知的好奇心をくすぐる型破りな腕時計が注目されている。なぜビジネスパーソンの腕時計には色やデザインに個性を纏まとう、“遊び心”が大切なのか? 新作タイムピースのなかから、己を鼓舞する個性派ウォッチの数々を紹介する。
仕事に効く、型破りの新様式
社会構造や働き方が急速に変化している現代のビジネスパーソンが手にすべき時計は何だろうか? これまでのビジネスウォッチは、さり気なく誠実さを表現するものだった。
しかし現在の社会情勢では、打ち合わせであれ、会議であれ、人と対面して何かをすること自体が特別なことになっている。コミュニケーションの大切さが身に沁みる時代ゆえ、“人と会う”というリアルな機会を大切にしたいし、楽しみたい。だからこそ身につければ気分が上がるだけでなく、相手の心をもガツンと摑んでしまう「個性派ウォッチ」が求められるのだ。
希少な限定モデルや複雑なメカニズムを搭載する腕時計は大きな興味を引くだろうし、色に特徴があるなら、コーディネイトの差し色として効果的だろう。
全世界総ディスタンス時代の時計は、コミュニケーションツールとしての能力が特に強く求められる。一見しただけで、オヤッと思わせる個性派ウォッチをビジネスの場で使うことは、少々常識外れかもしれないが、時代の変革者や挑戦者はいつだって型破りであったのだ。
そんな心構えで個性派ウォッチを腕元で躍らせようじゃないか。
BREGUET
初代ブレゲが考案した懐中時計をイメージソースとする「トラディション」は、小さな時刻表示を12時位置に移動させたことで生じたスペースに時計機構を集約。チクタクと優雅に時を刻む姿をいつでも愛でることができる。その新作はブルーのダイヤルにかぶさるようにレトログラード式の秒針をセットし、さらに重層的に機構の動きを楽しめるようになった。
HUBLOT
ロンドンのタトゥースタジオ「サンブルー」とウブロがコラボ。幾何学モチーフの大きな針がダイヤルを覆い尽くすスタイルは、まさに圧巻。時間の経過とともに重なりが変化し、次々と新しい表情を生みだす。素材には独自開発のキングゴールドを採用。この素材はやや赤みがかった色が特徴で、銅にプラチナを加えて褪色を防いでいる。
PATEK PHILIPPE
ケースサイドのふたつのプッシュボタンを操作すると、センターの時針が前後に1時間分ジャンプするトラベルタイム機構を搭載。時針をローカルタイム(現地時刻)へと修正しても、ホームタイム(自国の時刻)を表す中空針は移動しない。ホームとローカルの両方にナイト&デイ表示があるのも便利。遠い異国への旅を思いださせてくれる、スポーティで実用的な旅時計だ。
RICHARD MILLE
フライバック式クロノグラフの機構を新開発した、完全自社製ムーブメントを搭載。特徴は60分と24時間の積算形をダイヤルの右側に縦配列(9時位置はスモールセコンド)。その結果、ダイヤルデザインもまったく新しい表情となり、モダンな迫力が加わった。クロノグラフの作動構造を研究し、薄型化にも成功。425個のパーツを使いながら、ムーブメント厚は6.05mmしかない。