現在、14歳、8歳、6歳の3児のママとして、仕事と育児の両立に奮闘している大沢あかねさん。子育てに専念した激動の3年間と、子育てにおけるマイルールについて語ってもらった。【その他の記事はこちら】

3児の育児は「記憶がゴッソリ抜けているくらいハード」
バラエティにドラマにと多忙な日々を送っていた大沢さんが、番組での共演をきっかけに交際していた劇団ひとりさんと結婚したのは、2009年、23歳の時のこと。1年半後、25歳で第一子となる長女が誕生したが、娘をベビーシッターに預けるなどして、産後5ヵ月で仕事に復帰した。その理由は「長く休んでしまうと、芸能界に居場所がなくなってしまうと焦ったから」。けれど、第二子、第三子の際は、仕事より子育てを優先した。
「子供を早めに保育園に入れることができたので、『楽をさせてもらったな』とありがたい気持ちもある一方、初めて立ったとか歩いたみたいな大事な場面を、自分の目で確かめられなかった寂しさも感じていたんですよね。それで、長男(2016年出産)の時は仕事をセーブし、次女(2019年出産)の時は、完全に休業させていただきました。
復帰後のことに不安がないわけではなかったけれど、ひとり目の時ですら、仕事と育児の両立は難しくて、どちらも100%にはほど遠い状況で。私はけっこう完璧主義者なので、 “満足にできない自分”にイライラしてしまうだろうし、ストレスが溜まって、家族や事務所の人たちに当たってしまうんじゃないかという気がしたんです。だったら、一度すっぱりと仕事をお休みさせてもらった方がいいなと」
仕事を休業したとはいえ、8歳、3歳、0歳の3人の育児は想像以上にハードだった。「朝の洗顔もしないまま夜を迎えていた」というほど時間に追われ、自分のことを構う余裕はほぼゼロ。スーパーに買い物に行く際は、長女の手を引き、長男をベビーカーに乗せ、次女を抱っこ紐でくくりつけていたというエピソードからも、その苦労は容易に想像できよう。
「ずっと子供のそばにいられて、楽しいことや嬉しいこともたくさんあったけれど、もう一度あれをやれと言われたら……、絶対にムリ(笑)! それくらい大変でした。だから今、そんな風にしているお母さんを見かけると、思わず声をかけたくなっちゃうんですよ。『大変ですよね、わかりますよ!』って。あの頃の私、どうやって乗り切ったのかな……正直言うと、記憶がゴッソリと抜けているんです。
同世代の友達が仕事に遊びにと楽しそうにしているのを見て、羨ましいなと思ったりもしました。誘ってもらっても『これから寝かしつけだから』と断っているうちに、だんだん声がかからなくなってきて、勝手に疎外感を抱いたこともありましたね」

「お姉ちゃんなんだから」という言葉は封印
育児にどっぷりとつかった3年弱を経て、長女が11歳、長男が5歳、次女が3歳になる頃に仕事に復帰。それから3年が経ち、中学生になった長女を筆頭にだいぶ手が離れて、時間的にも精神的にも余裕が出てきた。もっとも今でも、きょうだいゲンカだけは慣れないという。
「私はひとりっ子なので、きょうだいがいる大変さをわかってあげられないんですよ。『どうしてそんなことでモメて、大騒ぎするんだろう?』って、不思議な気がするというか。逆に主人(劇団ひとりさん)は、三人きょうだいの真ん中だから、『ケンカなんて普通だよ』とドーンと構えていて、うまく仲裁に入ってくれるんですね。だから私は、子供たちがモメ始めたら口をはさまず、遠くから見守るだけ。難しいことはパパにお任せ、ですね。最近は子供たちだけで解決できるようになって、成長したなと思います」
子育てにおいて意識していること、注意していることを尋ねると、「『お姉ちゃん/お兄ちゃんなんだから』『弟/妹なんだから』という言葉は使わないことと、他のきょうだいとは比べないこと」という答えが返ってきた。
「長女に対して、『お姉ちゃんなんだから』と言って注意したこともありました。でも、長女のちょっと悲しそうな顔を見てハッとしたんです。彼女だって、お姉ちゃんになりたくてなったわけじゃない。なのにそう言われて、ガマンさせられたり、怒られたりするのは理不尽だし、かわいそうだって。
他の子と比べないのも同じで、誰かと比べられるのは、子供にとって嬉しいことじゃないと思うんですよ。だから、きょうだいでもお友達でも、他の子と比べないようにしています」
ママは怒る役で、パパは子供たちの味方
「長女はシャイで繊細、長男は陽気でやさしくて、次女は気が強くてしっかり者と、性格はバラバラです。意識しているわけではありませんが、年齢も性別も違うので、自然と接し方を変えているかもしれません。叱る場合も、長女には優しく寄り添う感じにし、長男はビシッと厳しく、次女は……、上ふたりを見て『これをすると怒られるんだ』とわかっているからか、叱られるようなこと自体、あまりしないですね。それもまた、三人きょうだいならではのおもしろさだなと思います」
長女は年齢的に思春期に入ったので、父親との関係が微妙に変化してくる頃だが、「相変わらずパパと仲良しで、悩み事もパパに相談しているくらい」と大沢さん。
「長女だけでなく、長男も次女も、大事な話は、私ではなくパパ。私は感情的になってしまうこともあるけれど、主人はとにかくやさしい。叱る時も感情的に声を荒げたりせず、冷静に、理論的に諭すんですよね。そのせいか、子供たちは、『ママに話しても怒られるだけだから、パパに話そう』と思っているみたいです。私は怒り役で、パパは味方みたいな役回りになっている気がして、ちょっとズルいなとも思いますが……これで家族がうまくいっているんだから、まぁ、いいかな(笑)。
そういえば、主人は私の扱いも上手かも。私がイラっとしてキツイことを言ってしまっても、ウィットのある返しをしてくるので、それ以上、気まずくならないというか。我が家の平和は、主人によって維持されているんです」

1985年大阪府生まれ。子役モデルとしてデビューし、13歳の時に出演した『天才てれびくんワイド』(NHK)で注目を集める。以来、タレント、俳優など多方面で活躍。現在は、『ヒルナンデス!』(NTV)や『大沢あかね LUCKY 7』(ニッポン放送)にレギュラー出演するほか、舞台『ハリーポッターと呪いの子』で、ジニー・ポッター役を熱演している。2009年に劇団ひとり氏と結婚し、2010年に第一子、2016年に第二子、2019年に第三子を出産。
衣装:ワンピース ¥25,300、ジャケット¥29,700(ともにアニュアンス TEL:03-5770-9334)、ネックレス¥93,500(ラヴォワドゥース)、左手リング¥45,100、右手リング¥30,800(ともにマイシャ)、バングル¥50,710(チロジュエリー)イヤリング¥9,350(アンカ/すべてロードス TEL:03-6416-1995)