「久しぶりのライブには、たぶんファンの皆さんも『こんな時にライブなんて』とか、いろんなことに迷いながら来てくれたと思います。僕らにも同じような気持ちはあったけれど、大前提としてやれるだけの感染対策をしながら、皆さんを迎えよう。そして空白の時間があったからこそ、より丁寧に、より面白いものを見せるぞ、という感覚でした。会場では泣いてるお客さんもすごく多かったし、『迷ってたけど来てよかった』という言葉もすごくたくさんいただいて、皆さんに届いたと強く感じました」
有観客で実施された10周年ツアー「THIS IS JSB」を、NAOTOはそう振り返る。この1年半は三代目JSBのみならず、LDH全体が「ライブをどこでどう再開するのか」で迷い続けた。
「ずーっと延期が続き、再開できないんじゃないかという恐怖感はありました。気持ちを届けたいのに届けられず、先も見えない。配信のライブなどをしながらなんとか過ごしていましたが、自分のなかのエネルギーが滞り、ずっと消化不良みたいな感じでしたね。今思えばかなりストレスが溜まっていたなと思います。そういう時に救ってくれたのは、音楽とか映画だったんです。’80〜’90年代の山下達郎さんや大滝詠一さんのアルバムを、敢えてカセットテープで聴いて楽しんだり。ストリーミングでドラマを何本も見て、『梨泰院クラス』にめっちゃハマったり。そういったことを通して、こんな時代だからこそ、みんなもエンタメを求めているはずだ、と改めて感じました」
今までは未来を想像せず、瞬間瞬間の積み重ねだった
自身のファッションブランド「STUDIO SEVEN」の運営や、大好きでこだわりを持つ「食」がテーマの映画に出演するなど、この1年半も活発な個人活動を見せたNAOTO。だがそれも、グループあってこそ。空白の時間に最も考えたのは、やはりグループの今後についてだ。
「デビューからのこの10年間の活動は、5年先を想像しながらというより瞬間瞬間を積み重ねた先に、自分たちが見たい景色がある、という感覚でした。それが10周年を迎え年齢も重ねるなかで、今後はこれまでとは違うアプローチをしなきゃいけないんじゃないかというのは、みんなとも話しましたね。ずっとドーム公演を続けていくのは幸せなことですが、大変なことでもある。みんながいつまで今のように踊り続け、歌い続けられるのか。いつまで三代目 J SOUL BROTHERSとしてのパフォーマンスができるのか。5年先の三代目の理想的な形は絶対に10年前とは違うわけで。ネガティブな話ではありませんが、メンバー全員が今ぶち当たっている壁であり、それを越えていくことこそが今後の大きな挑戦になっていくと思います」
この10年で個人としての最大の挑戦は「リーダーを続けてきたこと」だ。
「そもそも自分にとって初めての経験だったし、それも三代目という、強く目まぐるしく成長し変化し続けるグループをまとめる……ってほどのことをできているかわかりませんが(笑)。でもなんとかまとめようとする気持ちは、この10年間持ち続けてきました。みんなで汗かいて、練習して、ライブやるぞ!成功させるぞ!みたいな感じは、仲のいい部活の延長で(笑)、実際に僕がしてきたのは空気をよくすることくらい。ただ、今はグループのためが自分のためでもあり、“仲のいい部活”は“運命共同体”になってきた。人生を共有しているーーそういう感覚が強くなっていることは間違いありません」