スイスの名門時計メゾン、ヴァシュロン・コンスタンタンから待望の2023年新作3モデルが発表された。いずれも、針が扇状に表示されたレトログラード機構を搭載していることが、共通のディテールとなっている。
特別な意味を持つ、レトログラードという機構
ヴァシュロン・コンスタンタンは1755年に創業されて以来、一度も途切れることなく歴史を歩んできた最古の時計メゾン。“世界三大時計ブランド”のひとつにも数えられ、マルタ十字のロゴマークでも知られるスイスの名門中の名門だ。
2023年のメゾンのテーマは、“Less'ential(レセンシャル)”。これは「Less(少ない)」と「Essential(不可欠な)」をかけ合わせた造語であり、1919年にドイツで開校した総合芸術学校バウハウスの原則「Less is more(少ないほど豊かである)」に基づいている。時計をはじめ建築や工芸、絵画、写真など、あらゆる表現における近代デザインの規範となっている理念だ。“Less’ential”は、メゾンの時計製造において「シンプルなデザインを追求することで、より美しく、豊かなものが生まれる」ことを意味している。
そして今回、新作として登場する3モデルすべてに、バウハウスと同じく1920~’30年代の時期に注目を集めたレトログラード機構を搭載。ヴァシュロン・コンスタンタンが考えるミニマルなエレガンスを表現した。
ヴァシュロン・コンスタンタンにおけるレトログラード機構について、「その歴史は1935年から始まります」とスタイル&ヘリテージディレクターのクリスチャン・セルモニ氏は語る。
「注文を受けて製造された『ドン・パンチョ』がそれです。意図的に音量を下げたミニット・リピーターとレトログラード針によるカレンダー表示を搭載する、それ以前には存在しえなかった複雑時計です。しばらく行方知れずになっていた後、2019年のオークションで再び世に現れ、当メゾンの腕時計としては史上2番目の高値で落札されました。また、1994年や2006年にも我々は特徴的なレトログラード搭載モデルを開発しており、時計を芸術品として洗練させることに一貫して努めてきたヴァシュロン・コンスタンタンにとって、欠かせないシグネチャーなのです」
研ぎ澄まされた美を放つ最新3モデル
現代的なデザインとヴァシュロン・コンスタンタンの時計製造の伝統が息づいているのが、「トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス」だ。20世紀初頭のアバンギャルドなデザイン手法から着想を得たオープンワークや、啓蒙主義時代から受け継がれる高級時計の伝統的なディテールが融合している。
「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」では、メゾンを代表するプラチナケースとサーモンカラーのダイヤルの組み合わせを実現し、控え目でありながら調和の取れたエレガンスを表現。ディテールへの入念な配慮と、ミニマニズムの表現、卓越した技術が一体となっている。
「オーヴァーシーズ・ムーンフェイズ・レトログラード・デイト」は、スポーティシックを象徴する時計として1996年に生まれた同コレクションとして初めてレトログラード表示を搭載。さらにスポーティな雰囲気を損なうことなく高精度ムーンフェイズも組み合わせ、高度な技術と美的デザインを交差させた。
問い合わせ
ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755