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2022.12.14

伝説の機構ヴァガボンドアワーを再解釈した「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」の話題作

連載「意欲的新作ウォッチ」の第136回は、オーデマ ピゲの「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スターホイール」を取り上げる。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スターホイール

知る人ぞ知るオーデマ ピゲの「スターホイール」が時を経て待望の復活!

オーデマ ピゲの創業地であり、“複雑時計の揺り籠”と呼ばれるスイスのル・ブラッシュは、18世紀から精密かつ複雑な時計の製造が盛んに行われてきた。この渓谷一帯は、現在でも数多くの高級時計ブランドやムーブメント製造メーカーが工場を構える世界有数の生産拠点である。

スイス時計業界が機械式時計の復興を掲げた1980年代。オーデマ ピゲは'86年に世界初の腕時計式トゥールビヨンウォッチの開発に成功し、これを皮切りに新たな複雑機構ブームの立役者として頭角を現し、次々と話題作を手掛けた。数ある中でも'91年に発表された古典的な複雑機構ヴァガボンドアワーを再解釈した「スターホイール」は、知る人ぞ知るコレクションのひとつに数えられるだろう。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スターホイール

1991年に発表された「スターホイール」のファーストコレクション。

ヴァガボンドアワーの誕生は、時計の音のせいで不眠に悩まされていたローマ法皇アレクサンドル7世が、時計師であるカンパニ兄弟に静かで暗闇でも見える「夜の時計」の製作を依頼したことに始まる。カンパニ兄弟が最初に法皇に差し出した時計は、時は半円の孤の形をした窓に現れ、クォーターも示し、内部から照らされるようになっており、これがヴァガボンドアワーの基本的なシステムとなる。

17世紀の終わり頃になると、この機構は懐中時計で使われるようになっていき、進化を果たす。照明の使用はなくなり、半円の弧の形をした窓は180度に開き、クォーター以外にも分目盛りが備わった。18世紀に入ると、これらの時計は豪華な贈り物、あるいは著名人のステータスシンボルとして知られるようになった。ところが、19世紀になるとヴァガボンドアワーの製造は減少し、120度のセクターに変更。これに伴い、クォーターが消え、アワー表示の窓がなくなった。その後は、360度のヴァガボンドアワーが登場し、20世紀にはこれに取って代わるジャンピングアワーが登場する。

1991年から2003年まで製造されたオーデマ ピゲの「スターホイール」は、30モデルほど展開があり、表示のスタイルや孤の形をした窓の長さと位置などに工夫がこらされ、その多くはジェムセットまたはオープンワークだった。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲで復活を遂げた「スターホイール」は、前コレクションの延長線上にあり、独創的な三層構造のケースと超個性的なダイヤルとの組み合わせによって、コンテンポラリーなムードを漂わせている。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スターホイール

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スターホイール
自動巻き、18KWG×ブラックセラミックケース、径41mm。¥6,875,000

時計の顔であるダイヤルには、アルミニウム製の自転するディスクが3枚あり、3時間で一回転するセントラルローターにより表示される。それぞれのディスクには、1から12までの4つの数字が印刷されており、分目盛が印刷されたダイヤル上部の孤のセクターにアワーを表示。針は秒針のみでディスクの曲面に合わせて先端がややカーブしている。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スターホイール

素材使いによるハーモニーが、時計のクラス感をさらに高めている。

3枚のディスクの下にあるブルーアヴェンチュリン、18Kホワイトゴールド×ブラックセラミックのバイメタルケースなどの素材使いも面白い。「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」の全モデルに共通する二重にカーブしたサファイアクリスタル製の風防も健在。独特の視覚効果が、ダイヤルに一段と深みを与えている。

発売は2023年3月を予定。伝説のヴァガボンドアワーと刻む時間は時計愛好家にとって、この上ない至福となるに違いない。

問い合わせ
オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000
日本特別コンテンツはこちら

■連載「意欲的新作ウォッチ」とは……
2022年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる“活きのいい”モデルを厳選! 時代を超えて輝き続ける、腕時計のパワーを改めて感じて欲しい。

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TEXT=戸叶庸之

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