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2023.01.12

プロ2年目で134奪三振! 中日・髙橋宏斗の知られざる高校時代とは

白熱した2022年シーズンの余韻も去ることながら、2023年も多くの選手が来季に向け自主トレを開始している。なかでも注目なのが、昨年プロ2年目ながらセ・リーグ3位となる134奪三振を記録した中日の髙橋宏斗だ。今回は、そんな髙橋宏斗がスターとなる前夜に迫る。連載「スターたちの夜明け前」とは……

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1年時からベンチ入りをはたした高校No.1投手

2022年も多くの若手選手が躍進を遂げたが、セ・リーグの投手でその筆頭といえるのが中日の髙橋宏斗だ。プロ入り2年目ながら開幕ローテーション入りを果たし、2試合目の登板となった4月7日のヤクルト戦でプロ初勝利をマーク。その後は味方の援護に恵まれない試合が続き、勝ち星こそなかなか伸びなかったものの、後半戦は27回2/3連続無失点など打者を圧倒するピッチングを見せ、最終的にセ・リーグ3位となる134奪三振を記録したのだ。奪三振率は先発投手としては超一流の10.33。ちなみに2022年100イニング以上を投げた投手で奪三振率が10を超えているのは両リーグで佐々木朗希(ロッテ・奪三振率12.04)と髙橋の2人だけである。

そんな髙橋は全国でも屈指の名門である中京大中京の出身だが、入学直後から好素材と評判で1年夏には早くもベンチ入りを果たしている。そんな髙橋のピッチングを初めて見たのは1年秋に出場した東海大会の対静岡戦だ。6点をリードした6回からマウンドに上がると、2イニングを投げて被安打1、無失点、2奪三振の好投でチームの勝利に貢献している(11対2で中京大中京が7回コールド勝ち)。ストレートのスピードも146キロをマークした。

しかしその後の髙橋の高校生活は決して順調だったわけではない。この大会は準決勝で津田学園に大敗し、翌年夏の愛知大会でも準決勝で誉に敗れるなど甲子園をあと一歩で逃している。2年秋からはエースとなり、愛知県大会、東海大会、明治神宮大会でいずれも優勝を果たしたが、打者を圧倒するような投球はあまり見られず、1年秋からの成長を考えると物足りなさを感じたのは事実である。当時から大学進学の意向が強いと言われており、大学の4年間で成長してからプロを目指すのが妥当というのがプロのスカウト陣からもよく聞かれた評価だった。

評価を一変させた完璧なピッチング

そんな髙橋の印象が一変したのが3年夏のピッチングだ。新型コロナウイルスの感染拡大によって出場が決まっていた選抜高校野球が中止となり、続く夏も各都道府県の独自大会という形で行われる異例の事態となったが、そんな中でも髙橋はトレーニングを積んで大きく成長を遂げていたのだ。実際に投球を見ることができたのは2020年8月1日に行われた愛知県独自大会の栄徳戦。1点を先制された4回途中からマウンドに上がるといきなり150キロ以上のストレートを連発し、最速は152キロに達した。

そして成長ぶりを感じさせたのはスピードだけではない。コーナーいっぱいに投げ分けるコントロールと、打者の手元で鋭く曲がる変化球も高校生とは思えないレベルになっていたのだ。

当時のノートにも「(前年の)秋と比べても身体の厚みが明らかに増し、上半身も下半身もたくましくなった。フォームの躍動感、腕の振りの鋭さは一級品で、しっかり腕を振ってコーナー、低めに150キロ以上のボールが集まる。少しだけ身体が(捕手に対して)正対するのが早く見える以外は、フォームに悪いところがない。スライダー、カットボール、フォークもストレートとフォームが変わらず、全てのボールが決め球になる。常にストライク先行で甘く入るボールもほとんどなく、ここまでスピード、変化球、コントロールが揃う高校生投手はなかなかいない」と称賛の言葉が並んでいる。

結局この試合、髙橋は5回2/3を投げて被安打3、四死球0、7奪三振で無失点の快投でチームを逆転勝利に導いている。これが最終学年での最初の公式戦の登板だったが、その後に中止となった選抜の代替として行われた甲子園交流試合も含めて全5試合で髙橋は150キロを上回るスピードをマークしている。この夏のピッチン髙橋グで髙橋は名実ともに高校生ナンバーワン投手になったといえるだろう。

それでも当初の希望通り大学進学を目指していたものの、結局目指していた大学に進学できずプロ入りを表明。希望の大学に進めないから進路をプロに切り替えるというケースも珍しいことだが、それでもドラフト1位という評価を受けているところに髙橋の逸材ぶりがよく表れている。そして2022年の投球を見ても、高校からのプロ入りを自身の手で正解にしたという印象を受ける。シーズン終了後にはチーム最年少で侍ジャパンにも選ばれているが、まだまだ髙橋のプロ野球選手としての歴史は始まったばかりである。2023年は更に成長して、タイトル争いに加わるような活躍を見せてくれることを期待したい。

Norifumi Nishio
1979年愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。在学中から野球専門誌への寄稿を開始し、大学院修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

連載「スターたちの夜明け前」とは……
どんなスーパースターでも最初からそうだったわけではない。誰にでも雌伏の時期は存在しており、一つの試合やプレーがきっかけとなって才能が花開くというのもスポーツの世界ではよくあることである。そんな選手にとって大きなターニングポイントとなった瞬間にスポットを当てる!

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TEXT=西尾典文

PHOTOGRAPH=西尾典文

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