2021年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる"活きのいい"モデルを厳選! 連載第73回は、A.ランゲ&ゾーネの「カバレット・トゥールビヨン"ハンドヴェルクスクンスト"」を紹介する。
トゥールビヨンとレクタンギュラーケースの完璧な融合
コロナ禍において投資の対象として高級時計の需要が高まる中、入手困難なレアモデルへの注目度が以前にも増して高まっている。世界30本限定で製作されるA.ランゲ&ゾーネの角型時計「カバレット・トゥールビヨン“ハンドヴェルクスクンスト” 」もご多分に漏れず当てはまる。
結論から述べると、この時計の最大の魅力とは、稀少性に勝るとも劣らない世界最高水準の時計製造を堪能できることにある。
A.ランゲ&ゾーネは2011年に究極の仕上げを追求する「ハンドヴェルクスクンスト」のシリーズを発表。「カバレット・トゥールビヨン“ハンドヴェルクスクンスト” 」は7作目にあたり、寸分の隙もない出来栄えに世界中から感嘆の声が上がっている。
時計の顔であるホワイトゴールド製ダイヤルは、パートごとに異なるきめ細やかな仕上げが見受けられる。アウトサイズデイトを取り囲むように配されたダイヤモンド模様のエングレービングは唯一無二の個性を演出。その周りにある細いライン、針の付け根、日付表示窓の外周には、トランブラージュ仕上げを施すことで境界線のような効果をもたらしている。その上に半透明のエナメル層を重ねることで独特の表情を持つダイヤルが完成する。
この他にも、ロディウム仕上げのゴールドを用いたスモールセコンドのサブダイヤルやパワーリザーブ表示、最も難易度が高いとされるブラックポリッシュ仕上げを施したトゥールビヨン受けなど、細部の至るところまで妥協は一切見当たらない。
プラチナ製のレクタンギュラーケースに収められた手巻きキャリバーL042.1は、A.ランゲ&ゾーネが独自開発したストップセコンド付きのトゥールビヨン機構を備えている。2008年に発表されたカバレット・トゥールビヨンに搭載されたストップセコンド機能は、トゥールビヨンを秒単位の正確さで停止させることを目的に生まれたものであり、リュウズを引くことでキャリッジ内にあるテンプが一瞬止まり、押し戻すと同時に再び振動し始めるという前人未到の領域へと到達した。カバレット・トゥールビヨンはその機能が最初に搭載された記念碑的なマスターピースである。
ダイヤルとの関連性を意図したブラックロディウム仕上げによるダイヤモンド模様のエングレービングを、トゥールビヨンと中間車の受けにも反映させるなど、「ハンドヴェルクスクンスト」のコンセプトに倣った仕上げのレベルも特筆すべきものがある。
トゥールビヨンの歴史に一石を投じるA.ランゲ&ゾーネの角型時計は、未来まで語り継がれるコレクターズピースとしての揺るぎない価値を持つ記念碑的な1本となるはずだ。
問い合わせ
A.ランゲ&ゾーネ TEL:0120-23-1845