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2023.01.20

泉谷しげるが芸能界を生き抜けた理由「全力で野獣キャラをやり切った」

時には「バカヤロー!」が口を衝く野獣キャラ、時にはチャリティ活動に励むいい人キャラ……そんな泉谷しげるの新著『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』が2022年1月20日に発売された。泉谷の考える“キャラ作り”とは。

吠える泉谷しげる

人間力を取り戻して、自分に惚れる

2022年9月、北九州にてSDGsをテーマにした新しいロックフェス「北九州ロックフェスティバル2022 with SDGs spirits」が開催された。発起人はシンガーソングライターで俳優の泉谷しげるだ。

「コロナ前のロックフェスは観客をぎちぎちに詰めこんで、チケット代で儲けることが正解だった。でもよ、今は安心、安全、快適が最優先。客席数を減らさなきゃならねえわけだ。だからって、席数が減った分、チケット代を倍の値段にしたら客は入らねえ。で、考えたわけよ。ロックフェスで地域活性化したいっていう自治体や地元の優良企業に足りない部分を出してもらおうと。ソイツラは“こんなに安心で快適なロックフェスを私たちがやっているんですよ”とアピールすればいい。これが、SDGs時代の持続可能なロックフェスってヤツだ」

泉谷の考え方、そして行動力は、世代を問わず多くの人を惹きつける。自分から声をかけずとも、ロックフェスには出演したいというアーティストが集まり、チャリティ活動を行えば全国からボランティアが集結する。

「オレはリーダーになりたいって考えたことは一度もない。オレはいつだって、ひとりでやる。ひとりでやれば、すべて自分の責任だし、しがらみってものを気にしなくていい。あっちにいい顔、こっちにもいい顔して、ご機嫌ばかり取ってるヤツは、結局、何にもできなくなる。しがらみがないから、人が勝手に集まってくるんじゃねえか」

現代のビジネスパーソンは周囲の目を気にしすぎる。部下に気に入られようと、無理にでも共通の話題を見いだそうとする。

「若いヤツラとは趣味が合うわけはないし、仲良くなんかできねえ。言葉でいくら言ったってダメなんだよ。だから、態度で見せるしかない。サッカーW杯日本代表の森保監督がいい見本だ。前半とメンバーを入れ替えて、後半はコイツラで戦うぞとカタチで示した。口だけじゃなく、目で見えるもので示す。それが優れたリーダーの条件」

男は態度で示すことが重要。泉谷は暴れん坊で「バカヤロー」ばかり言っている野獣のようなキャラクターで生きてきた。

「オレは、本当は臆病で、気が小さい、みみっちい人間なの。でも、男って強く生きなければいけないだろ。ロックフェスを開催するとなったら、その街の政治家や有力者、警察なんかと交渉しなければならない。そんな時に弱腰じゃ、話にならねえよな。相手に『とんでもなくやべえヤツが来ちまったぞ』って思わせないと。強い態度があって、初めて交渉できるんだ」

泉谷はキャラ作りの指南書として新著『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』を上梓した。

「昭和の頃にはよ、すげえスーパースターがいっぱいいたんだ。勝新太郎さん、三船敏郎さん、女性だったら美空ひばりさんに太地喜和子さん。もう、その場にいるだけでオーラが全然違うんだ。オレはガキの頃からそういうスターに憧れたし、少しでも近づきたいと思って生きてきた。今のヤツらって、スターや金持ちをひがんだ目で見るじゃねえか。ネットで中傷したりしてよ。でも、ひがみや妬みって自分が損するだけだ。スーパースターっていうのは普通じゃない。度を超えたキャラを持っているんだ。憧れて、手本にして、やってみればいいじゃないか」

一度やると決めたら堂々と貫く。ナルシストと思われても構わない。自分自身に惚れて、やり通す勢いが大切だ。

「つまらない妥協なんてしねえで、人間が本来持つ野性のチカラを発揮すればいい。オレは全力で野獣キャラをやり切った。だから芸能界で、ここまで生き抜くことができたんだな」
 

新刊『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』

『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』
¥968 幻冬舎
「バカヤロー」ばかり言っている野獣キャラで人気を集め、近年はチャリティ活動に励むいい人キャラで時代を切り拓いてきた泉谷しげる。自身のキャラの変遷や、昭和の大スターから学んだキャラの作り方を指南する。

腕組みをして立つ泉谷しげる

泉谷しげる/Shigeru Izumiya
シンガーソングライター・俳優
1948年青森県生まれ。3歳より東京都目黒区で育つ。1971年、アルバム『泉谷しげる登場』でデビュー。俳優としても活躍し、ドラマ『Dr.コトー診療所』や『三匹のおっさん』などに出演。
ブルゾン¥374,000(クルチアーニ/ストラスブルゴ カスタマーセンター TEL:0120-383-563)、ニットはスタイリスト私物、ハットとパンツは本人私物

TEXT=川岸徹

PHOTOGRAPH=倭田宏樹

STYLING=おおさわ千春

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