EXILE、三代目 J SOUL BROTHERSのパフォーマー、EXILE NAOTO氏が、鍛え抜いた肉体を披露した写真集『Onestà』を刊行。パフォーマーとして、そしてグループのリーダーとして、自身の今を語る。
水抜きをして挑んだ極限の肉体美
「ダンサーにはダンサーなりの筋肉のつき方がある。たぶんスポーツ選手の方って、競技によって筋肉のつき方が全然違うと思うんです。それと同じで、僕らダンサーにも、ダンサー的な筋肉がある。今の僕の身体は、普段からパフォーマンスをし、そのためのトレーニングをしてできたもの。この身体こそ、僕が表現しているものの器であり、歴史なんです」
見事に6つに割れた腹筋、引き締まった脚。EXILE NAOTO氏の初の写真集『Onestà』の表紙には、鍛え上げられたその肉体が写し出されている。
「この写真を見て、大腿筋をもっと鍛えた方がいいんじゃない? なんてボディビルなどをやっている方は思うかもしれません。でもダンサーの場合は柔らかくしなやかな動きも大事なので、そこは実はあえてつけないようにしています。また踊っていたら自然とついてくる筋肉もある。やっぱりそれぞれの仕事って身体に現れるものですよ」
NAOTO氏は普段のトレーニングに加え、この撮影の前は水分をとらない「水抜き」も行った。
「どうせならベストな状態で挑みたいですから。撮影場所であるイタリアに向かう飛行機の中では、機内食を断って水は数滴だけ、お腹が空いたら水分のない干し芋を食べていました。表紙カットはイタリアに着いた初日に撮影したので、終わってからは即、イタリアのグルメを堪能しましたよ! 喉も乾いていたし、空腹だったので特に最初の1食は最高に沁みましたね(笑)」
撮影は、NAOTO氏のたっての希望でイタリアのシチリア島で行われた。『グラン・ブルー』『ゴッドファーザー』などNAOTO氏の好きな映画の舞台となったその場所に、訪れることがずっと夢だったという。
「普段はグループで活動していて、なにかを決める時は、必ずみんなの意見を聞いて、それをもとになんでも決めています。けれどこの写真集の撮影は、僕の発言だけで決まることも多く、それにはすごく責任を感じました。『NAOTOさんがやりたいと言ったからやってみたけど、全然うまくいかなかった』なんてことがあってはいけない。自分で決められるからこそ、慎重に判断しないといけないんです」
シチリア島でなにを撮りたいか。意見を出し、最小人数のスタッフとともに、旅をしてこの1冊を作り上げた。
「その旅の感じが出ているといいですね。すごく楽しかったんです。特に僕は『グラン・ブルー』に出てくる海の見えるレストランで、どうしても撮影してみたくて。最高のカットになっていると思いますよ。ちなみに撮影の間は毎日晴天だったんです。三代目 J SOUL BROTHERSでの撮影はずっと雨に悩まされてきて、雨男グループなんて言われていたのですが、これで僕は雨男じゃないことが証明されましたね(笑)」
旅好きのNAOTO氏、シチリアの風景に撮影中は癒やされた。
「綺麗な海、歴史ある街並み。そういうイメージどおりの景色も素敵でしたが、海の向こうにはゴツゴツした岩肌剥き出しの山も見えて、それがとても美しかった。海、街、山、すべてある場所だなと。僕は旅行が普段から好きで、リサーチもすごくするんですよ。自由に海外旅行に行ける機会はそこまで多くありませんから、1日でどれだけやりたいことをこなせるか、むちゃくちゃ段取ります。行きたい場所の距離と移動時間を把握して、スケジュールもギチギチですよ(笑)」
旅の目的は、その時々でさまざま。けれど最近は食を目的に旅にでかけることが多いという。
「レストランの方とコミュニケーションをとるのが楽しいんですよね。シェフとダンサーって全然違うジャンルですけれど、なにかを研究するというところは同じ。日々研究をしている職人のお話を聞けるのは貴重なことです。その情熱にもすごく僕は感化されますね」
理想のリーダーにはとうていなれない
本書は、写真だけではなくNAOTO氏が幼少期から現在までを語るエッセイも充実している。そのなかでは、コロナ禍に自分たちのやっていることが「不要不急」なことなのか、自分たちの存在意義を三代目 J SOUL BROTHERSのメンバーと話し合ったというエピソードもある。リーダーとして、グループをもう一度盛り上げたい、そんな思いがあったのだろうか。
「あの時、みんなとしっかり話せたのはすごくよかった。でも、それは自分がリーダーだからなんとかしないと、と思ったわけではないんです。僕のなかで最高のリーダー像ってやっぱりHIROさんなんですよね、カリスマ的にみんなを引っ張っていく存在。けれど僕はどうやったってHIROさんみたいにはなれない。だから自分なりのリーダーとしてのあり方を、これから見つけたいと思っています」
そのなかで、意識していることがある。
「日々の変化に対応しつつ、常にみんなとコミュニケーションをとること。なにかを決める時は、みんなで話し合い、それぞれの意見を尊重して仲間を信頼して決めること。自分ひとりで仕事の決断をすることは、ほとんどないですね。だから、ひとりで決めていくこの写真集の現場が新鮮だったんです。
僕はカリスマ性のかけらもなくて、年下のメンバーにいじられたりしていますが(笑)、でもそれが僕にとってはしっくりくるんです」
NAOTO氏は最後に、小さく笑ってこう言った。
「難しいですよね、これが正解のリーダーの姿ってものはないですから」
NAOTO氏は自分なりのリーダーとしての姿をこれからも探っていくのだろう。そしてときに迷いながらも仲間を信頼し進んでいく、それこそが愛されるリーダーの姿なのだ。
EXILE NAOTO(EXILE / 三代目 J SOUL BROTHERS)
1983年埼玉県生まれ。2009年EXILEにパフォーマーとして加入。2010年、三代目 J SOUL BROTHERSのリーダーに小林直己とともに就任。2015年、自身がクリエティブディレクターを務めるファッションブランド「STUDIO SEVEN」設立。2024年4月から初のソロツアー「NAOTO PRESENTS HONEST HOUSE 2024」がスタート。