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2024.04.30

プロレス引退から結婚、出産、美ボディ大会優勝…新天地で返り咲いた愛川ゆず季の現在地

かつてグラビアアイドルとして青年誌の表紙を飾るなど、持ち前の美貌を武器に人気を博してきた愛川ゆず季さん。後編では、多くのプロレスファンから批判を受けながらも、2年連続で大賞に選ばれたグラレスラー時代や、2022年の「ベスト・ボディ・ジャパン」でグランプリを獲得した現在の活動について迫った。#前編

愛川氏8

身体を張らないと、自分には見せ場がない

グラビアアイドルとして活躍していた愛川ゆず季さんは、27歳だった2010年、女子プロレスへの参戦を発表する。けれども、プロレスファンからの反応は想像以上に厳しいものだったという。

──愛川さんの女子プロレス参戦に対して、どのような声があがったのでしょうか?

当時は、多くのプロレスファンから猛反発を受けました。しかも、売れているアイドルじゃなくて、“崖っぷちアイドル”がリングに上がるということで、「ふざけるな」というアンチの声がひどかったです。でも、逆にそれが力になったというか、そうした声を覆してやろうという気持ちになりました。

──デビュー前の練習は、どんな流れで進めましたか?

首の怪我が一番危ないので、首まわりのトレーニングと、受け身の練習から始まりました。最初は、リングのロープに飛びかかるだけで全身がアザだらけで。しかも、両足の甲を骨折するなど、本当に過酷な練習をしていました。

でも、無理してでも身体を張らないと、自分には見せ場がないと思っていました。芸能界でデビューした時も、演技には“技術”というものがあることを知らず、一所懸命にがんばるだけで。プロレスもなにもわからないまま、全力で打ち込んでいった感じです。

愛川氏9

──2010年10月31日、デビュー戦で高橋奈苗(現・高橋奈七永)選手を迎えた感想はいかがでしたか?

試合前は、私に向けたヤジが飛んでいました。けれども、“カーン!”というゴングの音で試合が始まって。結果的には負けてしまったんですが、試合後の会場は「ゆずポン、すごいな」という雰囲気に全体が包まれていました。

それで、試合で人の心を動かすことができるプロレスって素晴らしいと、私もプロレスの魅力に取り憑かれて。ここで生きていこうと決めました。

スターダムを駆け上ったなかでの引退

──グラビアの仕事とプロレスの仕事で、意気込みは変わりましたか?

まるっきり変わりました。グラビアの頃は、いただいた仕事は一所懸命にやるんですが、どこか淡々としていて、だれかに負けたくないという気持ちは皆無でした。けれども、プロレスでは闘志がずっとメラメラしていて、大人になって初めてライバルに負けたくないと思いました。

──意気込みが変わった理由はどこにあったのでしょうか?

当時、初めて人間になれたと思えたからです。グラビアアイドルの頃は、メイクさんにお化粧をしてもらって、スタイリストさんに衣装を選んでいただいて、カメラマンさんに可愛く撮ってもらっていました。極端に言うと、ただ立っているだけです。

でも、プロレスはセルフプロデュースなので、メイクも衣装も自分で決めます。すべて自分で決められる楽しさと、喜怒哀楽がすべてリングに詰まっていると感じたことで、意気込みが変わったのだと思います。

愛川氏10

──グラビア時代もたくさんのファンがいましたが、ファンに対する気持ちはプロレスラーになって変わりましたか?

応援してくださるのは、グラビアでもプロレスでも変わらず嬉しいものです。ただ、プロレスって試合が終わってから売店で物販をするので、必ずファンの方と話をする機会があるんです。直接言葉を交わすと、やはりすごくパワーがもらえて、ファンの声に支えられました。

いい試合をするとたくさんグッズが売れるし、負けた時には一緒に泣いてくださる方もいました。ダンプ(松本)さんにボッコボコにされた時は、売店に立てないくらいのダメージを受けましたが、やはりファンの方の声に救われました。

──その後、プロレス界のスターダムを駆け上がり、さまざまなタイトルに輝きましたが、2013年に引退の決断された経緯をお聞かせください。

いつかは結婚して子どもを産みたいと思っていたので、以前から30歳で辞めようと考えていました。何年も練習を積んだレスラーと違って、私には技術はありません。ただひたすら身体を張るというファイトスタイルなので、このまま続けると身体が保たないとも感じていました。 しかも、私の入場曲はグラビア時代に歌っていた『爆乳戦隊パイレンジャー』で、やはり華を武器にしていた部分があったことも事実です。なので、華の盛りは短いからこそ美しい、華を武器にするなら長くやらない方がいいという思いもあって、30歳で引退することを決めました。

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愛川ゆず季/Yuzuki Aikawa
1983年愛媛県生まれ。2002年に渋谷でスカウトされ、2003からグラビアアイドルとしてデビュー。2010年には、女子プロレスラーとしても活動を開始。“グラレスラー”という新語を生み出すほどの活躍を見せる。2013年にプロレス引退を表明し、2017年には一般男性との結婚を発表。2022年の「ベストボディ・ジャパン」で、フィットネスモデル部門のグランプリを獲得した。
@aikawa_yuzuki

結婚、出産、そしてトレーニング!?

──2017年にご結婚、翌年に出産をなさっていますが、やはりライフスタイルに変化はありましたか?

子供が生まれることが、こんなに大変だとは思っていなくて。旦那さんが忙しかったこともあり、お仕事はほとんどできなくなりました。メイクもしなくなるし、洋服もどうでもよくなって。ある日、鏡を見て「これは一生脱げないな」と、自分で思った時は衝撃的でした。太っていたし、顔もニキビででこぼこで……。

──そこからトレーニングを始めたのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

3年前、子どもが2歳の時にちょっとした“育児ノイローゼ”みたいな状況に陥って、かなりメンタルもやられてしまいました。通院した病院では、運動を止めたことが原因かもしれないから、散歩から運動を再開してみては、というアドバイスをいただき。そこから、トレーニングを始めることにしました。

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──すぐに、プロレス時代の愛川選手に戻りましたか?

初回のトレーニングでは、本当に「はぁはぁ」するだけで倒れていたんですが、3カ月ぐらい経ってから「少しいい感じかも」と思えるようになりました。そこで、ベストボディ・ジャパン日本大会に出ることを目標に定めて、普段のトレーニングと食事を切り替えました。

──そして2022年に見事優勝なさって、“奇跡の40歳”として再び活動を始めたんですね。

子供がいるので、セクシーグラビアは恥ずかしいんですが、競技として着る水着なら格好いい。プロレスを引退する時に、華の盛りは短いからこそ美しいと言いましたが前言撤回します(笑)。 50代や60代でも素敵な方はたくさんいらっしゃるし、女性の華は本人の努力次第でずっと続く。今、そのことを実感しています。プロレスでも30代や40代の選手が活躍していますが、みなさん長く続けてほしいです。

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愛川ゆず季さんは、子育てをしながら日々のトレーニングも欠かさない。

──忙しいビジネスパーソンがトレーニングを継続するのはなかなか難しい。そこで、なにかアドバイスをいただけないでしょうか。

あくまで私の場合ですが、まず明確な目標を定めることだと思います。大会でもいいし、身体のスペックでもいいし、トレーニングの内容でもいい。私も昔は、なんとなく有酸素運動をやって、なんとなくマシンを使ってという感じでした。でも、目標を定めてからはモチベーションが上がりました。

もうひとつは、パーソナルトレーニングで、知識やノウハウのある第三者に客観的に指導してもらうこともお薦めです。プロの目で見てもらって、どこを強化していった方がいいのかとか、フォームやメニューをどうするべきかを知るのが大事だと思います。

愛川氏14
ダンベルを持ち上げ腕の筋肉もしっかりトレーニング。

──最後に、ベストボディ・ジャパン日本大会で優勝なさった知見を、今後ビジネスに活かすプランなどはお持ちでしょうか?

まだ考えていないんですが、言われてみるとやってみたくなりますね(笑)。実家が食品加工業なので、健康とか美容に近い、そういう仕事にも関わってみたいです。

TEXT=サトータケシ

PHOTOGRAPH=デレック槇島一郎(StudioMAKISHIMA)

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