大自然や世界各地を巡る旅人たちは必携するアイテムにも徹底的にこだわるもの。バーテンダーの後閑信吾氏が、これがなくちゃ始まらない! という、こだわりのアイテムとは──。【特集 旅ギア】
旅の目的地はいつもバー文化のある場所
バーカウンターも国境も軽やかに飛び越え、新世代のバーテンダーとして活躍する後閑信吾氏。世界一の称号を持つ後閑氏の旅は、カクテルの世界大会での優勝後から始まった。大会後の世界一周の研修旅行に始まり、海外でのゲストバーテンディングやイベント登壇、店舗オープンなど、いまや年間のフライト数は80回を超える。
スタンプやビザが押しきれず、現在のパスポートは4冊目。
その旅をともにしてきたのが、優勝後の旅から携えているリモワのスーツケースだ。
「10年ほど使った初代のリモワは、ほんとに年季が入っていて、修理に出したらアメリカのリモワからアーカイブに飾りたい、と言われました。今はうちの店舗のひとつに飾っています」
ビジネスパートナーが1年前に贈ってくれたという2台目もすでに10年超えの貫禄だ。
現在、上海・東京に7店舗を構えるほか、2024年の1月にはニューヨークにバーテンダーの盟友スティーブ・シュナイダーとともに「Sip&Guzzle」をオープンした。
旅の目的地は必然的にバー文化があるところが多い。
「店舗がある上海とニューヨークは頻繁に行きますし、バー文化があるところは実は限られているので、これまでタイとかメキシコなどの同じ国には20回ぐらいは行っていますね。旅はほぼ仕事になるのですが、その土地の文化や味覚に触れるような時間はつくっています」
コロナ禍で日本から出られなくなった時には、7つの国をカクテルとフード、音楽でめぐる「VIRTUAL WORLD TOUR」というドリンクコースを企画するなど、旅の体験を大切にしてきた後閑氏。スタッフにも旅に出る機会を積極的につくる。
「全社員を対象に10名を表彰するインハウスアワードを開催していますが、賞品はすべて旅行です。今年の行先は、ケニア、ニューヨーク、香港、コロンビア、アブダビ、マドリッドなど。さまざまな国や文化を経験してほしいと思っています」
2023年は年9ヵ月が国外。生活の延長に旅があるような後閑氏の旅アイテムとは?
「愛用しているのは、日本製のトラベラーズハット。髪を整えられない時に楽なので、移動で形が崩れないハットは必須ですね。そして、ポマードと櫛。櫛は意外とないので、一度忘れた時は、旅先までアシスタントに届けてもらったこともありました。また、最近は環境配慮から歯ブラシを置かないホテルが増えているので、電動歯ブラシは必ず持参します。そしてオンラインミーティング用に重宝しているのが、携帯スタンド。過去にはドバイのショッピングモールで使ったこともありましたね」
またフライト中を快適に過ごすためには、こんな工夫も。
「フライト中は深く眠りたいので、フライト用のパジャマを必ず持参しています。あと、ノイズキャンセリング用にAirPodsを。フライト中は寝るか、考え事をするか、どちらかです。店舗のコンセプトやカクテルの構想は移動中に思いつくことも多いです」
そんな後閑氏には、最近フライトの楽しみがひとつ増えた。
「2023年11月から日本航空のカクテルアドバイザーに就任しました。ラウンジとビジネス、ファーストクラスでカクテルの提供がされています。自分のカクテルもさまざまな国に旅していると思うと楽しいですね」
後閑信吾氏の「旅の必携アイテム」
この記事はGOETHE 2024年4月号「特集:最強! 旅の相棒アイテム」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら