強靱な肉体を保つのは並たいていのことではない。それにもかかわらず、トップランナーたちはなぜ、鍛え続けるのか。筋肉ライフを実践する9人に、その理由を探る。今回は、All-Grip代表取締役の⾦子真育氏に話を聞いた。【特集 魅せるカラダ2025】

All-Grip代表取締役。1987年神奈川県生まれ。慶應義塾大学ゴルフ部主将を務め、卒業後TBSテレビに入社。ゴルフ中継などを担当。2018年にスポーツエージェンシーのAll-Gripを設立した。
米国のスポーツビジネスでは筋肉が決め手
アメリカの野球関係者と顔を合わせると必ず、肩をバンバン叩かれる。「マイク、いいショルダーじゃないか。サイドレイズやってるな?」。相手も超マッチョ。初対面であっても、筋肉の話で一気に打ち解ける。スポーツエージェンシー、All-Grip代表取締役を務める金子真育氏はこう言い切る。
「スポーツへの愛は別として、アメリカでスポーツビジネスをしていくうえで必要なものは、間違いなく英語と筋肉。筋肉は30秒から1分で自分を覚えてもらう名刺以外のカードです。筋肉に国境はない。拙い英語でも筋肉の話がアイスブレイクになる。いきなり仕事の話をするよりうまくいきます」
その筋肉を武器に、2024年は建築や設備資材の販売などを行う商社、日本管材センターとロサンゼルス・ドジャースのパートナーシップ契約という大きな成果を上げ、2025年はセブン-イレブン・ジャパンとMLBのパートナーシップ契約にこぎつけた。金子氏によると、アメリカのスポーツ関係者はほとんどみな、いい体格をしている。大谷翔平の代理人のネズ・バレロ氏やタイガー・ウッズの代理人、マーク・スタインバーグ氏が最たる例だという。
「めちゃくちゃデカくてカッコいい。身体の線が出る服でビシッと決めて、腕が太い」
去る7月、野球のMLBオールスターゲームで渡米した際に朝、ホテルのジムに足を運ぶと、関係者が勢揃いしていた。そういう世界だからこそ、見た目が重要なのだ。
「自分に筋肉がなかったら、アメリカのスポーツ業界で戦うのはキツかったと思います。自分も日頃、鍛えているんだという自信があるので交渉の席でも相手に気後れせずにいられた。3年前に本格的な筋トレを始めておいて本当によかったです」
見た目重視だから、下半身の筋トレはまったくしないというのがユニークだ。
「鍛えるのは胸から上だけ。今は特に肩周りを重視しています。トレーナーからは下半身も鍛えるように言われていますが、いっさいしていません(笑)。仕事でもスポーツでも努力が報われないことがあるけれど、筋トレはやれば報われる。筋肉は裏切らない」
トレーニング後、前日との身体の変化を確認すると、安心し、心もやかになる。
「そういう意味では、筋トレは薬みたいなもの。しかも、スポーツエージェンシーとしての仕事にとても効きますからね」
MUSCLE DATA
食事法:脂質の少ない鶏肉や魚が中心。会社に近い「筋肉食堂」を愛用。
トレーニング頻度:週4回。仕事前に1時間ずつ。
お気に入りの部位:肩、胸、背中。今、力を入れているのは肩。
愛用マシーン:特になし。
持続の秘訣:「身体が大きくなったね」と言われるのが楽しい。
