.グラスヒュッテ・オリジナル|セブンティーズ・クロノグラフ・パノラマデイト
1970年代に流行したTVスクリーンのケースデザインを現代的に解釈。新たにダイヤル工房を設立し、カラーダイヤルのレベルを上げた。印象的なこの色はプラズマと命名した。世界限定100本。


2.フレデリック・コンスタント|クラシック プレミア
ブレゲ針やブレゲ数字のインデックス、レイルウェイのミニッツトラックといった王道のクラシックデザインにサーモンピンクのダイヤルを組み合わせ、柔らかなムードをつくる。ラ・ジュー・ペレ製の高性能ムーブメントを搭載する。

3.クロノスイス|デルフィス ファイヤースターター
180度に動くレトログラードミニッツとジャンピングアワーを、揺らめく炎のようなギヨシェ彫りとエナメル装飾で演出。ケース素材は革新的なチタン コア ナノ シェルを使用。6時位置は回転する秒表示だ。世界限定50本。

4.エルメス|エルメス カット タンシュスポンデュ
ラウンドケースのサイドをカットし、柔らかなフォルムをつくる。8時位置のプッシュボタンを押すと時分針が12時方向に移動して、時間を隠すというロマンティックな機構を搭載。深いルージュ色のダイヤルが手首を華やがせる。

この記事はGOETHE 2026年1月号「特集:つける悦びを知るLUXURY WATCH」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

