1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた仕事人たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「人生を彩る眼鏡」の第15回は俳優・吉田羊。「人生を彩る眼鏡#15」
PERSON 65
俳優/吉田羊
スタイリングに抜け感が出るべっ甲柄がお気に入り
「今日は私の大好きを集めたスタイリングで撮影していただきました」と、穏やかな笑顔で話す吉田羊さん。普段からアンティーク着物に親しんでいるとあり、カンカン帽や眼鏡といった小物を取り入れるなど、その着こなしもこなれている。
2020年にはメガネベストドレッサー賞を受賞し、眼鏡好きとしても知られる吉田さん。
「最初に眼鏡を買ったのは、近視が進んだ高校1年生の頃。細い金縁のラウンドで、かけるだけで知的な雰囲気を出せるのが気に入っていました。今はレーシックをしたので、すべてダテ眼鏡。コーディネートとして楽しんでいます」
現在は眼鏡を20本ほど所有し、“着物に眼鏡”という高度なスタイリングも難なくこなす。
「着物に眼鏡を合わせるのを難しいと感じたことはないんです。アンティーク着物には遊びのコーディネートを受け入れてくれる懐の深さがありますし、私自身、着物を洋服の延長線上でカジュアルに捉えているので、眼鏡を合わせるハードルが低いんです」
今回、シックなセミアンティークの着物に合わせたのは、EYEVANの「Conner」。フレンチヴィンテージの雰囲気漂うラウンドパント型が、着物の清楚でレトロな雰囲気にマッチ。ボリュームのあるデザインが、帽子に負けないアクセントになっている。
「べっ甲柄の太いリムがクラシカルかつモダンで、まさに着物を洋服のように着たい自分のスタイルにピッタリだなと思って選びました。あと、フロントのサイドの部分に3点の鋲が打たれているんですけど、これが家紋のように見えて。着物の紋のような雰囲気だから、合うんじゃないかと思ったんです」
そんな細やかなディテールからコーディネートのイメージを膨らませるのも、さすが眼鏡好きならでは。もともとべっ甲柄は手持ちの眼鏡にも多く、「べっ甲柄は柔らかく優しい雰囲気になるので、クールな格好をした時には抜け感が出て、可愛らしさを目指す時には最後の一手になってくれます」とも。普段から眼鏡のおしゃれを楽しんでいることが窺える。
20代からキャリアをスタートさせ、今ではドラマや舞台など話題作への出演が続く俳優に。幅広い役柄を自在に演じる吉田さんが、仕事に向き合うなかで大事にしていることとは。
「挑戦を楽しむこと。道行が苦しいほど達成感は大きいもの。出来ないことが増えた妙齢の我が身には尚のことです。ただ『私のところにやって来たということは私の仕事だということ、ならば上手くいくに決まってる!』とも思うんです。そうやって根拠なく自分を信じてあげることも大事にしています。思えば私の役者人生、ポジティブ思考に何度導かれてきたことか」
彼女のしなやかな魅力は、そうやってつねに前向きに、新しいことにチャレンジする姿勢から生まれているのかもしれない。
「ここ数年は特に取り巻く環境が変わりつつあり、冒険心と共に、実を伴わなければと今なお奮闘中です。いつまでもセルフアップデートしていきたいですね」
吉田羊/Yoh Yoshida
福岡県生まれ。小劇場の舞台から俳優としてのキャリアをスタート。その後、TV・映画などの映像へと活動の幅を広げ、2014年のドラマ『HERO』ではクールな女性検事を演じ注目を集めた。2022年にはオリジナル楽曲「colorful」の配信や初のコンサートも開催し、歌手としても活躍。またフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』ではすべて自身でコーディネートを手がけた着物スタイルが話題を呼んだ。2025年2月9日から、三谷幸喜氏が主宰する劇団「東京サンシャインボーイズ」による公演『蒙古が襲来』に出演する。
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EYEVAN Tokyo Gallery TEL:03-3409-1972